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2019年3月4日(月)

週刊yasushi 808号「著作権法改正案について与党議員の1人として考える」

 

 

 

今、著作権法改正について大議論になっている。担当役所は文化庁。文化庁では「文化審議会著作権分科会の議論を踏まえ」、法律の案を作り、何度か自民党の文部科学部会で議論をし、取りまとめを狙ったものの、2月22日の文部科学部会・知的財産戦略調査会では様々な意見が出て、その場での了承とはならなかった。その時の会議では文部科学部会長一任となった。結果的に文部科学部会長が原案通りで了承をされた。あとは自民党の最終意思決定機関である総務会での承認だけ、となったのだが、総務会で強い反対意見が出て、もう一度議論をし直すべしと言うことで文部科学部会に差し戻しになっている。

 

私は与党議員の1人だ。与党は政府が提出しようとしている法案や予算案について、党内で様々な議論をし、本当にこの法案や予算で大丈夫なのか、事前にチェックして、必要があれば修正を求めていかなければならない。その上で、いわば万全の状態にして国会に提出していく必要がある。

私は現時点での文化庁の案に対して、2月22日の自民党文部科学部会で懸念を表明し、修正を求めた。(ちなみにこの部会での自民党議員の発言は役員以外全員、この原案に対する反対または慎重意見だった。)なので、総務会での議論を経て、文部科学部会に差し戻しになり、再び議論がなされることになったのは望ましいと考えている。

 

私は、この文化庁の現時点の案がまとめられるに至る内容及びプロセスの両面にわたって問題があると思っている。端的に申し上げれば以下の通りだ。

 

まず概要。

問題になっているのはこういうことだ。もともと今回の著作権法改正は漫画村に代表される海賊版の漫画を掲載する違法サイトが合法的な漫画に打撃を与えていると言うことに対し、これをなんとかしなければならないということで法律改正を行うこととなったもの。

だから、本来は海賊版の漫画サイトの規制を目的とした改正になるはずだった。

ところが、文化庁は、海賊版という概念では整理ができないから、およそ全著作物を対象にして違法なものと知ってのダウンロードは一部分であっても全て違法とし、それを反復継続している場合には刑事罰を課す、いう内容の法案を取りまとめた。

著作権法に関する有識者の多く、それと私を含め、自民党国会議員の何人かは、この文化庁の案のままでは、規制の幅が広すぎると懸念を示している。さらに言えば、この分科会での議論に参加した多くの委員も疑問を呈している。こうしたことを踏まえ、自民党の議員有志は具体的な修正案文も示しているところだ。

話が技術的になるが、修正してほしいとこちらが訴えている内容は、新しく規制の対象を拡大する範囲を、凡そ全著作物を違法と知りつつダウンロードする場合全て違法とするという現在の文化庁案に対して、「原作のまま」という意味の文言と「著作権者の利益を不当に害する場合」と言う意味の文言の2つを挿入し、それによって違法とする範囲を小さくすると言うものだ。こうすることによって漫画の一部分や論文の一部分などを個人的な利用のためにダウンロードすることは規制の対象外となる。これで充分なのではないか。そもそも、著作権法違反についての規制強化は立法事実が明確に存在し、その必要とされる限度において行われなければならないのではないか。だからこそ被害のひどかった音楽や映像について前回、著作権法改正の対象としたのではないか。今回の文化庁案のように広範な事前規制になるのは適切でないと私は考える。

 

今回の案の取りまとめについては文化審議会著作権分科会における議論を元に行われた。その様子を関係者からヒアリングすると、著作権分科会法制・基本問題小委員会でかなりの反対があったにもかかわらず、主査が「委員の意見をもう一度聞く機会を作るのでそれを踏まえてまとめる」旨発言されたため、それではまた意見を聞き、議論する機会があるのだと思っていたという。ところが、ある日の午前2時くらいに文化庁からメールが来て、「意見があれば翌日の夕方までに出すように」といわれたとのこと。

これが事実だとしたらそれで専門家の意見を踏まえて文化庁の原案が出来上がっている、ということにはならないのではないか?

また、この分科会での議論に参加した専門家の意見が、正しく報告書に反映されていないとの指摘もある。すなわち文化庁の考え方に対してもっと規制を制限すべきだと発言した委員の発言部分が省略されていたり、またはまとめに採用されていないということだ。

 

総務会では漫画議員連盟会長の古屋圭司衆議院議員が法案に疑問を呈され、総務会の中で約1時間ちかく自説を述べられたという。日本漫画家協会からヒアリングしたのか、という古屋議員からの質問に対して、「パブコメを実施したが、その時にはその団体からはコメントがなかった」旨、文化庁から回答がなされたと聞く。

今回の法案によって最も利害が絡んでいる協会の意見を聞かずして決めようとしていると言わざるを得ないのではないか。

 

こうした動きを受け、もう一度自民党文部科学部会でこの法案について、修正の要否を含め再検討すると言うことになっている。とは言えこの法案をこの通常国会で成立させることについては総務会で了承を得られているため、残されたわずかな期間の中で、現実的な解決策を模索しなければならないと言うことになる。

 

 

自民党の中で議論できるのは今週いっぱいぐらいだと思われる。ぜひとも修正のうえ、多くの国民の支持が得られる法案に仕上げて国会に提出、ということにしていきたい。

 

 

 

ふるかわ 拝

 

 

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