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【社会】

東海第二再稼働「地元」民意どう反映 7割超「自分で意思表明」住民調査

停止中の日本原子力発電・東海第二原発。後方は廃炉作業中の東海原発=茨城県東海村で、本社ヘリ「おおづる」から

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 日本原子力発電東海第二原発の再稼働を巡る住民意思の確認方法について、茨城大の渋谷敦司教授(社会学)が、立地する茨城県東海村と隣接三市の住民に調査したところ、七割以上が住民投票などで一人一人に意見を聞くことを望んでいることが分かった。渋谷教授は「原子力の専門家や、政治家への不信感があるのではないか」と分析する。 (越田普之)

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 東海第二の再稼働には、東海村と近隣の六市村の事前同意が必要となる。

 そのため、渋谷教授は昨年十二月中旬から今年一月末、東海村と三十キロ圏の日立、那珂、ひたちなかの四市村の無作為に抽出した計四千人に調査票を郵送して同意をめぐる民意の確認方法などを聞く調査を実施した。有効回答者数は九百五十八人(24%)だった。

 選択方式による調査で、「住民投票」が37・1%、「住民アンケート」が12・3%。また、より広域の「県民投票」も24・3%となり、合計で七割を超す人が直接的な意思確認を求める結果となった。

 「住民懇談会などを通じた意見聴取」や「住民代表による会議」という間接的な手法は、いずれも1%台にとどまった。ほかに「首長の判断」が5・0%、「議会の声も踏まえて首長が判断」が10・0%だった。

 また、再稼働の是非は、45・9%が「廃炉すべき」と答え、「再稼働は凍結して白紙から議論」も8・1%だった。「安全対策完了まで運転再開すべきでない」との慎重意見は28・1%。一方で「なるべく早く再稼働」は8・8%、「新型炉への置き換え」は6・7%だった。

 実際に、六市村が住民意思を確認する方法について、全首長が住民投票に否定的な見解を示す。那珂市は二〇一六年度に住民アンケートを取ったが、多くの自治体が「住民代表による会議」など間接的な方法で民意をくみ取りたいとする。

 住民意思の確認方法を聞く調査は珍しく、渋谷教授は「住民の思いを示すことができた」と指摘。今回の結果について、専門家や政治に対する不信感を背景に「合理的な判断をくだせるのは住民自身だということを、多くの人がフラストレーションとともに叫んでいると感じた」とした。

 

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