~Adobe Acrobat 25周年企画 あなたの「働き方改革」とは?~ 第一弾 Hanako(Sansan) X 武井 史織(アドビ)

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「それぞれの働き方をデザインできること」。それがアドビの考える、真の働き方改革の要素です。場所やルールだけの時間に縛られず、自分自身で働き方をデザインすることで、「情熱を注ぐべき仕事」に集中できるーそれが、これから求められる働き方ではないでしょうか。
今年で25周年を迎えるAdobe Acrobatの特別企画として、各業界で活躍するキーパーソンが考える働き方やライフスタイルにフォーカスをあてて、現在の人々の働き方に関する課題や、未来の働き方に対する考察を伺う本企画。今回は、アドビのクリエイティブクラウド コミュニティマネジャー 武井 史織とSansan株式会社のブランドエクスペリエンスデザイナー Hanakoさんに、それぞれのお考えについてお話を伺いました。

Hanako | Sansan ブランドエクスペリエンスデザイナー

部門横断的なクリエイティブ職のプロジェクトICEの企画室長 イノベーションを後押しする体験の企画デザインの他、UXにおける体験型のデザインイベント「ICEJAM」や、デザイナーMEET UP 「ICEPOP」などを手がける。プライベートプロジェクトでは、日本の田舎が東京に負けない文化を持つような仕組みづくりのプロジェクトに関わる。現在は神山と大三島を盛り上げて行くためのコミュニティ作りを中心に活動。

武井史織| クリエイティブクラウド コミュニティマネジャー

世界100都市以上で開催する延べ30,000人のクリエイターが参加するコミュニティーイベント『Adobe Creative Jams』のアジア開催を主宰。また、「デザインの力」と「地域活性」や「教育」を掛け合わせた課題解決型プログラム『Adobe Design Jimoto』を立ち上げ、全国各地域のクリエイティブコミュニティー、地方自治体や教育団体と連携し、産業を横断したさまざまな場づくりを手がける。

フリーランスとしての「働き方」を通じて感じた人との繋がり、出会いの重要性


Q. お二人の経歴について教えてください。

Hanako:私は20歳のときに結婚をしまして、そのままイギリスに渡り、大学でファッションの勉強をしました。卒業後、帰国してフリーのイラストレーターとして働いていたのですが、その間に年子を授かり、子育ての傍ら仕事に励んでいたのです。その後2度目の海外転勤があり、スイスに移り住むことをきっかけにイラストレーターの仕事を離れて、専業の駐在妻になりました。その時に感じた海外で子育てをする不便さや、駐在妻の孤独などを誰かに語りかけるように面白おかしく発信できたらとブログを始めたんです。

武井:その内容が本当に赤裸々で共感を呼び、一日一万アクセスがあったんですよね。

Hanako:有難いことに、この赤裸々な主婦のブログがインターネットの口コミで広がっていきました。駐在妻の海外生活をイラスト付きで伝える内容だったのですが、スイスから日本語で発信したコンテンツが、面白いことに世界中の主婦やワークマザーから見てもらえたんですね。ちょうどツイッターが出始めた頃で、ブログとあわせてSNSを通じた交流が活発になり、個人の発信で世界はこんな簡単につながるんだと感動した記憶があります。その繋がりが発展して今の私があるように感じていますし、この頃からWEBのもたらす無限の可能性や、広い世界での繋がりを意識しましたね。人との出会いや繋がりは、リアルでもネットでも、本当に重要だと実感させられています。

武井:私もHanakoさんと同様、アドビに入社する前は5年ほどフリーランスとして働いていました。国内では広告・音楽の分野で働いていましたが、フリーになってからは私も一つの場所だけにとどまって可能性を狭めることは苦手で・・・。ニューヨークにいた頃は、イベント企画やブランディング・コンサルとした活動がメインでしたが、とは言え1人なので、プレゼンやデザイン制作から交渉、また仕事仲間も自分で探す、何でも屋スタイルで描きたいものを形にしていましたね。私の場合は、誰と働きたいかということもすごく考えながら仕事に取り組んでいました。そうでないと、「仕事をとにかく回す」ことに終始してしまい、もともと仕事として何を形にしたかったのかがブレてしまうんですよね。なので、人と会って話す際は、まず「なぜそれをやるのか」、この「なぜ」の共有を大切にしていました。

Q. Hanakoさんの名刺には、「スーパー主婦」という記載がありましたね。

Hanako:私は、主婦ブロガーという経験があってこそ、今の自分があると思っていて、そういう意味で家事や育児にも愛着を持っているんです。「スーパー主婦」というのは、仕事と家庭を両方こなすというよりも、家事育児もプロフェッショナルの一部としてやっていると、プライドを持ってその肩書きを名乗っています。最近ではワーキングマザーも増えて女性が活躍できる時代となり、この流れは本当に素晴らしいと思う反面、「専業主婦」もプロフェッショナルな仕事だと私は考えていますし、誇りがもてる、ポジティブなイメージを社会に伝えていきたいので、「スーパー主婦」と名乗るようにしています。

武井:日本ではまだ「女性の社会進出」みたいな言葉が使われていますが、違和感がありますね。働き方にも関わってくると思いますが、「家庭」も「社会」の一部であって、「家庭」or「社会」ではないはずですよね。それぞれのバランスで自分の「正しい」働き方を見つけられるのが理想ですね。

仕事のアイディアは机の上ではなく、犬の散歩や雑巾がけ、夢の中から生まれる

Q. 武井さんはコミュニティマネジャーとして、社外のキーパーソンやコミュニティーとのコラボレーションを期待されているそうですね。

武井:そうですね。私はクリエイター向けの自己表現型コミュニティーイベント『Adobe Creative Jams』や、デザインの力を使って課題解決を目指すプログラム『Adobe Design Jimoto』を手がけていますが、アドビが持っている資産と、社外の方の熱量との掛け算で新しい事が生まれるように、社外の人とのコミュニケーションの時間を積極的に作るように心がけています。また、プライベートや仕事の時間など関係なく、ライフワークとして何をすべきかの話しや、「こういう社会であるほうがいいよね」、「クリエイティビティってこうやって活かせるよね」といった話を熱量の高い人たちとしていると、更に掛け算したアイディアが生まれたりしますね。

Hanako:そういう意味では、私は犬の散歩や雑巾がけなど、体を動かしているときに着想することが多いですね。脳に違った刺激を与えることで、突破口を見つけることはあります。職業はデザイナーですが、社外の方々との交流は多い方だと思います。その業種もさまざまで、例えばデザインとは一見関係ない金融コンサル畑の人にアイディアをぶつけてみたりします。特に着地は求めていなくて、そこで起こる化学反応が視野を広げてくれるので、時々自分とは違う思考性の人の刺激をうけて頭をおもいきり遊ばせることも大事ですね。また、私が担当しているクリエイター向けUXの体験型イベントの「ICEJAM」や、デザイナー交流イベント「ICEPOP」は、社内に閉じがちなクリエイティブ職が、社外との繋がりを濃くしていくことで、想定外の出会いからアイディアが生まれるきっかけになれば良いなと思って企画しています。

武井:夢の中でピンときて、起きてすぐにメモをとることもありますね。その瞬間は自分のこと「天才!」って思ったりしますが、後で読み返すと意味わからなかったりも多々あります(笑)もちろん、パソコンに向かい集中してアイディアを出すこともありますが、基本私も動的な活動の中でいいアイディアを思いつくことが多いため、アイディアが欲しい時はよく歩きます。

実は身近にヒントが隠されている?二人が考える「真の働き方改革」とは

武井:最近の「働き方」の話題を聞いていて、ちょっと危険だなと感じるのは、稼働時間の短縮や働く場所を変えることが、まるで「正しい働き方」のように定義付けられ、それに近づこうとしてしまうこと。そもそも、「働き方」や「考え方」は人それぞれ違うもの。その違いを前提に、社会的定義の「正しい働き方」に当て嵌めようとするのではなく、自分に合うバランスを考えることがパフォーマンスの最大化に繋がると思います。

Q. 正解があるというのは、どういうことですか?

武井:「PCにモニタリングデバイスをつけて、PCを使っている社員が寝ていないか監視している」というような記事を最近読みましたが、それはすごく変な話で、本来会社は、社員一人一人が会社のミッションを通して成長し、能力の最大化を図る環境であるのが理想です。だからと言って、「カフェで仕事することが良い」というのも違うわけで、本来の主旨がずれてしまっています。仕事に対して、本質的に「なぜ」それをするのかを自分で理解し、それに対してパッションがあればどこであろうと、生産性は上げられるわけで、カフェやオフィスのPCの前に限らず、本来はどこでもいいはずですよね。私は何かを企画する時、「こことあそこがつながれば、こうなって面白い!」、「あそことあそこが繋がれば問題解決できる!」などとブツブツ言いながら歩いて考えることが多いです。最終的に浮かんだアイディアはデジタルで伝わる形に落としこみますが、それまでの過程は必ずしもPC前である必要はないと思います。

Q. アドビでは、個々がそれぞれのスタイルにあった「働き方」をデザインできるよう、支援をしているのですが、お二人が考える働き方改革について教えてください。

武井:最近は色々なところで「働き方改革」が唱えられていて、大企業が取り入れている制度を中心に多くの事例を耳にしますね。

Hanako:確かに、「働き方改革」がルール化されてしまっている部分もありますよね。Sansanでは、提供しているサービスそのものが「ビジネスの生産性を高めるためのもの」なので、社員一人ひとりが自身の働き方を通して、それを体現していかなければという意識はあります。生産性を高めるために必要と判断すれば、新しいツールも積極的に導入しますし、「イエーイ」という在宅勤務の制度も利用します。ただその判断は吟味しています。また、「働き方」でいうと、弊社には徳島県神山町にサテライトオフィスがありまして、エンジニアが数名勤務しているのですが、条件が揃えばどこでも生産性高く働けるということを体現していると思います。私も神山にはよく行くのですが、「完全に集中」するには素晴らしい環境だと思います。チームとのやりとりもあるので定住は難しいですが、使い分けが大事かなと。大切なのは「働き方」の方法ではなく、意識の問題だと思います。

武井:アドビでも、奈良県で「ADOBE DESIGN JIMOTO x DOOR to ASIA in 奈良」というイベントを実施したのですが、その際に学んだことは、パートナーを組んだ東吉野のクリエィティブコミュニティーは奈良市と連携してシェアオフィスを運営していることです。そこでは、クリエイターの誘致にも積極的なのですが、一方で交通が不便という面もあります。しかし、あえてその「不便さ」を楽しむというマインドを持った人が多く全国から集まり、共感が人を呼び、そこでまた新たな繋がりができていく流れが素晴らしいなと感じました。地域の課題だけではなく、働き方改革においても、クリエイティビティによるマインドシフトが重要な鍵となりますね。

Hanako:ツール面でいうと、Sansanでは「Adobe Acrobat」を活用しておりまして、何十枚もあるPDFデータを一つのデータにとりまとめられるので、効率良く確認作業ができています。作業時間が短縮されることによって、もっと大事なインプットに時間を使えたり、非常にありがたく感じています。社内制度といった大きな改革も重要ですが、日常的に使用するツールの導入も、それぞれが自分にあった「働き方」を改善していくための大事な一歩だと思っています。

武井:「働き方改革」って大きなルールに則って改革されるのではなく、実際には日々の生活なわけで、自分のコントロール内で自分のあり方を考えることから始まると思います。場所に限らず、活用できるテクノロジーを上手く活用し、自分の「健やかなバランス」を見つけるところから「働き方改革」は始まるのかもしれませんね。

ー 本日は、ありがとうございました!

POSTED ON 2018.09.3

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