大阪市営地下鉄全線とニュートラムの事業を引き継いだ「大阪メトロ」が順調な滑り出しを見せ、安全投資を前倒しで進める一方で、将来に備えた鉄道以外の事業展開を検討している。現在の収益は堅調だが、人口が減少する中で鉄道事業の成長は困難。成長分野の育成を急ぐ考えだが、夢洲(ゆめしま)開発など巨額投資を含む構想には懸念の声も上がる。
大阪メトロは昨年4月、大阪市が株式の100%を保有する新会社としてスタートした。パナソニック出身の河井英明社長の指揮で、7月に2024年度までの中期経営計画を公表。公営企業から株式会社化への変革を完遂するための7カ年計画との位置付けだ。ホーム柵の設置などの安全対策を当初予定より前倒しで進めるとともに、12月には中計の具体化策として「地下空間の大規模改革」と「夢洲開発への参画」を発表した。
地下空間については、御堂筋線と中央線の計15駅を24年度までに刷新するとし、地域特性や歴史を生かした個性的なデザインにする計画。「派手すぎる」などと反対の署名運動が起こったが、河井社長が署名者らに直接会ってウェブアンケートやグループインタビューで市民の声を聞く姿勢を示した。
夢洲は25年の大阪・関西万博の会場であり、大阪府・市がカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致にも乗り出している。大阪メトロは夢洲へのアクセスとなる中央線の延伸へ参画し、24年度の開業を目指す「夢洲駅」(仮称)と一体の商業ビル「夢洲駅タワービル」(同)を建設する構想を提示。十分な土地の確保を前提としている。
15日に開かれた大阪メトロと大阪市議会の意見交換では、夢洲開発について期待がある一方で、「IRが来なくても事業を実行するのか」「IR頼みで超高層ビルを建てるのはいただけない」といった疑問、安全対策や利便性向上の優先を求める声が続いた。
河井社長は夢洲開発については採算性の確保が大前提と強調。鉄道利用者数が人口増減に依存し、地域の活性化が必要なことを説明した上で、ホーム柵の全駅の設置計画の策定や車両を増やす混雑緩和策の検討を進めるとし、「もっと外部へ発信していく。説明責任と経営の透明性を高める」と話した。
鳥取県が開発した米の新品種「星空舞(ほしぞらまい)」の関西地区での初PRが22日、JR大阪駅の商業施設ルクア大阪で始まった。同県やJA関係者らが、地下2階のキッチン&マーケットで試食宣伝販売会を展開。透き通った粒のきれいさから、「星のように輝くお米」をイメージして名付けられた期待の品種で、買い物客らはつやのある美しい炊き上がりと食味を堪能した。
会場では、新たに作成した1キロ入り袋のパッケージを150袋用意。「星空舞」を炊き上げて買い物客に試食してもらった。
しっかりした粒の食感と甘みが特長で、JA全農とっとり米穀課の小山友寛さんは「京阪神を中心に販売を進めていきたい。来年以降、期待の大きい新品種です」とアピール。
県外での販売は今回が初めてで、県食のみやこ推進課の塗師木太一課長は「“星取県”から生まれたおいしい米。ブランド米として広めていきたい」と話した。同所での販売は28日まで行う。
オリジナル品種の「星空舞」は、同県農業試験場が約20年かけて開発。昨年10月に品種登録を申請している。ササニシキにコシヒカリの子孫に当たる「ゆめそらら」を交配しており、いもち病抵抗性と高温に強い特性がある。コシヒカリより丈が短く倒伏しにくく生産しやすい。
収穫期がコシヒカリと「きぬむすめ」の中間で、生産農家にとっては労力分散につながる。県内での栽培面積はまだ約5ヘクタール(約20トン)と少ないが、おおむね5年後には3千ヘクタールに拡大させたいとしている。
大阪都構想の制度案(協定書)を作る法定協議会が22日、大阪市役所で開かれ、維新が求めていた委員間協議に入った。維新は公明に対し、住民投票の実施時期の確約も要求しているが公明は応じておらず、大阪府知事、大阪市長のダブル選前倒しを見据えた両会派のせめぎ合いが続く。
法定協では、これまでの事務局素案に対する質疑に加え、協定書のとりまとめに向けた委員間協議も実施。維新と公明の間で特別区の区割り案や名称についての議論があった。
一方で、維新が公明に求めている住民投票実施時期の確約については、公明の拒否する姿勢は変わっていない。確約が得られない場合、松井一郎知事と吉村洋文市長が4月の統一地方選に合わせてダブル選を行う構えも続いている。
法定協終了後、松井知事は「(委員間協議が始まったことは)壁を一つ開けた」とする一方で「物理的には今の議員の任期中にまとめるのは厳しい。ありとあらゆる手段を使いながらやっていく」と知事、市長の任期中の住民投票実施の確約を引き続き求めていく考えを示した。
公明府議団の八重樫善幸幹事長は「スケジュール優先で物事を決めるとは考えていない」とあらためて拒否する姿勢を明確化。ダブル選が前倒しで実施された場合、公明府本部代表の佐藤茂樹衆院議員が「合意は生きている」としていた知事、市長の任期中の住民投票への協力についても「(合意は)もうないと判断できる」と話した。
次回の法定協は3月7日に開かれる。