●第二期拓殖計画における殖民軌道計画線一覧

  1927(昭和2)年度より始まる北海道第二期拓殖計画では、47線500マイルの建設が予定された。これらは主に、許可移民の入植を目的に指定された「特定地」のインフラ整備を目的としていた。それは、新規の開拓を滞りなく行うため、単なる交通機関としてのみならず、地域間の通信手段の確保、軌道を使用した運輸業の発達、あるいは利用者自身による軌道運行組合の設立を通じて地域の自立的発展を促す役割を果たすものであった。

 しかし、実際に同計画の終了する昭和21年までに建設が行われた31線のうち、この47線に含まれていたのは16線に過ぎず、半数の15線は実施途中において計画に加えられたものであった。それらの多くは特定地のインフラ整備という当初の目的を離れ、既存の集落と国鉄駅とを結ぶ交通路の整備、あるいは、冷害に苦しむ農家を救済するための公共事業という性格を帯びていたと思われる。

支庁 線名 区 間 距離(マイル) 建設
上川 アベシナイ線 佐久~上アベシナイ 10.0 ×
後志 真狩線 狩太~真狩 10.0
磯谷線 上目名~磯谷 12.5 ×
十勝 上札内線 幸震~上札内 10.0 ×
糠内線 止若~以平 22.5 ×
オルベ線 高島~オルベ 12.5
ピリベツ線 本別~ピリベツ 12.5 ×
当縁線 中イタラタラキ~トープイ 7.9 ×
浦幌線 本別~中浦幌 12.5 ×
勇足線 勇足~上勇足 10.0 ×
幸震線 幸震~糠内 7.5 ×
釧路 雪裡線 平戸前~クチョロ 17.5
ホロロ線 ホロロ~上ホロロ 10.0
クチョロ線 塘路~クチョロ 12.5
オソツベツ線 オソツベツ~二山 12.5 ×
茶内線 茶内~円朱別 7.5
浜中線 浜中~円朱別 5.4 ×
ヌマオロ線 コツタロ~ヌマオロ 9.0 ×
ニニシベツ線 平戸前~ニニシベツ 11.0
茶路線 白糠~上茶路 12.5 ×
音別線 音別~上音別 12.5 ×
屈斜路線 弟子屈~屈斜路 10.0 ×
宗谷 幌別線 幌別~オフンタルマナイ 13.2
本幌別線 上幌別~本幌別 10.0
メナシ別線 兜沼~メナシベツ 10.0 ×
エベコロベツ線 豊富~上エベコロベツ 10.0 ×
桧山 俄虫線 館~俄虫 5.0 ×
胆振 徳舜瞥線 白老~徳舜瞥 17.5 ×
日高 貫気別線 荷負~上貫気別 7.5
根室 別海線 風蓮~別海 10.0 ×
風蓮線 風蓮~円朱別 5.0 ×
西別線 西別~虹別 15.0
俣落線 俣落~ケネカ 7.5 ?
忠類線 川北~忠類 7.0
春別線 春別~中春別 12.5
網走 止別線 ヤンベツ~野川 10.0 ×
幌内線 幌内~雄武 5.0 ×
美幌線 美幌~古梅 7.5 ×
上滝ノ上線 滝ノ上~上滝ノ上 10.0 ×
藻琴線 藻琴~上藻琴 11.5
越川線 斜里~越川 7.5 ×
上幌内線 幌内~上幌内 12.5 ×
雄武線 雄武~上雄武 7.5 ×
枝幸線 枝幸~小頓別 20.0
留萌 トイカンベツ線 トイカンベツ~上トイカンベツ 10.0
オヌプナイ線 オヌプナイ~上オヌプナイ 7.5 ×
遠別線 遠別~上遠別 12.5 ×
47線   500.0 ○16×31
注)上札内線・幸震線の幸震はのちの大正、