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2019-03-02

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・「困ったことを直す」という問題解決型の考え方が、
 世間のあらゆるところを覆っていて、
 それだけになっちゃったらダメなんじゃないの…という
 ことについて、今日も続けて書いてみます。
 問題(悩み・問い)があって、
 それに対しての答え(回復・正解)が求められる。
 この、いまの常識みたいなやり方では、
 どうにも通用しないフィールドというものがあります。

 その代表は、「お笑い」の世界です。
 お笑い番組では、あくまでも形式的にですが、
 進行役の芸人さんから「問い」が投げられます。
 そこで「正解」を返すことは、すでに芸の放棄です。
 問いかけに対して、問いのエリアを広げるような答えを、
 芸として返さなければ笑いになりません。
 問いを無にしてしまうような爆弾を投げるのも、
 あえて、まったく外してしまって
 「理解してないことで笑われる」ということも、
 どっちでもおもしろければ芸のうちです。
 答えが見つからずに苦しがっている状況を、
 そのまま表現にしてしまうという方法も許されています。
 もっとも、そういう場合には、たいてい共犯者がいて、
 「苦しがっている」状態のおもしろさを
 表現として光らせる補助をします。
 「あいつあんまりおもしろくないのに、どうして、
 あんなにいろんな番組に出てるんだ?」などと
 思われている「芸がなさそうなタイプ」のお笑い芸人は、
 実は、そういう芸を磨いた人たちです。
 わけのわからないことを言い出して踊り出す芸や、
 マンネリを責められて行き詰まる芸もあります。
 こういう芸人さんたちがいなくなって、
 大喜利で「きれいだねぇ」と褒められるような芸人さん
 ばかりになったら、お笑いの可能性は相当狭まります。

 もし、「問いと答え」のパターンをどんなふうに壊すか、
 あるいは新しい問いかけを、どうやって生み出すのかに
 興味があるなら、明石家さんまさんが仕切っている
 『お笑い向上委員会』という番組を観てみてください。
 決して「よくできたお笑いの番組」ではありませんが、
 笑いが生まれる可能性を探すドキュメンタリーです。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
ひっくり返す、ずらす、抑え込む…答えはいつも戦闘です。


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