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(世良)特許を公開する!?
(萬平)まんぷくラーメンの製造法を他社にも使わせるんです。
(天村)ライセンス契約?何で お宅に金払わなあきませんの。
(福子)まんぷく食品と ライセンス契約を結んでくれる会社は ありませんでした。
せやから… どうか また萬平さんの力になって頂けませんか?
♪「丸まってる背中に もらい泣き」
♪「恥じだって一緒に」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「飛行機雲ぼんやり眺む」
♪「心ここに在らず」
♪「年間トータル もししたら」
♪「付き合うあたしすごい?」
♪「とぼけてる眉毛に もらい笑い」
♪「照れだってなんだって」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「もらい泣き もらい笑い もらい怒り」
♪「もらいっ恥じ どんと来い!」
♪「晴天も曇天も霹靂も」
♪「さあ あなたとトゥラッタッタ♪」
岡 幸助です。
森本 元と申します。
(忠彦)君たちは吉乃のことが好きなんか。
(タカ)お父さん。(神部)そんな あからさまに。
(克子)好きなの?
はい。好きです。
吉乃は 僕たちの大事な娘や。
子どもの頃から素直で明るくて今は こんな きれいな娘に育ってくれた。
(吉乃)お父さん。
この人は親バカで言うてるんやないんよ。
(タカ)親バカや。タカ。
吉乃ちゃんは かわいいです。こんな美人はいません。
美人やから吉乃に近づこうとしてんのか!
その程度の気持ちで!いやいや 違いますよ。
吉乃は どう思てるの?えっ?
岡さんと森本さんはあなたに告白するらしいわよ。
私は 2人のことええ人たちやと思てます。
吉乃ちゃん。ありがとう。
吉乃 男はこの人たちだけやないぞ。
世の中にはええ男は たくさん いてる。
せやけど 今日 2人に会うて悪いやつらやないってことは分かったでしょう。
そうね。せやったら2人にも チャンスをやって下さい。チャンス? 何をせえっていうんや。
何もせんでええんです。あとは成り行きに任して。
吉乃ちゃんは ちゃんとええ人を見つけますから。
大丈夫なの? 吉乃。ちゃんと考えて いい人を選びます。
せやったら ええやない あなた。
分かった。 それやったら折を見て 吉乃に告白しなさい。
はい。ありがとうございます。
折を見て?もう告白してるやん。
東京に行った世良さんから電話があったのはそれから5日後のことでした。
土井垣先生?℡(世良)おお。
東京商工会の紹介で会うた都議会議員からな衆議院議員の土井垣隆三先生を紹介してもろうたんや。
衆議院議員!?えっ!
元食糧庁長官や。食糧庁長官!?
(鈴)まあ!(真一)そんな人が会うてくれるのか!?
℡もう約束は取り付けた。
これは僕にしかできへん仕事やで 立花君。
東京に行ってきます。ああ。℡我ながら この行動力には…。
お義母さん 福子 留守の間よろしくお願いします。℡立花君。
分かりました。はい。
聞いてんのか 立花君。
萬平さんは翌日 朝一番の列車で大阪をたち夕方には東京に着いていました。
正直 土井垣先生が どんなお人なのか全く分からへん。
ここは もう気合いでお願いするしかないで 立花君。
はい。
・失礼します。
どうぞ。
(土井垣)ああ 遅れて すまん。
審議委員会が 長引いてしまってな。
世良商事の世良勝夫でございます。
まんぷく食品の立花萬平と申します。
(世良)本日は 大変お忙しい中 お時間頂きまことに ありがとうございます。
いやいやいや堅苦しい挨拶はいい。
おかみ ビール。かしこまりました。
うん。 この刺身 うまいな。
ん? どうした 口に合わんか。
いえいえいえ おいしいです。おいしく頂いております。
本題に入らんことにはいや 飯どころじゃないか。
ハハハ。
話は いろいろと秘書から聞いておるが一応 本人の口から話を聞こう。
はい。 実は まんぷくラーメンという商品がございまして。
これは 画期的な食品でお湯をかけて3分待つだけで食べられるラーメンでございます。
ほう。そして それを開発いたしましたのがここにいる立花萬平でございます。
おかげさまで まんぷくラーメンは 大変 好評を頂き非常に多くのお客様からお買い求め頂いております。
しかしながら たくさんの類似商品が出てまいりましてその中には食べた人の健康を害しかねない粗悪品もございます。ほう。
そこで 私は製造特許を開放することに決めました。
開放?はい。
チキンスープエキスの製造法も麺線の作り方も油の温度 揚げ時間 全てをどこの会社でも使えるようにしたのです。
うん。(世良)ところが私たちとライセンス契約を結ぼうとする会社は現れませんでした。
「うちは粗悪品で何が悪い」と。
目先の利益だけを考えて 消費者の健康をないがしろにしているのでございます。
これは もう力のある方に助けて頂かなければ実現は不可能と考えた次第でございます。
うん。
土井垣先生 どうかお力をお貸し頂けないでしょうか。
お願いいたします。
つまり 君たちは 消費者のことを思って運動してるってわけか。
はい。
はあ 自分たちの利益を下げてでも?
そのとおりでございます。
それは違うな。
粗悪品がなくなることによって最終的には君たちの会社が利益を得ることができる。
はあ…。
おっしゃるとおりです。
でも 我が社の利益が最優先ではございません。
即席ラーメンという新しい商品が安全で おいしい食品であるとお客様に認知して頂くこと。
日本人の食生活に即席ラーメンが浸透しその便利さが多くの人たちの助けになることを私は望んでいるのでございます。
♪~
なかなか 面白い。
面白いな 君たち。
ハハハハハハハ。
ならば 君たちの業界をきちんと形にすることだ。
何と おっしゃいましたか?形に?
即席ラーメンの協会を作るんだ。
そこに入ることが即席ラーメンの製造販売の条件とする。
あっ…。
ただし 協会に入ればまんぷくラーメンの製造特許を無償で使うことができる。
えっ。無償で!?ああ。 それぐらいのことをせんと業界は 一つに まとまらん。
いや あっ それでは あのうちの利益が…。分かりました。
おっしゃるとおりにいたします。
おっしゃるとおりにいたします。
食糧庁がいろいろと言ってくるだろうが…。
おい 君の考えていることに間違いはない。
食糧庁が決定すれば業者は従わざるをえない。
ハハハハハハ。ありがとうございます 土井垣先生。
ありがとうございます。
でも 初めて会った私たちにどうして そこまで…。
それは… うん…。
まんぷくラーメンが 大好きだからだ。ハハハハハハハ!(世良)えっ!
いや~ あれは 実に うまい。そして便利だ。 ああ 選挙演説の合間にサッ サッ サッ サッ サッツルッて食えるからな。
ハハハハハハハハ!ありがとうございます 土井垣先生!
え~ それでは…。
即席ラーメンの協会が発足したのはそれから1か月後のことでした。
(拍手)
そして会長には萬平さんが就任したのです。
立花萬平でございます。
さあ お風呂だ お風呂だ。 お風呂だよ~。(騒ぐ声)
引っ越す?うん。 前の家が空いたんやて。
この家に8年…。
あのあとにね あそこの家を買った人が東京に引っ越すことになったって。
まあ…!
もう お金の心配もなくなったからまた 元の生活に戻れるのよ お母さん。
はあ…。
えっ どうしたの?
大したもんやわ お前の旦那様は。
いきなり ラーメン作る言いだした時は正直 もう終わりや思たわ。
ハハ 終わりて。
お湯をかけるだけで3分で出来るラーメンやなんて。それを ほんまに作ってしもて…。
 回想 (源)お父さんラーメンなんか やめて!僕も幸も ずっと いじめられてたんや!ずっと我慢してたんや!
あなたたちを ばかにした友達もお父さんが作ったラーメンをおいしい おいしいって食べて笑顔になってくれます。
みんなが びっくりするようなラーメンをお父さんは作るんだ。
(鈴)今は 日本中の人が喜んで食べて下さってる。
うん。
あんたの萬平さんは 偉い。
私の想像をはるかに超えたすごい人やった。
お母さん。
私も もうすぐ 70。
萬平さんは 50。 あなたは 40。
フフ 40…。フフフ。
このまま穏やかな余生を送りたいわねえ。
穏やかな余生か。
お母さんがやっと萬平さんを認めてくれました。
ほんまに うれしい。
でも 僕は まだ 50だ。
これからだろ 福子。
フフッ。ハハハハハハ。 ハハハハハハ。 うん。


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