提督の日々(凍結)   作:sognathus
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ラ○ンは一応使っている提督であるが、ツ○ッターは使っていなかった。
その事を以前から知っていた那珂は、それを今まで誰も彼に勧めていなかった事も把握していた。
故にある行動を実行した。


第19話 「アイドル」

「ツ○ッター?」

 

昼休み、提督と一緒に昼食を食べながら自分が着てみたい制服の話に花を咲かせていた那珂がふと思い出したように言った。

 

「うん。大佐確かやってなかったよね?」

 

「ああ」

 

「やらない?」

 

「いや、生憎だが特にやる気は今はないな」

 

「えー? どーしてー? やろうよー」

 

「いや、個人的にツ○ッターは合わないと思ってるんだ」

 

「え?」

 

「あれはラ○ンやメールと違って特に相手との連絡には使わないだろ?」

 

「そんなことないよ? ちゃんとメッセージ機能とかもついてるし」

 

「そうなのか? だが別にそれを使わなくても連絡手段は十分今で間に合っているからな」

 

「んー……大佐ってさ、ブログ……あー、いや、日記とか付けてる?」

 

「ん? 個人的な記録は付けてないな」

 

「それならやろうよ! これ、フ○イ○ブックとかと違って、一言短い文打ち込むだけでいいんだし。それを積み重ねれば日記みたいになるよ!」

 

「ふむ……確かにそういう観点はあるな。しかしな、長続きする気がしない」

 

「何か思いついたり当たり障りのない予定とか書き込んだりすればメモ代わりにもなるよ!」

 

「ほう」

 

「スマホを見ればそれをいつでも確認ができるし!」

 

「なるほど……な」

 

「ね?」

 

「分かった。お前の勝ちだ、やってみよう」

 

「やったー♪」

 

 

―――10分後。

 

「登録終わった?」

 

「ああ」

 

「じゃ、わたし探して。はい、これね」

 

「ん……」

 

那珂が自分のIDを提督に見せた時だった。

突如アカウント登録を済ませたばかりの提督のスマホのバイブレーションが短いコール音と共に何回も鳴り始めた。

 

「ん?」

 

「電話かな?」

 

「……いや。なぁ、那珂」

 

「ん?」

 

「この俺のIDの下にあるフォロワーの項目の数字が何もしていないのに100以上になったんだが、普通なのか?」

 

「え?」

 

那珂は提督の言葉に驚いて彼のスマホの画面を見た。

すると確かに提督が言った通り登録してから間もないというのに100を超える数値が確認できた。

それもまだ少しずつ増えている。

 

(大佐はまだ何にも呟いていないのに何て情報網!)

 

那珂は基地内に走る提督の情報を収集する謎の情報網の圧倒的な伝達力に驚愕を通り越し半ば戦慄した。

 

「ねぇ、大佐」

 

「ちょっと大佐のスマホ見せて」

 

「ああ、ほら」

 

「ありがと♪ ……あー」

 

那珂の予想通りだった。

提督のフォロワーに名を連ねているのはいずれも見覚えやIDから予想できる基地の仲間たち。

中には多分海軍仲間っぽい人のIDもあったが、大凡は提督に縁がある者たちであるという事を那珂はそれから予測できた。

 

「本当は短い間だけでも大佐の数少ないフォロワーを楽しむつもりだったんだけど。これはもう流石と言うか笑うしかないなぁ。あはは」

 

「なに?」

 

「あっ、ううん、気にしないで。それより大佐、このフォロワーの人たち皆フォローしてあげてね」

 

「フォロー?」

 

「うん、自分はあなたの記録を見ていますっていう事。フォロワーっていうのはその逆ね」

 

「俺のを見ている人という事だな?」

 

「そう。あ、フォローに登録するとその人たちの呟きが全部タイムラインに……えーっと、最初画面に全部出ちゃうから全部読む必要はないから、気になるようだったら呟きが多い人はミュートするといいよ」

 

「意図的に任意の人物の記録を表示しないようにするとかか?」

 

「そう。別に削除するわけじゃないし、気になるようだったら偶に直接その人を覗けば良いと思うよ」

 

「なるほど」

 

「じゃ、そういう事でよっろしくぅ! ツ〇ッターってさ、よく見ていればその人の状況や近況も察せたりするし、意外に艦娘を管理する大佐の提督業務には向いていると思うよ! だから有効に使ってね!」

 

「了解した。ありがとうな」

 

「ううん、こっちこそ那珂ちゃんのお願い聞いてくれてありがとうね!」

 

「ん、その一人称久しぶりに聞いた気がするな」

 

「あはは、恥ずかしくてあまり使ってなかったからね。でも嬉しくてテンションが高い時は自然と出ちゃうみたい」

 

「そうか。ふっ……昔のお前はよくアイドルアイドルと言っていたな」

 

「わわっ! そ、その事には触れないでぇ! わたしだって何で根拠もなくそんな気持ちだったのか、今だって思い出しただけで恥ずかしいんだからぁ!」

 

艦娘の中でも『那珂』は自己主張が強い性格の者が多く、大抵はその主張を“アイドル”と表現する。

何故表現としてそれを多くの者が選択するのか本人達も無意識に行っていることもあって明確な原因は不明だが、一説に艦娘に備わっている時代に即した学習能力と適応力を発揮した結果、女性として衆目を集める手段としてそれを選んでいるのではと言うものがある。

この基地の那珂も最初はそうだったが、自分のアクションにあまりリアクションを返してくれない提督の指揮下にいる内に自意識に変化が起こったらしい。

今では自分からアイドルと言ったりそう振舞うことはそれを恥じて滅多になく、演じる時は余程気が乗っている時か必要に迫られた時のみとなっていた。

 

「だが目立つのは嫌いじゃないだろ?」

 

「まぁ、そうだけど……でも青葉さんみたいなのとはちょっと違うかな」

 

「なるほど。まぁ、何か催し物がある時に場を盛り上げてくれるお前の踊りは評判が良いし、あながちアイドル的存在と言うのは誤りではないと俺は思っているけどな」

 

「思ってくれるだけならいいの。だけどそれを自分から言うのとはまた違うの」

 

「そういうものか?」

 

「うん」

 

「じゃぁお前が自分からそれを自称する時は余程気が良い時なんだろうな」

 

「あ、そうかも。ふふ、大佐ってやっぱりわたしたちの事よく見てくれてるんだね」

 

「提督としてその言葉はとても励みになるな」

 

提督は那珂のその評価と笑顔を有り難く受け取った。




ラ〇ンに続いてリアルネタですが、書いている内に飽きてしまい後半は那珂の話になりました。

というわけで俺の那珂での中はアイドルではありません。
いや、ある意味アイドル的な存在ではありますが、所かまわずアイドルをしたがる娘ではなく、判断能力の優れた“できる娘”ですw



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