1時間に1回のトイレ…がんで「膀胱全摘」した小倉智昭さんが激変した生活を明かす
- 早期発見のきっかけは日ごろから尿を確認する習慣があったから
- 「膀胱全摘」を決意させたきっかけは膀胱がんでこの世を去った松田優作
- 「1時間に1回はトイレへ」膀胱がん手術後の激変した生活に密着
いつ自分の身に起こるのか分からない病。その前兆を、見逃さず早期発見が重要だ。
2月28日放送の「直撃!シンソウ坂上」(フジテレビ系)では、膀胱がんからスピード復帰を果たした『とくダネ!』キャスターの小倉智昭さんに膀胱がん発見のキッカケを聞くため、MCの坂上忍が小倉さんのもとを訪ねた。
日ごろの習慣から発見できた膀胱がん
2018年11月、小倉さんは自身がキャスターを務める『とくダネ!』の生放送中に、膀胱がんであることを公表した。
発症の大きな要因と言われているのが喫煙。
10万人に約10人が発症すると言われ、60歳以上に多く、男性は女性に比べて4倍多いと言われている。
リンパ節や他の臓器への転移がしやすいことが特徴で、小倉さんも前立腺に転移し、重病だと報じられたが、予定よりも1か月早く復帰した。
1970年に現在のテレビ東京でアナウンサーとしてキャリアをスタートさせた小倉さん。学生時代からスポーツマンだったが、実は30代半ばから糖尿病を患っていた。そのため、日ごろから食事や血糖値を記録するなど、健康面には人一倍気を遣い、運動を行っていたという。
しかし、2016年の夏、生放送を終えた小倉さんは、トイレで用を足した後の便器に1ミリほどの赤い粒を見つける。
糖尿病のため日ごろから尿を確認する習慣があった小倉さん。「本当にトウガラシの粒。それがポツンと尿に浮いていただけ。ごみか何かわかんないじゃない。便器に付いたごみかもしれない」と特に気にしなかったというが、2か月の間に数回、同じ現象が起きた。
膀胱がんの初期症状の一つに、痛みのない血尿があるという。
発見できたのは、小倉さんの尿を確認する習慣があったからだった。
小倉さんは「本当に早期の発見だったけど、がんのたちが悪かった。筋肉層まで入り込む“浸潤がん”だったから『これは取らないと将来、保証はできません。数年でダメかもわからない』と言われた」と話した。
2016年に医師から膀胱の摘出を勧められていたが、「免疫療法や放射線治療などさまざまな治療があるので、それを調べた上で全摘を拒否したんです。抵抗感はあります。やっぱり、男性機能を失うわけですから。当時僕は60歳後半で、もうすぐ70だけど、やっぱり未練のようなものがあって、取らないで済むんだったらそれに挑戦したいから『何らかの方法を探してやってみます』と言って」、摘出手術をせず、免疫療法を行った。
生放送後に大量出血…全摘出の決断には、あの大物俳優の影響
しかし、膀胱がん発見から2年が経過した2018年の夏、生放送を終えた小倉さんはトイレの便器が真っ赤に染まるほどの大量出血をした。2年前に摘出しなかった膀胱がんが悪化していたのだ。
小倉さんは「本当に出血だけが何時間も続いて。その時に限ってラジオの生放送があったりして。それをやりながらCMのたびにトイレに行って、辛くて辛くてしょうがない。病院に駆け込んだら『(出血を)止めないと大変なことになる』言われて」と話した。
翌日の『とくダネ!』は、急遽夏休みと称して5日間、極秘入院。ついに、全摘出手術の決断を迫られた小倉さんは、医師から言われたある言葉が背中を押したという。
「最初にがんを見つけてくれた病院の院長は、松田優作さんを診た病院だったの」と明かす小倉さんに、驚きを隠せない坂上。
1989年に膀胱がんのため、この世を去った俳優・松田優作さん。その圧倒的な存在感で国民的俳優だった松田さんは、30代後半に膀胱がんが判明。膀胱の全摘出を医師から勧められたが、夢であったハリウッド映画出演のため、それを拒否して渡米。しかし、映画公開1か月後に惜しまれながらこの世を去った。
医師から「小倉さんの膀胱がんより、松田優作さんが駆け込んできた時の方がまだよかった。小倉さんの方がもっとひどい」と言われたことで、小倉さんは「松田さんはハリウッドでの撮影があって、そっちにかけたい気持ちが強かったんでしょう。僕はそれを聞いた時に、やっぱり全摘しなきゃダメかな」と覚悟が決まったという。
30年連れ添う15歳年下の妻に、自宅でがんであることを告げると「あ、そう。がんなんだ。大丈夫!大丈夫!今、がんは治るから」と返事があったという。
明るい妻の支えもあり、7時間にも及んだ膀胱の全摘出手術は成功。術後に起こりやすい腸閉塞や腹膜炎などの症状もなく、翌日には歩行のリハビリを開始した小倉さんは、異例のスピード復帰を果たした。
変わらない日課と変わった生活
しかし、手術後の小倉さんの生活には大きな変化があった。
朝3時に起床し、5時前には家を出るという小倉さん。自宅からフジテレビへ車で向かう1時間は、新聞や資料を読みながらテレビを見るのがルーティン。4月で『とくダネ!』は放送開始から20周年を迎えるが、今も変わらない日課だ。
そして、6時前にフジテレビに到着すると、1時間に1回は必ずトイレへ。生放送直前や放送開始から1時間が経過し、CMに入るタイミングなど、1月に復帰してからこまめにトイレへ行っているという。
膀胱がんの手術にはさまざまな方法があり、外部に尿を貯める袋を付けて交換する、「ストーマ」と呼ばれる人工膀胱を付ける手術が数多く行われ、小倉さんも当初この手術を予定していたが、「いろいろ不便があると聞いていたから、それだけは避けたい」と、自身の小腸の一部で代用膀胱を作り、これまでと同じように排尿をする「代用膀胱手術」を選択した。
「はじめは50ccの小さな膀胱を作って、それがだんだん大きくなって今は、150ccぐらいまで、もう200ccくらいまではいっているかな。神経がないから、『いっぱいですよ』という通達がないので、いつも出ている状態だから」と、小倉さんは尿漏れに備えて着替えなど持ち歩いているという。
だが、「トイレの狭いスペースではき替えたりするのは大変。男性用トイレは汚物入れがなくて、重くなったやつをカバンに入れて持って帰らなきゃいけない」と小倉さんが不便さを明かすと、坂上は「男性トイレも広さなど、これから必要になってくるかもしれないですね」と話した。
そこで坂上は小倉さんのがんについて噂される“末期ステージ説”について聞いてみると「予定より早く番組に復帰してくると悪かったのではと思われるかもしれないけれど、今のところ大丈夫です。10年経たないと、完治って言わないらしいです」と明かした。
スタジオでは、乳がん、胃がん、食道がんと9回のがんを経験した大空眞弓さんが自身の経験を振り返った。検診の際に乳がんが見つかったといい、「その時に舞台をやっていたので10日お休みを頂いて…」と、手術後に舞台の仕事に戻ったことを明かした。
「直撃!シンソウ坂上」毎週木曜 夜9:00~9:54