去年 @pyama86 さんが読みやすくて面白かったと話していたので買ってシュッと読んだ。
確かに面白くて、コンピテンシーという考え方はなるほどなって感じだった。いろんな立場の人が組織に入るけど、より管掌や責任の範囲が広い人は狭い人ができることは当たり前とした上で、立場にあった評価の基準が重なっていくという話で、自分も含めて「わかるー」という感じだった。
後、この本では評価を決めるのは影響力というくだりがあって、これは特に専門職に分類される人には読んでもらいたいところなんだけど、エンジニアの場合だとシニアエンジニアは「技術力が高い」から評価されるのはなく「技術力が高いので結果として生み出されるアウトプットの影響力が高い」から評価されると置き換えるとわかりやすいと思う。
「アウトプット」と言われると OSS であるとか、カンファレンスの登壇のことだけと認知している人も見かける。それはより多くの人に向けてアウトプットした方が、影響を与える範囲が広いからというだけであって、しょぼいアウトプットだとカンファレンスで発表しても、SNS で宣伝しても何も起きないし、逆に閉じた組織の中であっても人がどんどん動くようなアウトプットもある。
よく、ジュニアの人と話していると、「技術力が評価されない」というのを聞いたりするんだけど、僕とか、シニアエンジニアは技術力をスカラな量とは見ていない。じゃあどのように見ているのかというと、その技術力によって生み出されたアウトプットがどれくらい人を動かしたとか、組織や市場を変えた、というようなベクタとして技術力を見ているので、どうにも話が通じないことがある。
この辺はemfmを聞いたりしてくれればいいんだけど、どこかに技術力を決める神様がいたり、ドラゴンボールのスカウターのようなものがあって、「お前の技術力は3000だ! シニアエンジニアな!」というものではなくて、技術力はどれくらい影響を与えるかという複数の軸によって形成される面や体積によって表現されるものだと思う。
例えば @pyama86 さんが上のテックブログに書いてるようにペパボでは技術力を下の三つで定義していて、ややトートロジーではあるもののプロダクトをバンバン作れる、というだけではダメで、それが変化に強い設計かどうか、社会にインパクトを与えるものなのか、ということを総合的に評価するようになっている。
この辺は @antipop や技術基盤チームで技術力って何すかね、というのをワークショップをして数年前に決めたものなんだけど、割としっくりきていていい定義だと思う。もちろん、組織の大きさや目的によって技術力、に求めるものは異なると思うので、もしうちの組織ではこう定義してるよというのがあれば教えてください。