「普通の家庭の子」の精神が追い詰められるワケ

7年間、うつを経験した医師が語る実際

精神科医でYSこころのクリニック院長の宮島賢也氏(写真提供:KADOKAWA)   
最近、小中学生の間で、うつなど「心の不調」が増えているようだ。ネットやSNSの普及による情報化が進んで、対人関係に代表される「大人と同じストレス」に遭遇しやすい世の中になったことに、その一因があるとも考えられている。
この記事では、今の小中学生を取り巻く生活環境をふまえながら、新刊『うつぬけ精神科医が教える 心が折れない子を育てる親の習慣』を著した精神科医・宮島賢也氏に、子どもの心を守るために「親はどう行動すべきなのか」を教えていただく。この宮島医師自身、かつて7年間うつを患っていたという経験を持つ。

「ごく普通の家庭」で育っているのに…

「うちは子どもに愛情を注いで育ててきたつもりだ」「自分で言うのもなんだけど、わが家はいい家庭だと思う」。お子さんのことで悩みながらも、このように考える親御さんは少なくありません。

では、虐待があるわけでもない、夫婦ゲンカが絶えないわけでもない、いわゆる「ごく普通の家庭」で愛されて育ったお子さんでも、「心が折れてしまう」ことがあります。いったいなぜでしょうか。

「母原(ぼげん)病」という言葉があります。これは、母親の育児が原因で、子どもの病気や問題を引き起こしてしまうことを言います。もちろん、お母さん方を責めるつもりはありませんが、子どもを愛しているのは事実でも、子どもを「囲ってしまう」ような愛し方に問題があるのです。

これは知り合いから聞いた話ですが、客船に乗っていた際、日本人の親と外国人の親の、子どもへの接し方の違いに驚いたと言います。

日本人の親は、子どもが船上で遊んでいると、危ないところに行かないようつねにそばにいる。一方、外国人の親は、子どもを自由に遊ばせ、本当に危ないときにだけ、さっと駆けつけるのだそうです。

私は、子育てもこれに近いと思っています。本当に危険なときは当然守るべきですが、危ない目や嫌な目に遭わないようにいつも先回りしたり、問題が起きたときに親のほうで解決したりすると、「生きる力が弱い子」にもなりかねません。

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  • NO NAME5623ab78841e
    確かに日本は親が常に目を光らせているとは言いますが…。
    だってそうしないと、すぐに批判の目に晒されます。
    うるさい子供を注意しない。
    躾がなってない。
    放って置くから危険な目に合う。
    自己責任。
    保育園建設だって反対運動が起こる世の中。親が見てなきゃ、子供はどうなるかわからない。

    外国のように地域で子育てや、親に対する目が甘くは無い。
    理想は確かにそうだけど、なかなか親だけではうまくいかない事もあるんじゃないかと思う。
    up75
    down12
    2019/2/28 08:51
  • NO NAME7dd6ff39b176
    過干渉な私(母)は、子供への影響を考えて寮に入れました。もちろん本人の強い希望もありました。そういう手もあります。
    up51
    down6
    2019/2/28 07:01
  • 40歳の自閉スペクトラム症c8aecccb39dc
    私の母もこの文章に出てくる「過干渉」な人です。
    大人になってから、自分が育てられた時のことを話してくれるようになったのですが、父も母も(私から見て祖父母)、長女の母には厳しく、弟にはめちゃくちゃ甘かったのだそうです。時代が時代なのでしょうか、叩いてしかるのは半ば当たり前、見たいテレビも「教育上よろしくないから」見せてもらえない、そんな感じでした。
    私も、クラスメイトからよく「教育ママ」て言われたり、近所に響く大きな声で叱られ、叩かれたりしたからよくわかります。
    金銭面と協力面で親と同居してますが、「家族のルールを守って」というのを盾にして、過干渉です。
    私自身も、自己肯定感が低く、また時々ですが大事なことを自分ではっきりと決められない悪い癖があります。
    母を全面悪くいうわけではないですし、発達障害そのものは脳機能面が原因、と言われてはいますが、性格的なものは親が関係していると思います。
    up43
    down3
    2019/2/28 07:44
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