(英エコノミスト誌 2019年2月16日号)

米史上最多の女性議員誕生、中間選挙

米ニューヨークで、支持者の前で演説する史上最年少の女性議員となったアレクサンドリア・オカシオ・コルテス氏(2018年11月6日撮影)。(c)Don EMMERT / AFP〔AFPBB News

左翼から新種の教義が台頭しつつある。資本主義の諸問題への回答にはならない。

 1991年にソビエト連邦が崩壊した後、20世紀のイデオロギーの対立は終わったかに思われた。

 資本主義が勝利を収め、社会主義は経済破綻と政治的抑圧の代名詞になった。社会主義は細々と続き、傍流の集会、破綻国家、中国共産党の大仰な儀式で唱えられるだけになった。

 それから30年近く経過した今、その社会主義が再び流行している。

 米国では、民主社会主義者を自認し、先の中間選挙で下院議員に初当選したアレクサンドリア・オカシオ・コルテス氏がセンセーションを巻き起こしている一方、2020年の米大統領選挙に向けた民主党の候補者選びで左寄りの候補が増えている。

 英国では労働党の強硬派党首ジェレミー・コービン氏が、ダウニング街10番地(首相官邸)の鍵を手にする可能性をまだ残している。

 社会主義が勢いを盛り返しつつあるのは、西側社会での失敗を痛烈に批判してきたからだ。

 右派の政治家が思想上の戦いをあきらめ、排外的愛国主義やノスタルジーの世界に引きこもるケースがあまりに多い一方で、左派は社会の格差、環境問題、エリート層ではなく一般市民に権力を付与する方法などを注視してきた。

 しかし、蘇った左派の主張には正しい点もあるものの、現代の世界に対するその見方は悲観的すぎる。また、提言している政策は、予算、官僚制、企業などに対する見方が素朴すぎる。