【羽ばたけ中部勢】ラグビー姉妹の美波&美咲 五輪出場目指して切磋琢磨2019年2月27日 紙面から
夢は姉妹そろっての五輪出場だ-。岐阜県美濃加茂市の細川ロサリネ美波アコテウ(16)=岐阜各務野高1年=と妹のケイリニ美咲アコテウ(14)=美濃加茂市西中2年=はともにラグビーの女子セブンズ日本代表入りを目指す。2016年のリオデジャネイロ大会から五輪種目となった同競技。妹は今年1月、中高生を対象とするセブンズのアカデミーに最年少で名前を連ねた。姉も膝の大けがを乗り越え、着実に力をつけている。 2人はトンガ人の父・ウィリーさん(44)と日本人の母・美香さん(48)の間に生まれた。姉の美波が2歳、妹の美咲はまだ母親のおなかの中にいる時、トンガから美香さんの実家のある美濃加茂市に家族で移り住んだ。 ウィリーさんの母国はラグビーが国技。日本の草野球のように、空き地で楕円(だえん)球を追う人たちの光景が日常だ。ウィリーさんは日本でも地元クラブでラグビーを続けている。「小さいころから休日はお父さんの練習や試合を見に行った。球技はラグビーしか知らないし、やってみようかなと」は姉の美波。2人が競技を始めたのは自然の成り行きだった。 日本代表という大きな夢には、妹が先に近づいた。昨年8月、2人が所属するぎふ清流レディースの夏合宿で、美咲のパワーと走力が代表関係者の目に留まった。翌9月には中高生でつくる女子セブンズユースアカデミーにテスト生として招集。今年1月に晴れて正式メンバーとなった。「最初はすごく緊張したけど、今は話せる先輩もでき、プレーでも自分を出せるようになってきた」。ゲーム中に頭の中で「ピコンと鳴る」ひらめきの走りが成功すると楽しいという。 一方の姉は膝の大けがで出遅れた。中学2年の5月、中高生でつくる東海選抜の選考試合で、左膝前十字靱帯(じんたい)を断裂。全治8カ月の重傷を負った。その時、涙があふれ、止まらなかった。「痛くて泣いたわけじゃないの。これまで頑張ってきたことを、もう出し切れないと思うと悔しかった」。リハビリは順調に進み、膝に入れたボルトを昨夏に抜き、完全復帰した。 このまま妹に負けるつもりはない。「家族の中では妹だけど、ラグビーでは同じプレーヤーとして接している。今は妹の方が上のクラスでプレーしているけど、経験値では私が上」と自負をのぞかせる。美咲も「ライバル意識はないけど、刺激を受けるチームメートで、一番の理解者」と話す。切磋琢磨(せっさたくま)して夢の大舞台を狙う。
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