高さんの「男性におすすめのファンタジー」という記事に触発されました。とりあえず棚にあったものだけなので、古いものが多いですが、図書館などで読んでいただければ幸い。
・女性にお勧めできる要素がある。
・SFテイストが生かされている。
・SF初心者にも読みやすい。
この三点に注意して選びました。(10/4・最後に一点追加)
- 「星の海のミッキー」(ヴォンダ・N・マッキンタイア・森のぞみ訳・早川文庫SF)
まず思いついたのがこれ。女の子が宇宙ステーションに「猫」を密航させるお話です。ラストは予想外の展開に。「宇宙に猫を持っていく」!このただひとつのことでおこるどたばたが楽しかったです。猫のミッキーの可愛さはもちろん!訳も読みやすいと思います。ちなみに、訳者は大森望さんの別名です。
- 「たったひとつの冴えたやりかた 改訳版」(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア・浅倉久志訳・早川書房)
家出して宇宙に飛び出した少女。うきうきしていたときに出会った「ソレ」は、何?名作として名高い作品ですが、やはりこの少女たちの選択の切なさと美しさ、その精神はいかにもSF。外せません。少女らしさも溢れているのでおすすめ。早川文庫版は川原由美子さんの挿絵でかつ三編入っているので、そちらの方が私は好きなのですが、最近出た改訳版もまた美しい表紙です。
- 「旅立つ船」(マキャフリー&ラッキー・赤尾秀子訳・早川文庫SF)
考古学が大好きな少女、ヒュパティアは難病に侵され、生きるための選択としてある手段をとった。成長したヒュパティアは、自分の計画に賛同してくれるパートナーを慎重に選ぶが……。「歌う船」シリーズの一冊ですが、私はこの巻が一番好きだし、一番女性が読んで楽しめると思う。禁断の恋!とか燃えませんか!考古学というかミステリ?的に面白いところもあり。
- 「ねこのめ」(小林めぐみ・富士見ファンタジア文庫)
猫型生体機械のジゼルは、深窓のお嬢様、なつめに「世界」を見せるため、外の世界を出歩くことを決意した。それには、ちょと意地悪ななつめの兄、アスラの力を借りなくてはならないのが屈辱だが……がまんがまん。猫のジゼルがかもしだす特有のさらっとした雰囲気が、この世界を彩ります。SFテイストが溢れるのに、浮世離れしていないジゼルの感覚がリーダビリティを高くしていると思います。
密林の星で、スーリヤは自分の運命と出会う。津守時生さんはSFであれば見逃せません。そして、女性が強い!強い!(大事なことなので二回言いました)スーリヤ自身は最初はよわよわなだなーと思っていたのに、彼女でさえもだんだんそんなこと言ってられなくなってしまうという(笑)。
- 「ゆらぎの森のシエラ」(菅浩江・創元SF文庫)
透明感あるファンタジーSF。異世界ファンタジー的な入り方なので、抵抗感がないかと思います。菅さんは女性の視点からのSFという作品が非常に多いですね。「永遠の森 博物館惑星 (ハヤカワ文庫JA)」なんかもおすすめ。
俳優秋津秀が演じているのは、「特捜司法官」という特別な人造人間。ある事件に巻き込まれてから、彼の周囲には事件が続発?マンガもありますが、マンガは読まなくても独立した話なので単発で楽しめます。ほぼ男性ばかりですが、二人の関係が(BLではなく)とても楽しく読めます。つかず離れずというか。さらっと流すこの作者の良い点が出ていると思います。「新」がついたシリーズの方も出ていますが、とりあえず無印がおすすめです。
空を飛ぶことは、誰でも一度は望むことかもしれない。その、「空を飛べるようになってしまった」人たちのお話。女の子が主人公です。
人類がゆるやかに衰退、絶滅しつつある時代。地球は新たな「人類」である「妖精さん」に覇権を譲り渡していた。「妖精さん」たちはちまくてかわいくて、あまり持続性はないがすごい技術を持っていて……なんなの?という感じの話。なんといっても妖精さん!そのかーわいさはもう絶品です。ファンタジーじゃなくてSFなんですよ、これ。……多分。
時間ものSFのボーイ・ミーツ・ガール短編集。男の子視点ですが、可愛らしい話ばかりなのでおすすめ。「むかし、爆弾が落ちてきて」は、梶尾真治さんのオマージュなので、ツボにきたら、梶尾真治さんのリリカル方面に進むことをおすすめします。「美亜へ贈る真珠―梶尾真治短篇傑作選 ロマンチック篇 (ハヤカワ文庫JA)」がいいかな。「未踏惑星キー・ラーゴ (ハヤカワ文庫JA)」も私は好きだ。