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【群馬】

「強制連行追悼碑」デッサンにメッセージ 県が17年に立体作品撤去 美術作家・白川さん

追悼碑を描いたデッサン作品を手にする白川昌生さん=渋川市で

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 県立公園「群馬の森」(高崎市)の朝鮮人強制連行犠牲者追悼碑を描いたデッサン作品を前橋市の美術作家、白川昌生(よしお)さん(71)が制作した。白川さんは二〇一七年、同じ追悼碑をモチーフにした立体作品を同公園内の県立近代美術館に展示しようとしたが、県が追悼碑に関連する訴訟を係争中のために撤去された。芸術家としての「表現の自由」を奪われたという思いも込め、デッサンには強制連行に関するメッセージも記している。 (菅原洋)

 「軍事的必要性から朝鮮半島から多くの人々が労働力として運ばれてきたことは事実である。強制連行はなかったとする人たちは歴史的事実を見ないでいる」

 縦約二・八メートル、横約二・四メートルの厚紙を使った大作。右側を大きく割き、黒い油性パステルで長文をつづっている。

 現在も東京高裁で続く追悼碑の訴訟は、強制連行の史実を認めない人々が県に碑の撤去を働き掛けたことが契機の一つだった。

 デッサンの左側には追悼碑の碑文を刻んだコンクリートを灰色で、中央には碑の横にあるモニュメントを黄土色で表現した。

 「裁判がまだ続いていることもあり、前回の立体作品で伝え足りなかった思いを補おうと制作した。裁判のような問題を乗り越え、アジアの未来へ向けて次世代の人々同士が分かり合ってほしい」。白川さんは制作の動機を説明する。

 デッサンは三月六~十日、東京都千代田区の芸術文化施設「アーツ千代田3331」で若手作家三人の作品とともに展示される予定。来年には、このデッサンなどを渋川市のギャラリーで展示する案もある。

白川さんが描いた朝鮮人強制連行犠牲者追悼碑=高崎市で

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 白川さんは北九州市で生まれ、パリで美術を学び、ドイツ・国立デュッセルドルフ美術大卒。現在は前橋工科大の非常勤講師だ。

 追悼碑は二〇〇四年、碑を管理する市民団体「記憶 反省 そして友好」の追悼碑を守る会(前橋市)の前身団体が、県から碑の前で「政治的行事をしない」との設置許可条件を受けて建立した。

 訴訟は、追悼碑の前で開かれた慰霊行事で設置条件に反する政治的発言があったとして県が更新を不許可にしたため、守る会が一四年に処分の取り消しなどを求めた。前橋地裁は昨年二月の判決で不許可処分は「社会通念に照らし著しく妥当性を欠く」と取り消したが、更新は認めなかった。県は控訴し、碑の撤去を求める姿勢を崩していない。

 

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