チベット絶望高原の慟哭…虐殺証拠写真を公開
聖都ラサの武力制圧に続き、チベット全域で弾圧が激化。北京が偽情報を流す中、チベット支援組織が発砲・射殺の証拠写真を公開した。かつての中共軍侵攻による地獄絵図の再現が懸念されている。
中共侵略政府が“出頭期限”とした3月18日午前零時が過ぎ、ラサのチベット人家庭に対する一斉捜索が開始された。市内に展開する中共軍部隊などは、数百人規模の身柄拘束に乗り出した模様だ。
「軍隊は街のいたる所にいます。どこにも行き来できません。すべてのチベット人は止められ、そしてIDチェックを受けています」(RFA)
▼ラサの住宅地に集まる中共兵士(AFP)
14日の大虐殺以来、ラサのチベット人は軍に包囲され、恐怖の日々が続いている。中共軍兵士らはチベット市民の家を踏み込み、地方から出てきているチベット人を見つけると問答無用で連行しているという。
一部報道は、ラサ市内の状況について「平静だ」と伝えた。だが、それは恐怖支配の確立を意味している。中共軍が、その強大な武力によって一般民衆を制圧したのだ。
▼装甲車の機銃でラサ市民を威圧(AFP)
現在、ラサ市内に外国報道機関が入ることは許されていない。取材活動を続けていた香港メディアの記者も退去を命じられた。僅かに残った香港の記者が「家宅捜索には治安機関の1万が動員されている」というリポートを送っているが、第三者の眼はほぼ封じられている。
▼住宅密集地を走る装甲車(APTN)
そして、ラサに暮らすチベット人の悲鳴も外部の世界には殆ど届かない。YouTubeの遮断が大きく報じられたが、深刻なのは電話回線の断絶だ。シナ人の関係施設を除いてアクセスは困難で、当局の都合の良い情報しか流出しない仕掛けになっている。
聖都ラサは再び闇の中に置かれた。そこで何が起きているのか、確認する手段は極めて少ない。ただハッキリしているのは、闇の奥で中共軍が国際社会に見せられない蛮行を続けていることだ。
▼ポタラ宮前に集結する軍用トラック(AFP)
いま、悲鳴が続々と届いているのは、チベット東部からである。そこで進行中の恐るべき弾圧が相次いで報告されている。
【チベット東部に広がる危機】
ラサでの取材活動が不可能と知った仏AFPなどの記者は、占領下チベット東北部アムド地方シャホに向かった。14日にラブラン寺近くで大規模な抗議行動が起こった街だ。
▼14日ラブラン寺近くの抗議活動(AFP)
しかし、取材を始めた直後、ラブラン寺は中共軍によって占領され、市民らによる抗議活動も武力で押さえ付けられた模様である。ここでは治安部隊の襲撃で抗議集会がパニックに陥る瞬間がビデオに治められた。
■『Protest in Eastern Tibet』■
それでも同地のチベット人に抵抗運動は陰りを見せず、場所を他の寺院に移すなどして、弾圧を非難する活動が活発化。近隣のマチュでも大規模な抗議デモが行なわれた。
そこでも17日から続いた市民のデモに対して、中共治安部隊が実弾を乱射。チベット亡命政府は、その際に参加者19人が射殺されたと発表した。現地では外出禁止令が敷かれ、厳戒状態が続いている。
そして18日にはチベット東部カム地方の伝統的なチベット人都市タルツェドでは3人のチベット人が路上で射殺された。
▼タルツェドで行進する部隊17日(ロイター)
TCHRD(チベット人権民主センター)の速報によると3月18日午後、町の中心部にある市場周辺で、平和的なデモを行なっていたチベット人約300人に中共武装警察が無差別射撃を開始。3人を撃ち殺され、女性を含む15人が負傷した模様だ。
▼18日に確認された部隊(ロイター)
厳しい情報統制により現地の詳しい状況は不明だが、その中、中共治安部隊による発砲・射殺の証拠写真が公開された。
【虐殺の証拠写真が物語る真相】
カム地方アバ。ここも密教文化に彩られた伝統的なチベット世界だ。そして、世界遺産に登録された九寨溝で知られる風光明媚なエリアでもある。
その地で高い格式を誇るキルティ僧院で、惨劇が起きた。
▼小さな町に現れた治安部隊(Phayul.com)
3月16日、キルティ僧院の僧侶たちは朝の祈りを捧げた後「チベットに自由を」と訴える抗議活動を開始した。中共武装警官は催涙弾を撃つなどして襲いかかり、僧院を封鎖。
シナ人武装部隊による僧院占拠に対し、1,000人規模の抗議行動が発生。それに対して武装部隊が実弾を射ち、8人が犠牲となった。情報源によれば、その場で約30人が撃たれ、100人程の負傷者が確認されたという。
参照:TCHRD3月16日Eight dead bodies brought into Ngaba Kirti Monastery
▼キルティ僧院近くでの惨劇(Phayul.com)
僧侶と見られる遺体を取り囲み、チベット人が茫然とする写真がアップされたのに続き、18日、TCHRDのサイトでショッキングな多数の写真が公開された。
▼緊急公開された写真:修正(TCHRD)
余りにも残酷な写真である為、ここには一部しか掲載しない。支援グループが写真公開に踏み切ったのは、銃で殺害されたことを証明する為である。
(注意:遺体写真が含まれています)TCHRD3月18日Photographic evidence of the bloody crackdown on peaceful protesting Tibetan at Ngaba
これらの証拠写真は、各チベット支援グループに瞬く間に広がり、Phayul.comなどにも転載されている。報道によれば、写真を入手したのは有力な支援グループのフリー・チベット・キャンペーン。またSFT(スチューデント・フォー・チベット)では殺害されたチベット人・チベット僧の氏名を確認し、公表している。
(注意:遺体写真が含まれています)SFT3月19日China's Brutal Crackdown On Ngaba Protests
▼公開された写真:修正(TCHRD)
中共武装部隊に射殺されたチベット人の中には、15歳の少年も含まれている。最新のSFTの報告では、犠牲者数は更に増えて20人以上にのぼっている模様だ。
非情な銃弾の犠牲となった方々に、哀悼の意を表する。実に実に、残念でならない。
そして、これでもまだ国際社会は虐殺者の側に立つのか?
▼公開された写真:修正(TCHRD)
国連などジェノサイド支援機関とは対照的に、世界各国ではチベット支援者による抗議活動が広がりを見せている。それが唯一の救いだ。
【相次いで剥ぎ取られた五星紅旗】
14日のラサ大虐殺が報じられた直後から、世界各国での反中共・チベット救済行動は一気に拡大。その中の一部は先鋭化する兆しも呈し始めている。
▼ミュンヘンの中共総領事館(AP通信)
NYでは連日、在米チベット人と支援者による抗議活動が繰り広げられ、その数は日に日に増しているようだ。これほど多くのチベット国旗=雪山獅子旗が翻ったケースは過去にない。
近くにある中共総領事館では、領事館の窓が破壊される事態にもなった。
▼NY中共総領事館前の抗議(ロイター)
わが国でも16日、17日と立て続けに抗議活動が行なわれた。迅速な対応で抗議を展開された瀬戸弘幸さんら国民有志に、改めて敬意を表したい。永田町の政治家連中が寝た振りをする中、市井の人々が声をあげることは極めて重要だ。
一部気になる情報もある。六本木の中共大使館周辺は先週から警備陣が増強され、デモが大使館前に近付けなくなっているようだ。これは警視庁の独断ではなく、現政権の親中スタンスを反映したものではないか。
▼抗議参加者を規制する公安(NNN)
欧米などでは時折、わざと規制を弛めて、密かに抗議活動を後押しするケースもある。非公式に国家の立場を主張する老練なテクニックだ。今回では ドイツ、 フランス、ベルギーなどの場合が、それに該当する。
3月16日にベルギーの首都ブリュッセルで行なわれた抗議デモでは、中共大使館の壁にスプレーでスローガンを書き記した後、五星紅旗をチベット国旗に差し替えた。
■Belgian Tibet protest ■
この抗議活動で5人が拘束されたものの、控えていた警官は少なかった。ちなみにブリュッセルはEU本部のある、いわばお膝元である。
同じ日、パリの中共大使館でも抗議の参加者が正面からよじ登って五星紅旗を引き摺り降ろし、ポールに雪山獅子旗を結びつけた。
▼パリ中共大使館3月16日(AP通信)
簡単に辿り着くことは出来ない。警察が規制を弛め、ある程度傍観していたと考えられる。
急進的にも見える抗議だが、それだけに少し複雑だ…
【異例の緊急会見に高まる不安】
欧州各国で一斉に展開された大規模な抗議行動は、チベット支援グループの存在が大きい。長年にわたってチベット問題に取り組んできた人々である。
かつてインド北部で何人もの熱心なチベット支援者に接する機会があったが、概して物静かな印象の人たちが多かった。彼らが求めるのは「心の平安」で、「暴力」や「闘争」とは決定的に無縁だ。
▼ベルリン中共大使館前で祈る男性(AP通信)
そうした人々が、今回の大虐殺を目の当たりにして声を張り上げている。現状を知って憤慨するのは当然だ。しかし、葛藤もあるだろう。それは決意して立ち上がったチベットの僧侶たちも同じに相違ない。
憤りと嘆きが、激しく交錯する。「心の安からさ」とは余りにも遠い。
▼シカゴの抗議デモで祈る人々(ロイター)
チベット支援者らは3月18日、震えを覚えたのではないか…
その日、ダライ・ラマ14世法王猊下は、再び記者会見を開いた。「文化的ジェノサイド」と語った16日の会見から、僅か2日後の異例の会見である。その席では退任を示唆する発言も飛び出した。
「事態が手に負えなくなれば、私には、完全に退任するしか選択肢がない」
▼3月18日夜の会見(AP通信)
ショックを与えたのは、その発言内容ではない。これまでの猊下とは様子が異なるのだ。普段のように微笑んだり、おどけたポーズを見せたりしたが、何か違う…非常に、シリアスだ。
亡命政府に届いている情報は、メディアがキャッチしているよりも遥かに深刻なのではないだろうか。今や、中共侵略政府の恐怖支配は占領下チベット全域に及んでいる。
【中共軍に再び戦慄するチベット高原】
主要な僧院は武装勢力に包囲され、祭礼を執り行なう状況にはないようだ。圧倒的な火力を前に、立ち向かう術は殆どない。そして、あの時のように、国際社会は見て見ぬ振りを決め込んでいる。
▼台湾国で祈り捧げる僧侶ら(AP通信)
1950年代、中共軍が東から侵攻し、チベット高原を血で染め上げた時、国連はラサからの悲鳴に耳をふさいだ。何度となく、チベット政府は各国に支援を求めたが、冷たくあしらわれた。
今回も情報の闇の中で、中共軍がチベット全域に増派され、恐ろしい人権蹂躙が進行している。野蛮な中共軍兵士らが紳士的な対応をしているはずはない…
▼デリーUN事務所前に翻る雪山獅子旗(AP通信)
50年代に粗末な武器で中共軍と対峙したチベットの闘士ゴンポ・タシは、東部カム地方に出現した地獄絵図を詳しく説いている。
ゴンポ・タシの証言。
「女性たちは公衆の面前で素っ裸にされ、夫が罪を認めないと彼女たちはその目の前で強かんされた。長い間男やもめで過ごしていた中共兵に不服はなく、彼らは嬉々として強かんの命令に従った。また夫たちは人びとの前で妻と性交するよう強制される場合もあり、その後たいてい処刑された。そして妻や娘は中共兵に投げ与えられた。
尼僧もこの暴力から免れることはできなかった。裸にされた僧侶は、これも素っ裸にされた尼僧と性交するよう強制され、中共軍はこれみよがしに、“これがチベット仏教とその純潔さだ”と嘲笑った。
その後僧侶たちの多くは処刑され、尼僧は中共兵の餌食にされた。年に関係なくいたる所で女性は強かんされ、それも何度も犯され、揚句殺されていった」
(マイケル・ダナム著『中国はいかにしてチベットを侵略したか』140頁)
どうかチベットに慈悲を、ブッダよ。
〆
最後まで読んで頂き有り難うございます
クリック1つが敵に浴びせる銃弾1発 となります
↓

******************
【Side sotry】
一部、不快感を与えかねない写真を敢えて掲載しました。また、それらの写真に関しては独自の修正を加えています。
参照:
Free Tibet CanpaignWebサイト
参考記事:
■RFA3月15日『Tibetans Cite Spreading Unrest, Mounting Death Toll, as China Clamps Down』
■AFPBB3月18日 中国甘粛省のデモでチベット人19人射殺、チベット亡命政府が発表
■AFP3月18日 『中国政府、チベットへの外国人渡航者受け入れを停止』
■イザ3月19日『遺体写真に銃創 ロンドンの国際人権団体が公表』
中共侵略政府が“出頭期限”とした3月18日午前零時が過ぎ、ラサのチベット人家庭に対する一斉捜索が開始された。市内に展開する中共軍部隊などは、数百人規模の身柄拘束に乗り出した模様だ。
「軍隊は街のいたる所にいます。どこにも行き来できません。すべてのチベット人は止められ、そしてIDチェックを受けています」(RFA)
▼ラサの住宅地に集まる中共兵士(AFP)
14日の大虐殺以来、ラサのチベット人は軍に包囲され、恐怖の日々が続いている。中共軍兵士らはチベット市民の家を踏み込み、地方から出てきているチベット人を見つけると問答無用で連行しているという。
一部報道は、ラサ市内の状況について「平静だ」と伝えた。だが、それは恐怖支配の確立を意味している。中共軍が、その強大な武力によって一般民衆を制圧したのだ。
▼装甲車の機銃でラサ市民を威圧(AFP)
現在、ラサ市内に外国報道機関が入ることは許されていない。取材活動を続けていた香港メディアの記者も退去を命じられた。僅かに残った香港の記者が「家宅捜索には治安機関の1万が動員されている」というリポートを送っているが、第三者の眼はほぼ封じられている。
▼住宅密集地を走る装甲車(APTN)
そして、ラサに暮らすチベット人の悲鳴も外部の世界には殆ど届かない。YouTubeの遮断が大きく報じられたが、深刻なのは電話回線の断絶だ。シナ人の関係施設を除いてアクセスは困難で、当局の都合の良い情報しか流出しない仕掛けになっている。
聖都ラサは再び闇の中に置かれた。そこで何が起きているのか、確認する手段は極めて少ない。ただハッキリしているのは、闇の奥で中共軍が国際社会に見せられない蛮行を続けていることだ。
▼ポタラ宮前に集結する軍用トラック(AFP)
いま、悲鳴が続々と届いているのは、チベット東部からである。そこで進行中の恐るべき弾圧が相次いで報告されている。
【チベット東部に広がる危機】
ラサでの取材活動が不可能と知った仏AFPなどの記者は、占領下チベット東北部アムド地方シャホに向かった。14日にラブラン寺近くで大規模な抗議行動が起こった街だ。
▼14日ラブラン寺近くの抗議活動(AFP)
しかし、取材を始めた直後、ラブラン寺は中共軍によって占領され、市民らによる抗議活動も武力で押さえ付けられた模様である。ここでは治安部隊の襲撃で抗議集会がパニックに陥る瞬間がビデオに治められた。
■『Protest in Eastern Tibet』■
それでも同地のチベット人に抵抗運動は陰りを見せず、場所を他の寺院に移すなどして、弾圧を非難する活動が活発化。近隣のマチュでも大規模な抗議デモが行なわれた。
そこでも17日から続いた市民のデモに対して、中共治安部隊が実弾を乱射。チベット亡命政府は、その際に参加者19人が射殺されたと発表した。現地では外出禁止令が敷かれ、厳戒状態が続いている。
そして18日にはチベット東部カム地方の伝統的なチベット人都市タルツェドでは3人のチベット人が路上で射殺された。
▼タルツェドで行進する部隊17日(ロイター)
TCHRD(チベット人権民主センター)の速報によると3月18日午後、町の中心部にある市場周辺で、平和的なデモを行なっていたチベット人約300人に中共武装警察が無差別射撃を開始。3人を撃ち殺され、女性を含む15人が負傷した模様だ。
▼18日に確認された部隊(ロイター)
厳しい情報統制により現地の詳しい状況は不明だが、その中、中共治安部隊による発砲・射殺の証拠写真が公開された。
【虐殺の証拠写真が物語る真相】
カム地方アバ。ここも密教文化に彩られた伝統的なチベット世界だ。そして、世界遺産に登録された九寨溝で知られる風光明媚なエリアでもある。
その地で高い格式を誇るキルティ僧院で、惨劇が起きた。
▼小さな町に現れた治安部隊(Phayul.com)
3月16日、キルティ僧院の僧侶たちは朝の祈りを捧げた後「チベットに自由を」と訴える抗議活動を開始した。中共武装警官は催涙弾を撃つなどして襲いかかり、僧院を封鎖。
シナ人武装部隊による僧院占拠に対し、1,000人規模の抗議行動が発生。それに対して武装部隊が実弾を射ち、8人が犠牲となった。情報源によれば、その場で約30人が撃たれ、100人程の負傷者が確認されたという。
参照:TCHRD3月16日Eight dead bodies brought into Ngaba Kirti Monastery
▼キルティ僧院近くでの惨劇(Phayul.com)
僧侶と見られる遺体を取り囲み、チベット人が茫然とする写真がアップされたのに続き、18日、TCHRDのサイトでショッキングな多数の写真が公開された。
▼緊急公開された写真:修正(TCHRD)
余りにも残酷な写真である為、ここには一部しか掲載しない。支援グループが写真公開に踏み切ったのは、銃で殺害されたことを証明する為である。
(注意:遺体写真が含まれています)TCHRD3月18日Photographic evidence of the bloody crackdown on peaceful protesting Tibetan at Ngaba
これらの証拠写真は、各チベット支援グループに瞬く間に広がり、Phayul.comなどにも転載されている。報道によれば、写真を入手したのは有力な支援グループのフリー・チベット・キャンペーン。またSFT(スチューデント・フォー・チベット)では殺害されたチベット人・チベット僧の氏名を確認し、公表している。
(注意:遺体写真が含まれています)SFT3月19日China's Brutal Crackdown On Ngaba Protests
▼公開された写真:修正(TCHRD)
中共武装部隊に射殺されたチベット人の中には、15歳の少年も含まれている。最新のSFTの報告では、犠牲者数は更に増えて20人以上にのぼっている模様だ。
非情な銃弾の犠牲となった方々に、哀悼の意を表する。実に実に、残念でならない。
そして、これでもまだ国際社会は虐殺者の側に立つのか?
▼公開された写真:修正(TCHRD)
国連などジェノサイド支援機関とは対照的に、世界各国ではチベット支援者による抗議活動が広がりを見せている。それが唯一の救いだ。
【相次いで剥ぎ取られた五星紅旗】
14日のラサ大虐殺が報じられた直後から、世界各国での反中共・チベット救済行動は一気に拡大。その中の一部は先鋭化する兆しも呈し始めている。
▼ミュンヘンの中共総領事館(AP通信)
NYでは連日、在米チベット人と支援者による抗議活動が繰り広げられ、その数は日に日に増しているようだ。これほど多くのチベット国旗=雪山獅子旗が翻ったケースは過去にない。
近くにある中共総領事館では、領事館の窓が破壊される事態にもなった。
▼NY中共総領事館前の抗議(ロイター)
わが国でも16日、17日と立て続けに抗議活動が行なわれた。迅速な対応で抗議を展開された瀬戸弘幸さんら国民有志に、改めて敬意を表したい。永田町の政治家連中が寝た振りをする中、市井の人々が声をあげることは極めて重要だ。
一部気になる情報もある。六本木の中共大使館周辺は先週から警備陣が増強され、デモが大使館前に近付けなくなっているようだ。これは警視庁の独断ではなく、現政権の親中スタンスを反映したものではないか。
▼抗議参加者を規制する公安(NNN)
欧米などでは時折、わざと規制を弛めて、密かに抗議活動を後押しするケースもある。非公式に国家の立場を主張する老練なテクニックだ。今回では ドイツ、 フランス、ベルギーなどの場合が、それに該当する。
3月16日にベルギーの首都ブリュッセルで行なわれた抗議デモでは、中共大使館の壁にスプレーでスローガンを書き記した後、五星紅旗をチベット国旗に差し替えた。
■Belgian Tibet protest ■
この抗議活動で5人が拘束されたものの、控えていた警官は少なかった。ちなみにブリュッセルはEU本部のある、いわばお膝元である。
同じ日、パリの中共大使館でも抗議の参加者が正面からよじ登って五星紅旗を引き摺り降ろし、ポールに雪山獅子旗を結びつけた。
▼パリ中共大使館3月16日(AP通信)
簡単に辿り着くことは出来ない。警察が規制を弛め、ある程度傍観していたと考えられる。
急進的にも見える抗議だが、それだけに少し複雑だ…
【異例の緊急会見に高まる不安】
欧州各国で一斉に展開された大規模な抗議行動は、チベット支援グループの存在が大きい。長年にわたってチベット問題に取り組んできた人々である。
かつてインド北部で何人もの熱心なチベット支援者に接する機会があったが、概して物静かな印象の人たちが多かった。彼らが求めるのは「心の平安」で、「暴力」や「闘争」とは決定的に無縁だ。
▼ベルリン中共大使館前で祈る男性(AP通信)
そうした人々が、今回の大虐殺を目の当たりにして声を張り上げている。現状を知って憤慨するのは当然だ。しかし、葛藤もあるだろう。それは決意して立ち上がったチベットの僧侶たちも同じに相違ない。
憤りと嘆きが、激しく交錯する。「心の安からさ」とは余りにも遠い。
▼シカゴの抗議デモで祈る人々(ロイター)
チベット支援者らは3月18日、震えを覚えたのではないか…
その日、ダライ・ラマ14世法王猊下は、再び記者会見を開いた。「文化的ジェノサイド」と語った16日の会見から、僅か2日後の異例の会見である。その席では退任を示唆する発言も飛び出した。
「事態が手に負えなくなれば、私には、完全に退任するしか選択肢がない」
▼3月18日夜の会見(AP通信)
ショックを与えたのは、その発言内容ではない。これまでの猊下とは様子が異なるのだ。普段のように微笑んだり、おどけたポーズを見せたりしたが、何か違う…非常に、シリアスだ。
亡命政府に届いている情報は、メディアがキャッチしているよりも遥かに深刻なのではないだろうか。今や、中共侵略政府の恐怖支配は占領下チベット全域に及んでいる。
【中共軍に再び戦慄するチベット高原】
主要な僧院は武装勢力に包囲され、祭礼を執り行なう状況にはないようだ。圧倒的な火力を前に、立ち向かう術は殆どない。そして、あの時のように、国際社会は見て見ぬ振りを決め込んでいる。
▼台湾国で祈り捧げる僧侶ら(AP通信)
1950年代、中共軍が東から侵攻し、チベット高原を血で染め上げた時、国連はラサからの悲鳴に耳をふさいだ。何度となく、チベット政府は各国に支援を求めたが、冷たくあしらわれた。
今回も情報の闇の中で、中共軍がチベット全域に増派され、恐ろしい人権蹂躙が進行している。野蛮な中共軍兵士らが紳士的な対応をしているはずはない…
▼デリーUN事務所前に翻る雪山獅子旗(AP通信)
50年代に粗末な武器で中共軍と対峙したチベットの闘士ゴンポ・タシは、東部カム地方に出現した地獄絵図を詳しく説いている。
ゴンポ・タシの証言。
「女性たちは公衆の面前で素っ裸にされ、夫が罪を認めないと彼女たちはその目の前で強かんされた。長い間男やもめで過ごしていた中共兵に不服はなく、彼らは嬉々として強かんの命令に従った。また夫たちは人びとの前で妻と性交するよう強制される場合もあり、その後たいてい処刑された。そして妻や娘は中共兵に投げ与えられた。
尼僧もこの暴力から免れることはできなかった。裸にされた僧侶は、これも素っ裸にされた尼僧と性交するよう強制され、中共軍はこれみよがしに、“これがチベット仏教とその純潔さだ”と嘲笑った。
その後僧侶たちの多くは処刑され、尼僧は中共兵の餌食にされた。年に関係なくいたる所で女性は強かんされ、それも何度も犯され、揚句殺されていった」
(マイケル・ダナム著『中国はいかにしてチベットを侵略したか』140頁)
どうかチベットに慈悲を、ブッダよ。
〆
最後まで読んで頂き有り難うございます
クリック1つが敵に浴びせる銃弾1発 となります
↓
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【Side sotry】
一部、不快感を与えかねない写真を敢えて掲載しました。また、それらの写真に関しては独自の修正を加えています。
参照:
Free Tibet CanpaignWebサイト
参考記事:
■RFA3月15日『Tibetans Cite Spreading Unrest, Mounting Death Toll, as China Clamps Down』
■AFPBB3月18日 中国甘粛省のデモでチベット人19人射殺、チベット亡命政府が発表
■AFP3月18日 『中国政府、チベットへの外国人渡航者受け入れを停止』
■イザ3月19日『遺体写真に銃創 ロンドンの国際人権団体が公表』