大手食品メーカーが大豆ミート食品に注力している。数年前までは健康志向の高い人や、肉が食べられない一部のユーザー向けの商品だったが、2015年に参入した味噌メーカーのマルコメに続き、昨年11月にボンカレーの大塚食品、菓子大手の亀田製菓も参入。一般的な消費者層の目に触れる機会が格段に増えた。同時に、欧米でビヨンド・バーガーやインポッシブル・バーガーが急拡大していることもあり、“お豆のお肉”に大きな注目が集まっている。ここでは、国内の大豆ミート食品の最新事情を紹介する。

大豆ミートで作った肉団子。写真は、大豆ミート料理歴20年以上の大豆ミート料理研究家 坂東万有子さんが料理したもの。20年以上前に「肉や魚とはまた違う美味しさを知ってその魅力の虜になった」と語る坂東さんは、現在、料理教室「SOY食クッキング」を主宰。著書に『お肉好きも満足!大豆ミートのヘルシーレシピ』(写真提供:坂東万有子さん)

見た目も味も食感も“まるでお肉”…。そんな、大豆を原料とした肉代替商品の国内市場が活性化している。

既に北米では、エンドウ豆を主原料とした「ビヨンド・バーガー」(※1)や、小麦やとうもろこし、大豆など様々な植物をベースにした「インポッシブル・バーガー」(※2)といった「ミートオルタナティブ」「フェイクミート」などと呼ばれる肉代替商品が急速にその存在感を高めている。

(※1):「ビヨンド・バーガー」(BEYOND BURGER)は、米サベージ・リバー社(Savage River)が手がける「ビヨンド・ミート」(BEYOND MEAT)ブランドの肉代替商品。このほかに「ビヨンド・ソーセージ」(BEYOND SAUSAGE)もある。

(※2):「インポッシブル・バーガー」(IMPOSSIBLE BURGER)は、米インポッシブル・バーガー社(Impossible Foods)が手がける肉代替商品。

欧米の食品スーパーには肉代替商品のコーナーが設けられ、客はそこで様々な肉代替商品を選んで買える状況が普通のものになりつつある。

米国やヨーロッパの食品スーパーで見られる肉代替商品、乳代替商品の棚・コーナー。多くは冷蔵もしくは冷凍食品のコーナーにある。(資料提供:大塚食品)
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「ビヨンド・バーガー」の衝撃

さらに、こうした肉代替商品を選べるハンバーガーショップが急拡大している。米国に2890店舗、世界37カ国に約700店舗を展開する全米第5のハンバーガーチェーン「カールスジュニア」(Carl's Jr.)でビヨンド・バーガーが採用されたほか、ニューヨークを中心に店舗展開するオーガニック系のハンバーガーチェーン「ベアバーガー」(Bareburger)では、ビヨンド・バーガーとインポッシブル・バーガー両方を選べるようになっている。

米国以外でも、ヨーロッパ、アジア圏でこれらを食べられる地域はどんどん広がっている。日本国内のテレビやネットでも、たびたび取り上げられるようになってきた。カールスジュニアもベアバーガーも既に日本進出を果たしており、日本で植物由来のハンバーガーを食べられる日は近いのではないかと期待が高まっている。

ニューヨークを中心に店舗を展開するオーガニック・ハンバーガーチェーン「ベアバーガー」(Bareburger)の最新メニュー。肉代替のインポッシブル・バーガー(左の赤枠)とビヨンド・バーガー(右の赤枠)はメニューの上方に並んで掲載されている。ベアバーガーも既に東京(銀座と自由が丘)に出店しているが、2019年2月15日現在、これら植物由来の2つのバーガーやパテはメニューに載っていない。(メニュー画像提供:米Bareburger)
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