家屋耐震どうチェック 専門家の派遣診断活用を マンションは合意形成必要

 続く地震で「うちの家は大丈夫か」と気をもむ方も多いのではないか。国は1978年の宮城県沖地震で大きな被害が出た反省から、81年に震度7程度を目安とする新たな耐震基準を設けたが、それ以前の旧基準で建てられた住宅はマンションの場合、全国に106万戸あり、17・3%を占めるのが実情だ。まずはわが家が新旧いずれの基準かの確認から始めたい。その上で耐震診断をどうするか。専門家の話を聞いた。

 まず、一戸建て住宅の耐震診断と改修に携わる建築会社「住環境工房らしんばん」(福岡市中央区)の白水秀一さん(52)を訪ねた。このところ電話は問い合わせで鳴りっぱなし。白水さんも熊本県益城町に入り、被災状況を見て回った。

 「旧基準の家屋ほど、屋根瓦の重みに耐えきれず1階が崩れていました。瓦は台風に強いとされていましたが、今は重さが半分程度の軽量屋根材があり、これを使った家は持ちこたえていました」

 白水さんは福岡市の要請で2007年に同市耐震推進協議会を設立し、これまでに福岡都市圏の家屋約1100軒を診断した。2人一組で屋根裏や床下に入り込んで強度を確認する地道な作業だが、料金は3千円に抑えている。それも耐震知識を普及するためのセミナー開催費に回しているという。

 というのも診断で問題が見つかっても、家主が改修を決断するケースは3割程度にとどまるからだ。

 「補強にかかる費用は2階建て延べ床面積35坪(約115平方メートル)で150万円というところですが、壁を耐震材に替えても、リフォームと違って見た目が分かりにくい。高齢者の住まいは子どもが反対することも。恐怖をあおるわけにもいかず、耐震への理解を広げるボランティアのつもりでやっています」

 木造住宅の耐震診断は福岡県建築住宅センターも3千円でアドバイザーを派遣している。改修費用に関しては全国の自治体が補助制度(上限30万~70万円)を導入しているが、知識の普及が課題となっている。

 集合住宅のマンションは一戸建て以上に合意形成が難しい。慧(けい)建築事務所(福岡市博多区)の小林俊則さん(70)によると、耐震診断の費用は設計図面が残っているかどうかにもよるが、床面積1平方メートル当たり約千円という。同市の実績調査では一つのマンションで千数百万円と、まとまったお金が要る。

 もちろん、各自治体には一戸建てと同様に旧耐震基準の建物を対象とする補助制度があり、福岡市では診断費用の3分の2、改修工事に費用の23%を補助している(補助金の受給や計算方法には細かい条件がある)。また以前は、住民の4分の3の同意が必要だった意思決定も過半数に緩められた。

 だが、福岡マンション管理組合連合会の杉本典夫会長(83)は「住民の高齢化などで、意見をまとめる役員のなり手がない状況がネックとなっている」と話す。耐震診断をすること自体に「資産価値が下がる」などと反対論が出るという。

 同連合会では管理組合への理事長など役員の派遣に取り組んでいる。安全対策は費用もさることながら住む人の結束が第一のようだ。

 〈問い合わせ先〉

 ▽福岡市耐震推進協議会=092(724)7744。28、29日、6月4、5日の午前10時~午後4時に補強工事の現場(同市東区三苫3-30-2)で見学会を開く。駐車不可。

 ▽福岡県建築住宅センターの木造住宅耐震アドバイザー派遣申し込み窓口=092(582)8061

 ▽福岡マンション管理組合連合会=092(752)1555


=2016/05/05付 西日本新聞朝刊=

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