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2006-12-03

おかゆまさき『撲殺天使ドクロちゃん』(50/50)

最後は「ドクロちゃん」で行こうと心に決めていた……

決めるなよ>俺

撲殺天使ドクロちゃん (電撃文庫)

撲殺天使ドクロちゃん (電撃文庫)

ラスト三冊は結果から言うとどれを最後にしても良かったと思う。

ある意味ライトノベルというジャンルの極北にある作品を扱うのがこの50冊の最後を飾るにふさわしいのではないかと考えていた。

ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪

おおよそのあらすじは知っていたが、まさかこれほどとは……。いったいどこから突っ込めというのか。文体とか設定の一貫性とかそういうところをあれこれとりあげた時点で負けになるような気がします。

読む人をかなり激しく選ぶ作品だと思うが楽しめる人は楽しめということです。ええ、もちろん楽しみました

2006-12-02

西尾維新『クビキリリサイクル』(48/50)

期待が大き過ぎたかもしれない……。決して悪い作品ではない、むしろトリックの展開を含めいろいろと興味深かった(動機の解明は最後の最後ですか!)が「こいつはスゲエ!」というような驚きは感じません。第23回メフィスト賞を受賞した「戯言」シリーズ第1作。

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社ノベルス)

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社ノベルス)

本格ミステリの枠組にライトノベル的なキャラクター小説の趣向を持ち込むことで、本格ミステリが元来もっているつくりもの的な側面を相対化しているところがおもしろさ?

実は本格ミステリーとか密室ものはそれほど読まないもので……、そのあたり他の読者が感じるの新鮮さがいまひとつピンときてないのかもしれません。

本作は近年のエンターテインメント文芸上の「事件」であるかもしれないけど既に「ライトノベル的」世界に(膝上くらいまで)浸かった自分には〈青髪サヴァン〉玖渚友ちゃんのキャラは小説世界の登場人物としてそれほど違和感はなかったのです。

桜庭一樹『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』(49/50)


GOSICK』シリーズを同じ富士見ミステリーから発表中の桜庭一樹の200ページあまりの単体作品であるが、これも間違いなく彼女の代表作になるのだと思う。

結末まで読み泪が止まらなかったのは、砂糖菓子の弾丸を撃ち尽くして「生き残れなかった少女」に対してなのか、それとも実弾を抱えつつ過酷な現実を生き残っていこうとする少女のためなのか……。「実弾」を携えた兵士として再生の道を歩む主人公の兄の姿が作品中の救いである。

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (富士見ミステリー文庫)

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (富士見ミステリー文庫)

2006-11-27

沖田雅『先輩とぼく』(47/50)

ふざけたドタバタかと思えば、意外に考えさせる作品だったり。

先輩とぼく (電撃文庫)

先輩とぼく (電撃文庫)

野村美月『赤城山卓球場に歌声は響く』(46/50)

ビバ!女の友情。ラストは泣けました!

2006-11-26

上野遊『彼女は帰星子女』(45/50)

あえてカテゴライズすると「特殊女子同居もの」でしょうか。ちょっと感動しました。

彼女は帰星子女 (電撃文庫)

彼女は帰星子女 (電撃文庫)

2006-11-25

佐藤ケイ『天国に涙はいらない』(44/50)

この結末から「続く」ってすごくない?

天国に涙はいらない (電撃文庫)

天国に涙はいらない (電撃文庫)

現在『私立三十三間堂学院』シリーズを刊行中の佐藤ケイのデビュー作。本作で2001年の第7回電撃ゲーム小説大賞の金賞を受賞、続編も好評で2005年まで11巻が発表されました。

代々霊能力者の一族の高校生が、高校で起こる怪現象を解決するために呼び出した守護霊はとんでも無い性格の天使でした。

主人公と天使の掛け合いのテンポが良くどんどんページが進みました。

ここがよかった

ここは今ひとつ



岩田洋季『灰色のアイリス』(43/50)

ああ、やっぱり!冒頭から薄々そんな予感がしていたのですよ。

灰色のアイリス (電撃文庫 (0687))

灰色のアイリス (電撃文庫 (0687))

本作は『護くんに女神の祝福を!』シリーズ(現在9巻まで)が好評の岩田洋季(いわた・ひろき)のデビュー作です。本についていた帯によると発表当時「18歳の天才新人作家」だったそうです。

異世界の存在を呼び出し使役する異空眼の保持者である主人公は失踪した姉を求めて4年ぶりに東京に戻ってきた、姉の娘である灰色の右目を持つ少女とともに。

かなり読む人を選ぶ作品でした。本作を手にとった方は結末のかなりダークな展開を覚悟してください。


一月十四日、真冬の風はまるで刃のようだった。鋭く。冷え冷えと乾き、夜空と都会の狭間を往来している。生物にも、そうでないなにかにも、風は等しく冷気を持ち運ぶ。

(P.12)

冒頭からデビュー作とは思えない文章なのですが、全然筆力が衰えません。結構硬質な文章なのでプロットを追うだけで進むわけでも無く集中して読みました。

ところが後半はあれ?って感じな部分が目に付くようになります

彼女が失踪した朝霧の忌み子――朝霧悠理であることはすぐにわかったよ。なぜかって?理由なんて必要ないだろ?彼女は、紛れもなく朝霧悠理なのだから

(P.234)

登場人物の一人のセリフなのです。別に論理の破綻をどうこう言っているのではなく、こういうことを言わせると読んでいて冷めてしまいます。

どうしてこんなことになったのか。未練たらしく渦巻き続けるその問いの答えは、世界が残酷だからだった。世界は残酷だ。そこにはなんの慈悲もなく感情もなく、どんな人間よりも残酷だった。

(P.310)

これも結末の重要なシーンの主人公の独白なのですが、彼が少女とともに四年間の放浪をするに至った蹉跌が十分伝わらないので、現在進行形で起こっていること=「決定的な対立」に対し「残酷」という言葉が浮いてしまってるように感じました。

敢えて言えば、本作は高い表現技法を駆使して〈中二病〉的な痛々しい世界観を表現しようとしてます。複雑な背景を物語のなかで自然に読者に説明してしまう技量は凄いと思いますが、そういう優れている面がある分、かえって致命的なテンポの悪さやキャラクターの単純さが気になったのも事実です。

ここが良かった

ここは今ひとつ

nogard
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読書感想サイト、ライトノベル中心、ときどき海外翻訳ものや学園ミステリなども食します。

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