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香港政府、アナログ放送停波時期を発表 2020年11月30日で終了へ

香港の電気店の売り場の様子

香港の電気店の売り場の様子

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 テレビ放送は現在アナログ放送からデジタル放送への移行期間中だが、香港政府は2月11日、2020年11月30日でアナログ放送を停波し、翌12月1日から完全にデジタル放送に移行することを明らかにした。スマートフォンでも第5世代(5G)が早ければ2019年4月から商業ベースでの利用が始まる計画となっており、香港は全面的にテジタル社会に突入することになる。

 香港は2007年にデジタル放送を開始したが、2004年に香港政府が計画した時点では2012年末までの5年間でアナログ放送を終わらせたいとしていた。しかし、2011年になると香港政府はデジタルテレビの普及率の問題から2015年に延期すると発表。だが、香港政府が思った以上に香港市民のテジタル放送を見る環境が整わず、再延期という形で2020年にテジタル放送が終わることとなった。他国を見るとイギリスでは2012年、日本では2015年、シンガポールは2019年1月にデジタル放送に全面移行しており、香港は少し遅れた形だ。

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 アナログテレビでは無線電視(TVB)の「翡翠台(Jade)」と「明珠台(Pearl))、香港電台(RTHK)の「港台電視31A(RTHK31A)」と「港台電視32A(RTHK32A)」、香港開電視の5波が視聴できる。デジタル放送対応テレビを持っていれば、これらのチャンネルに加え、32番の「港台電視(RTHK32)」、76番の「香港国際財経台(Hong Kong International Business Channel)」、82番の「J2」、83番の「無線新聞台(TVB News)」、85番の「無線財経・資訊台(TVB Finance & Information)、96番の「ViuTVsix」、99番の「ViuTV」が加わる。対応するには、電気店でテジタル放送対応用のセットボックスを買いアナログテレビとつなげるか、テジタル放送対応のテレビを購入する必要がある。

 テジタル放送を見ることが可能なのは全世帯の約88%で、残り12%に当たる約30万戸のうち18万戸はアナログテレビで、12万戸はテレビを保有していない。18万戸のうち16万戸は低所得で(高齢者が25%を占める)テジタル放送を見るためにセットボックスなどを購入するのは経済的に厳しい状況にある。そのため、香港政府としては終了までの約21カ月間で残り1割をテジタル放送対応テレビに切り替えてもらえるよう、2019年末から2020年の頭にかけて、16万世帯に対して基金などを通じて何らかの優遇措置を行う計画だ。

 併せて、アナログ放送で使われていた電波の一部をショッピングモール、香港国際空港、地下鉄など、電波が届きにくいインドアの施設用に用途変更する形で開放し、テレビが見づらかった場所でも、より見やすくなるようにしたい考えだ。