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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

外伝 槍の勇者のやり直し

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四聖教会

「ふむ、良いんじゃないか? 四聖教会とやらに寄って行ってからでも」


 錬が言うとお義父さん達は頷きましたぞ。


「見て驚くと良いぞ。世界でも名所と名高い四聖教会の本部なのだからな」


 エクレアがそう言うと四聖教会の総本山が見えてきましたな。

 確かに、召喚される前に海外旅行で見た大きな教会を思い出しますな。


「え? これ、城じゃないんだ?」

「確かにすごく大きいですけど、城はあの遠くに見えるもっと大きな建物じゃないんですか?」

「メルロマルクの城なんて目じゃないくらい大きな城があっちに見えるな」


 もはや四聖教会よりもフォーブレイの城の方にお義父さん達は目が行ってますぞ。


「それでも大きな教会だね……テレビとかで海外の旅行番組に出てくる建物みたいだ」

「言いたい事はわかるな。こんな大きな建物があるとは……ん?」


 錬が気付いた様ですぞ。

 視線の先を追いかけるとステンドガラスが見えました。


「あのステンドガラスの光ってる明かりはなんだ?」

「ああ、アレは勇者が召喚され、生存している事を証明する明かりだと言われている」

「そんなものがあるのか」

「あの明かりが輝き続ける限り、世界は安泰だとも言われる希望の灯だ」


 馬車から乗りだしてお義父さん達はその光を見ていますぞ。

 確か最初の世界のお義父さんは興味なさげでしたな。


「へー……」

「話はこれくらいにして行くか」


 錬が馬車から降りて教会に向かって歩き始めました。


「そうだね。じゃあ行って証明しなきゃね」


 お義父さんも後に続きますぞ。

 まあ、お義父さんに釣られて助手やモグラも一緒ですがな。

 俺と樹も後を追います。


「馬車はどうするのー?」

「近くに駐車場がある。そこに止めておいてくれ」

「わかったー」


 サクラちゃん達がエクレアの指差した駐車場に馬車を止めに行きました。

 車などがあるので、駐車場という言葉も違和感がありませんでしたな。

 俺達はサクラちゃん達が来るまで待ってから四聖教会の本部の建物へと行きました。


「石畳の階段……普段は気にも留めないけど、何か重厚に感じる気がするね」


 お義父さんが教会の建物を見上げ、階段を上りながら言いました。

 確かにそうですな。

 ここまでの石畳はフォーブレイでしか見られないでしょう。

 まあ石畳自体はどこの国にもありますがな。


「日本人だと新鮮に感じる感覚かもしれませんね。ゲームとかだと当たり前の様に通過する場所ですけど」

「VRだと特に違和感を持たなかったな」

「錬さんは、VRという既に異世界に近いゲームをプレイしていた様な物ですからね。もしかしてこの建物も来た事あるんじゃないですか?」

「名前は違うが……そうだな。大体中身がどんな作りをしているかも覚えている」

「僕もゲーム画面じゃ覚えのある建物なんですよ」

「何だかんだでゲーム知識通りの建物もやっぱりあるんだね」

「あんまり頼りにすると危ないのは身に染みて理解してますけどね」


 などと言いながら石畳の階段を上り、解放された大きな扉を潜って中に入ります。


「失礼する」


 エクレアが入り口で立っていたシスターっぽい豚に声を掛けますぞ。


「ブー!」


 丁寧な様子でお辞儀をしたシスターっぽい豚は俺達に目を向けますぞ。

 豚なので何を言っているのかさっぱりわかりませんな。

 ですが、豚の割には上品な印象を受けますぞ。


「メルロマルクから遥々召喚された四聖勇者が来訪した。どうか教会の者との謁見を願いたい」


 エクレアも一礼してから応じますぞ。


「エクレールさん? 俺達、何かした方が良い?」

「勇者だと証明する様な動作があればしてくれ。話がスムーズに進む」

「と言うと、こんな所か?」


 錬が剣を前に掲げてから何度も武器の外見を変更させました。

 確かに武器変更は証明の一つですな。

 まあ似た様な効果のある武具もあるそうですが。


「スキルを放つのも良いが、危険だろう」

「いや、それで良い。他にも機材を使って証明する事は出来るから、最初の印象では間違いは無い」

「似たような形状変化は再現出来ていることがあるそうですぞ」


 俺も聞いた話ですし、教皇が持っていた武器がそれですな。

 すると奥から神官がやってきましたぞ。

 こちらは男ですから、言葉がわかりますな。


「……確かに拝見いたしました。今すぐに、教祖様にお通しいたします」


 シスターっぽい豚は早足で建物の奥へと行きましたぞ。

 入れ違いに、神官が俺達を建物の内部へと案内しましたな。

 入り口から見える礼拝堂を抜けて、奥にある応接間のような場所で30分くらい待ちましたかな?


 それから四聖教の教皇ですかな?

 初老の男性が俺達の元へとやってきました。

 三勇教の教皇とは雰囲気の異なる……恰幅が良い人物ですな。


 こう、三勇教の教皇は常に笑顔を絶やさぬ怪しさがありましたが、四聖教の教皇は周りに笑顔を振りまくような温和そうな外見……とでも言うのでしょうか?

 別に太っている訳じゃないですぞ。

 服がゴテゴテしてて、着膨れしている感じですな。


「おっと!」


 いきなり転んでオタオタとしてますぞ。


「これはこれは……四聖勇者様方。よくぞ遠路遥々フォーブレイにいらっしゃいました。ハイ」


 ……凄く胡散臭いと思ってしまうのは俺の気の所為ですかな?

 誰かに似ている様な気がしますぞ。


「親戚に魔物商人が居ませんかな?」

「はい? そのような親戚はいませんが……?」


 気の所為ですかな?

 もしくは隠しているのですかな?

 遠い親戚だと俺は思う事にしました。


 きっと、本家とかでは無いですかな?

 で、魔物商の親戚関連は分家なのですぞ。

 本人も知らないのかもしれませんな。


「では四聖勇者様方を証明するために、少々眩しいかもしれませんが、こちらをご覧ください」


 そう言って四聖教の教皇は錫杖に付いたかざぐるまのような装飾品を俺達に向けますぞ。

 すると俺達の武器がそれぞれ輝いて、そのかざぐるまに光を放ちました。


「確かに確認いたしました。四聖の勇者様で間違いない様ですね」

「ああ、それが勇者を証明する道具なんだ?」

「はい……何分、勇者を偽る輩が今まで、伝承の時代から後を絶たないので……」

「そういう道具もあるんだな」


 錬がマジマジとかざぐるまを見つめていますぞ。

 俺はここに来るのは……初めてですな。

 でも、城の方でこの教皇を何度か見た様な覚えがありますぞ。


 ですが、タクトの事件時にも色々と立ち回って居たのでしょう。

 婚約者が国を継承した時にも顔は出していた覚えがあります。

 お義父さんは謁見を拒んでいましたが……宗教は苦手でしたからな、お義父さんは。


「城の方へ謁見に行こうと思っているのですが、これで身分証明は出来ましたか?」

「はい、問題ありません」


 四聖教の教皇が更に水晶で映像を撮りましたな。


「城の方にはこれで特に何かせずとも入れるようになりましたです。ハイ」

「そうか……じゃあここにはもう用は……無いのか?」


 そこに教皇が間に入りますぞ。


「お待ちください勇者様方。どうか勇者様方にご覧頂きたい物があるので、どうかお時間を用意できないでしょうか?」

「ん? 何があるんだ?」

「過去の勇者様と終末の予言を行った予見者が残した碑文があります。此度の勇者様方が立ち寄った際には是非とも閲覧させてほしい、と預言者が残したそうで、語り継がれております」

「あー……あれじゃない? この世界に召喚されてすぐに説明されたよね」


 そんなのありましたかな?

 思い出してみますぞ。

 ……おお! 確かにクズが説明していましたな。

 クズが偉そうにしていたのと、あまりにもありがちな話だった事しか覚えていません。

 というか、俺達が召喚された理由だったかと。


 その予言をした預言者が残した碑文ですか。

 よくよく考えてみれば過去の段階でその様な予言を残しているのは凄い事なのではないですかな?

 となると見ておく必要があるかもしれません。


「なるほど……とは言っても」

「僕達、まだこの世界の文字や魔法の習得をそこまで出来ていないんですよね」


 そうですな。

 お義父さん達には俺が教えておりますが、まだ魔法を習得出来ていないのですぞ。

 せめてとばかりに魔法屋で簡単な魔法を玉で習得し、魔法の感覚を掴んで貰っている段階ですな。


 まあ、俺が翻訳したメルロマルクの文字で異世界の文字を学んでいる最中ですぞ。

 魔法文字に関しても簡単な物は読めるでしょうが、魔法書はまだ購入していませんでしたな。

 メルロマルクにいる時に買っておけば良かったですぞ。

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