俺が選ぶライトノベル32傑作選


2chのまとめブログで「俺が選ぶライトノベル32傑作選」というのがあり、なかなか見所のある選出だったので自分で選ぶならどうなるかなーと思ってちょい雑記書きです。
ちなみに「http://vipsister23.com/archives/4556902.html」です。
 

 アニメは黒歴史。久しぶりの新作は絵師変更でトラブルと無事完結するのかわかりませんが、前半はマジ名作です。
 荒廃した砂漠を舞台になんでも屋の火乃香が様々な出来事にぶつかり、相棒ボギーとともに解決して作品。
 ファンタジー要素・ミリタリー要素・ヒューマン要素などなど多数の要素を内包したラノベらしいファンタジー作品。

  • 2.気象精霊記シリーズ

 これまた出版社とのトラブルで続編が絶望的なシリーズですが、未だに大好きなお話。天気予報を見るとわくわくします。
 気象を取り扱う精霊たちの物語。主人公ミリィを中心にバカやって、酒飲んで、ちょちょっと天気を操ってバカをする。
 とにかく快活で気持ちのいい作品。文章表現にちょっとクセがあったりしますが、面白い作品です。

 ゲームのオープニングで登場する4人組のことが描かれており、戦争の原因・黒幕について語られている。
 ゲームの外伝小説でこれを越える作品にはまだ出会えていません。とにかく主人公ウィノナとダオスの物語が切ない。
 すでに絶版となっており、手に入れるには古本屋で見つけるしかないでしょうがテイルズ好きなら読んでみて欲しい。

  • 4.PAIN KILLER

 スーパーダッシュ文庫の前身であるスーパーファンタジー文庫で出版され、売れ行き不振で打ち切りとなった名作。
 とにかく 箱田 真紀さんのイラストとの相性が抜群!かっこよくて、かわいくて、そして主人公がしっかりと戦う痛快アクション。
 主人公キースとティアの掛け合いが微笑ましく、また豹変したキースの強さに惚れます。

 肉と血と骨の話。ラノベは萌えだけとかいう人にぶつけるときっと途中で投げられること請け合いの一冊。
 とにかく痛くて悲しくて辛いのに、わけのわからない希望にすがって読んでいく一冊。無事に完結したことが嬉しい。
 一巻を楽しめた人は最後まで楽しめるはず。どこまでも、肉と血と骨の話です。

  • 6.リングテイル

 正統派ファンタジー巨編。ダブルブリッドと同時の第6回金賞受賞作。この頃の電撃はマジですごかったです。
 完璧な正統派。当時ですら異色。今なら確実にメディアワークス文庫かハードカバーで刊行されているほど堅い作品。
 魔術、魔物、世界観。どれもが群を抜いていて今でも十分通用する出来なので、ぜひ復刊してほしい。

  • 7.キーリ

 面倒くさい男と面倒くさい女の子の救いを求めた物語。荒廃した世界で大戦の遺産となった不死人の男と普通の女の子の旅。
 旅の中で出会う人々と接することで成長していく流れはとても綺麗で、悲しい。
 痛みがないはずなのに痛みがあり、徐々に壊れかけていくものを必死で崩れないように抑える手の美しいこと。

 物語が進むにつれて、その痛みと悲しみのあまり途中で読めないままになっている、個人的未完の作品。(作品自体は完結済)
 月森冬馬と深雪のラブラブっぷりを見れば見るほど望まぬ戦いが痛々しい。何もなければ幸せな家庭を築けたはずなのに。
 珍しく主人公が高校生ではないです。

 富士見ファンタジア大賞の第9回佳作。ファンタジー世界における技巧の表現力が突出した名作。
 キャラクター造形は素晴らしいし、物語の展開も大きくもあり小さくもある。1998年に出てからこれと同じネタを使ったヒロインを見たことがないところがこの作品のすごいところである。

 富士見ファンタジア文庫黄金時代の傑作。ファンタジー小説としてこれほどダークで胸を打つ作品を手軽に読めるのがラノベのいいところ。
 その後に出た「眠り姫(短編集)」と一緒にあわせると感動できること必死。
 ファンタジー小説として大規模な問題を小規模な形で描かれるのが最高。

  • 11.仙・龍・演・義 開演! 仙娘とネコのプレリュード

 第15回ファンタジア長編小説大賞佳作受賞作。仙人見習いの少女リィファと魔人ノワールの掛け合いが面白い。
 見た目少女の中身はババ○が主人公というラノベらしさもありつつ、異色でもある作品。
 後半の駆け足展開はマイナス点ではあるものの、ラノベファンタジーとしては非常に良く出来ていて続編がないことが残念で仕方がない。

  • 12.電蜂 den-pachi

 設定がとにかくすごい作品。この設定だけを使って何作も描けばよかったのに一作だけで終わらせたのが勿体ない。
 ケータイを用いたサバイバルゲーム。現代的であり、同時にそのファンタジーな力を用いた駆け引きは見事。
 本当にどうしてこの作品を一回で終わらせてしまったのか。

  • 13.消閑の挑戦者

 現時点での天才と新しい人種(人類)との世界を駆けた戦い。でも、ゲーム。
 主人公のヒロイン的な魅力は皆無に近いが作品とゲーム性の魅力は抜群な作品。脳を揺さぶられる戦い方は実にわくわくする。
 アクションと頭脳がぴったりとくっついた作品展開は読み応えがあります。

  • 14.echo―夜、踊る羊たち

 儚い雪のような作品。まるで夢遊病か夏の日の蜃気楼のような作品と見せかけた超絶妹萌え作品。
 いや、見せかけているわけでもないのですが、どこか、何かがおかしくて、その何かを知ろうとするほど落ちていく。
 ミステリーでもホラーでもなく、幻想的なヒューマンストーリー。喪失を知る物語。

 電撃文庫テイルズのノベライズと双璧をなす作品。原作未プレイなのでもしかしたら微妙なのかもしれないが個人的には好き。
 原作のゲームとは大幅に設定を変更しているのですが、主人公とヒロインの繋がりが心に響きます。
 90年代のファンタジー作品らしい王道感が心地よいです。

 1994年という高度成長期だからこそ生まれた作品。まだネットゲームの可能性が無限であったころの空想の物語。
 設定自体は2011年現在ではさして珍しく感じないかもしれないが、その圧倒的な文章力は類似作品を引き離しています。
 仮想世界への夢はこの頃からあったんだと、ちょっと感慨深いです。

  • 17.Astral

 幽霊との心温まる物語と見せかけて、妹萌えの作品。超絶に萌えること請け合い。どうして打ち切られた!?
 幽霊を見える主人公が幽霊と関わりあいながら成長したり、吹っ切れたりしつつ、妹の思いに気づかないお話です。
 とにかく妹が可愛らしい。繊細なタッチで描かれた妹ほど胸に響くものはありません。

  • 18.ペリペティアの福音

 ソノラマ文庫。SF+宗教+科学のお話。上中下と今揃えるのは本当に大変な作品です。
 とにかく重厚で大量の人間が絡み合い、謎が巻き起こり、少しずつ解かれていく。そのレベルがえげつないです。
 イラスト買いをして思いっきり話にのめりこんだ、ライトノベルとして正しい表紙詐欺です。

  • 19.こんなに緑の森の中

 またしてもソノラマ文庫。そして結賀 さとるです。こちらも表紙詐欺なくらい不思議な一夏の物語です。
 元高校球児の少年が一夏の間やってきたアパートには変わり者の住人たちが、とよくあるような設定ですが、そこに色々不思議な要素が組み合わさり、夏の空気を感じる文章が哀愁を誘います。
 高校野球が好きな人は読んでみるといいかも。あと「コンビネーション」も野球好きにはお勧め。

 青春系ライトノベルとして第一巻の最大瞬間風速はかなりの高水準! 2巻以降はキャラ紹介などで徐々に失速気味。
 ですが走りたいという衝動。何かよくわからないものに突き動かされる。そんな十代特有の、盗んだバイクで走り出すような勢いが描かれています。
 特別な能力はなく、技術と特技のみがでる現代学園モノとしてはとても正統派です。

  • 21.創雅都市S.F

 都市シリーズの中の電撃イラストノベルという、少し異質なもの。か・き・ふ・ら・いー!で撃墜されました。
 都市シリーズ自体は都市ごとに設定が異なるし、キャラも異なるので把握が結構大変なのですがイラストノベルという形で描かれた本作は比較的わかりやすかった。
 境界線上のホライゾンがわかりにくいという意見がありますが、都市シリーズに比べれば数倍わかりやすいと僕は思います。

 富士見ミステリー文庫で刊行され、今は創元推理文庫で刊行中のシリーズ。
 富士見ミステリー文庫が変な舵を切る前に出た正統派のミステリー小説。キャラクターの掛け合いが面白く、魅力的。
 それでいてミステリー小説としても一定の基準に達している。

 角川スニーカー文庫で刊行され、今は角川文庫で刊行中のシリーズ。実は愚者のエンドロールから読み始めました。
 人が死なないミステリー。日常系ミステリーを僕に教えてくれたシリーズ。キャラクターたちの掛け合いの面白さもさることながら、最後にほろ苦さを与える話の構成が見事。
 そして角川スニーカーで出た愚者のエンドロールにおけるイラストは今でも僕のイメージイラストです。 

  • 24.カオス レギオン

 ある意味でゲームを超えた傑作。天地明察で一躍有名になった冲方丁によるカオスレギオンのノベライズ。
 主人公および登場人物はほぼ一緒だが、ストーリーの重厚さ、盛り上げる力はさすが冲方丁である。
 大本がゲームの設定なのでとっつきやすく、楽しみやすい。ファンタジー小説としてはかなりの傑作である。

 いったいいつ完結するんだろうね。紋章・戦旗の2シリーズが刊行済み。
 スペースオペラシリーズとして非常に大規模な世界観をしっかりと描かれている。その中で魅力あるキャラクターが多数登場。
 でも、スペースオペラとしては登場人物が少なく、わかりやすい。SF入門としておすすめ、なのか?

 一巻で純愛のラノベ的な悲劇を描き、感動を与え、2巻以降でSFに移行して度肝を抜かれた作品。
 繊細なイラストと合わさって非常に繊細で儚い作品となっています。十代の少年たちが世界を救うために閉鎖された空間で生きる。
 ライトノベルとして正統派の現代SF物語。最後まで純愛を貫いたのが見事。

  • 27.鳥は星形の庭におりる

 すごくかわいいツンデレ少女。気持ちいいくらいのツンぶりに『きつい物言いも彼女の魅力と思え』である。
 どうしてこの少女の続刊で出さなかったのか謎でしょうがない。謎とファンタジーを上手く組み合わせ、少女の魅力で引っ張っている。
 恋愛色が薄めで一巻完結なので男性でも楽しめると思います。

  • 28.エノーラ=ホームズの事件簿

 たぶんそこまでの大作ではないし、傑作とか名作ではないと思うんです。でも、面白いし、好きなんです。
 女性蔑視の社会において女の子が一人で孤軍奮闘する痛快アクション物語。推理要素はジュブナイル並なので期待しないこと。
 最終巻がどういうわけかでなくて、ずっと待っております。

  • 29.シュガーアップル・フェアリーテイル

 女の子ががんばる作品であり、アトリエシリーズが大好きな男子としては美味な作品です。
 一巻から新人離れした文章力・構成力・展開力で魅了してくる。しかもキャラクターを大事にしており、無闇に新キャラを出さないのも好感が持てる。
 恋愛色も薄めなのでぜひとも男子に読んで欲しいと今でも思っている。

  • 30.奇蹟の知性

 知る人ぞ知る作品。北条 風奈が描く初めてのオリジナル作品は電脳空間という仮想空間への夢が詰まっている。
 もう今では手に入れることすら困難だと思いますが、もし古本屋で見つけたら手に取ってみて欲しい。
 電脳世界というデジタル空間を描き、デジタルの可能性と幻想的で不思議な空気は今では珍しいかも? 

 僕をラノベに引き込んだラノベの金字塔。ペパーミント辺りまでは本当に面白く、それ以降は徐々に初期の雰囲気が消えた感じ。
 歪曲王までの三巻はとにかく中二病への影響力は絶大。イマジネーターの中二を導く力はやばい。
 後半はやや失速気味ではあるものの、現代能力者としてはやはり別格か。

 色々な意味で衝撃を受けた作品。後にも先にも周囲の人間に布教をした小説はこの作品だけ。
 言わずと知れた百合作品の傑作。軽快なタッチで描かれているのに、少女の繊細な心の動きを描いているのはすごい。
 一つの形として完結し、もう終わりかな、と思ったところで『ステップ』で受けた衝撃は地味に大きかったです。 
 
 
こんな感じで、古いのばかりで構成してみました。結構手に入れるのが大変な作品が多いです。
個人的には正統派な作品が好きで、今時分のパロディ多めの作品は今ひとつ。
ここに入れていない中でも、富士見ファンタジアの少し前の受賞作やミステリー文庫とかで好きな作品があります。
でも、あまり参考にはならない、かな。これでは。