・・・・・・・・・・・・・・・ artist SPANK HAPPY ・・・・・・・・・・・・・・・ cover ・・・・・・・・・・・・・・・ title COMPUTER HOUSE OF MODE ・・・・・・・・・・・・・・・ including 1.FRENCH KISS 2.フォーエヴァー・モーツアルト 3.ジャンニ・ヴェルサーチ暗殺 4.EINE SYMPHONIE DES GRAUENS 5.SWEETS 6.RIOT IN CHOCOLATE LOGOS 7.たのしい知識/LE GAY SAVOIR 8.THEME SONG UNDER THE CLOUDY HEAVENS 9.麻酔 10.ホー・チ・ミン市のミラーボール ・・・・・・・・・・・・・・・ genre ハウス ・・・・・・・・・・・・・・・ release '02 ・・・・・・・・・・・・・・・ label KING RECORDS KISC965 |
俺なんかがスパンクスについて語る稚拙な文章を読むよりも、ここを参照してもらえれば一番わかりやすいのでは。 「スパンク・ハッピー(愛称:スパンクス)」という男女ふたりのユニットの成り立ちからリリース、毎日更新される日記、80年代、ジャン・リュック・ゴダール、フェティシズムまですべて現在進行形で書かれているからだ。スパンクスの音楽を聴き、聴き手が想像するすべての疑問や想像、、、要するに打ち込みに使った機材、参加ミュージシャンから歌詞の深読みまでも、その回答はあらかじめ(或いは後ヅケ的に)すべて用意されている。だから単純に、アタマとカラダに入ってきた感覚や快感/不快感、感想だけを徒然る(つれづれる=だらだら書く、言う。あ、クロロ語ね)のがお似合いだ。 んで。以前、先行マキシを聴いたときに日記に「打ち込みポップスの理想型」と書いたのだが、アルバムになってもそれは崩れていない。チャート音楽の打ち込みが雑音に聴こえる。BoAなんか田舎に帰れ。 んで、そのトラックに決して下手ではないが上手くもない舌足らずな美少女(見た目もすっげえ可愛いんだよね)岩澤瞳の声が「獣の言葉で 汗をかくなんて 退屈なお芝居なのに(フォーエヴァー・モーツアルト)」なんていう歌詞で乗っかってくるんだから、俺のツルツルのノ―ミソじゃ「萌え音楽」としか表現できないぜ。文句あるか。とにかく聴いてみろ。特にポップな音楽が好きな30歳前後の男ならドロっとしたものが胸の中に溜まること間違いないぞ。 と、そこまで言いながらも自分の中では最高ではないんだよな。それはメンバーの菊地成孔のキャラクターに依るんだと俺は思う。 リンク先にあげた菊地自身のサイト、日記や雑誌の文面を通して「スパンクスの歌」の元ネタや計算がしつこいくらいに読み取れる。例えば「「何も見ないで」「目隠しいかが?」(FRENCH KISS)」なんてフレーズには思いきり萌えてしまうが、一瞬で我に返ってしまう。それはあらかじめ用意された台本どおりに進んでいくセックスのようなもので、その台本どおりに相手の感じる部分を愛撫し、挿入し、後始末してホテルの会計シーンまですることまでも決められているのに似ている。それはある程度の快楽はあるのだろうがほんの一歩のところでハマれないのは、スパンクスの歌に萌える瞬間に菊地自身が見え隠れするからだ。 そういう音楽はいくつかある。すぐに思いつくのはピチカートファイヴとモーニング娘。だ。「台本」が用意されていることも知っているが、スパンクスよりも直情的に聴ける。それはプロデューサーの才能、音楽や作詞上のデータ的なテクニックなどではなく、単純に「込められている念」の質の違いなのだと思う。前者は時代に流れる価値観や風俗、空気とそこから生まれる人の心(つまり愛情だ)を「台本」に綴る。後者は「どんなにみっともなくて下世話でもいいから自分が本当にかけてもらいたい言葉、歌って欲しい言葉」を赤裸々に綴ってある台本だ。この2つと比較してしまうと、スパンクスはすべてにおいて、菊池が菊池自身のためだけに作られたもののように見えてしまう。「僕はこんなにステキな歌を造れるんだよ、褒めてくれよ」という菊池が見える。 それでも俺はスパンクスを愛す。小西のようにクールになりきれず、つんく♂のように開き直れない、女性化願望のある(これは確認していないがきっとそうだ)40男が造る歌が本当に好きだ。岩澤瞳の可愛さも好きだ。単純に流れてくる音のみを愛するのではなく、キャラやバックボーンまでまとめて楽しむ。そういう音楽の愛し方もアリなんじゃないかなあ、と。 もし俺がこの性格のまま、この時代にミュージシャンとして生まれていたなら絶対にスパンクスのような音楽をやっているからだ。 まだ聴いていない人がいるなら、情報は何も入れないままでスパンクスを聴いてみてください。本当は「街で偶然かかっているところを耳にした」という出会いの音楽だったら、俺は一生聴き続け、スパンクス以上のものはない!と言い切って後悔しないでしょう。それくらいステキなんだってばさ。だから冒頭と矛盾するけどスパンクス聴いたことない人や興味が湧いた人はあまり菊地のページを熟読しないほうがいいよ、楽しみ減るから。本人もそう言ってるし(笑)。 ああ、徒然てるから変な文章になっちゃったなあ。でも言いたいこと言えたからいいや。 |