翻訳をしようと思われたきっかけについて教えてください。
2017年9月にイギリスのファルコンリーセンター(猛禽だけの動物園)を訪れた際、創立50周年記念イベントに来場されていた著者のニック・フォックス氏に原著の感想を伝えたのがきっかけです。自分のハヤブサを調教するうえで、最も役に立った一冊でした。
なるほど、イギリスまで著者に会いに行かれたのですね。
いえ、著者に会えるとは知りませんでした。とても有名で、勲章まで受賞されている方なので、話しかけてもよいものかためらいましたが、実に気さくな方でした。私も長年乗馬をしていることを話したら、馬上からの狩りを見学しにノーザンバーランドへ来ないか、と誘っていただけたのです。
それはラッキーでしたね!
はい、本や動画で見てあこがれていた馬上からの狩りを見学できたことは、一生の思い出です。その様子は、私が運営するページ「ハヤブサと鷹狩り」で公開しています。何よりうれしかったのは、ニック・フォックス氏と奥様、チームの皆様が親切に迎え入れてくださったことです。数々の質問にこころよく答えてくださり、貴重な学びを得ました。この経験を私一人にとどめておくのはもったいない、と思い、勇気を出して翻訳の提案をしました。
著者のニック・フォックス氏と
今このタイミングで翻訳されたい理由があったのですか?
著者は還暦を過ぎていらっしゃいますが、日本語版のために本書を最新版に改訂してくださっています。著者は原著で、「猛禽、獲物の鳥、それ以外の鳥、すべてが私の先生だった」と述べています。猛禽の飼育・調教を最新の知識で安全に行ってほしいという著者の思いを実現したく、本プロジェクトを立ち上げました。
絡まりづらい安全なループリーシュの作り方も解説されている
改めてこの本の魅力を教えてください。
猛禽学者によるわかりやすい解説はもちろんのこと、終章では鷹狩りを国際的な視点から語っています。このプロジェクトにはイタリア語版の翻訳者のパトリシアさんからも
お力添えと励ましを頂いていたり、ブラジル、メキシコのブックコレクターの方も日本語版を希望されていたりします。
本書の翻訳をきっかけに、日本の猛禽ファンと海外の交流がより盛んになることを願っています。
イタリア語版の翻訳者のパトリシアさんと
皆さん猛禽を大切にしていることがよくわかります。高倉さんはなぜ熱心に研究されるのでしょうか。
ベストコンディションで飛ぶハヤブサを見るのは楽しいという理由もありますが、自分のハヤブサはリスク(主に野生個体に襲われること)を負って狩りをしているので、狩りの手助けをできる限りすることがフェアだと思っています。
最後にメッセージをお願いします。
わたしが鷹狩りを通じて学んだことは、挑戦することの大切さです。最低3000部の売り上げが見込める本でないと出版は難しいとされていますが、本書のように、少部数でも待ち望まれている本があります。予約注文をつのり、必要経費をまかなって出版する。それには、日本中の猛禽ファンにコンタクトする必要がありました。SNSを使われていない猛禽ファンにもこのプロジェクトを知っていただけたのは、たくさんの方々が情報を拡散いただいたからです。
特に、ベテラン医師で鷹狩りを楽しまれているT.K.さんには大変お世話になっています。北海道にお住いのK.N.さんにはチラシを配布いただき、本当に感謝しています。
プロジェクトの情報拡散に大変に協力いただいているT.K.さん
ほかにもたくさんの鷹狩り、猛禽に関する本が翻訳を待っています。このプロジェクトが成功すれば、それらの本の翻訳出版の可能性もぐっと上がります。本書が刊行できるよう、精一杯努力します。皆さんのご支援に感謝します。
高倉さんが持つ猛禽類に関する洋書たち
プロジェクト終了までの残りに日数も少なくなってきましたが、
達成率50%が見えてきました!
必ずや日本版の出版ができるよう、プロジェクトメンバー一同で頑張っております。
引きつづき、情報拡散などへのお力添えをどうぞ宜しくお願い申し上げます。