日産ル・マン参戦マシンがFF(前輪駆動)を選択した理由
第85回目となるジュネーブ国際モーターショーが開催されている。毎年3月に開催されるこのイベントは欧州での開幕イベント的性格を帯びていて、最新モデルや話題のクルマが数多く登場し注目を集めている。
特に3月というシーズン始まりの時期ということもありモータースポーツ車両などが発表されることも慣例化してきているようだ。
今年はGT3カテゴリーがより活況となるようでアストンマーチンやAMG GTといった今シーズンを席巻しそうなマシンが注目を浴びている。
そんなタイミングで、日産GT-RのCPS田村宏志さんと会談する機会を得た。
田村さんは、日産で車両開発全般に関わるばかりかモータースポーツ活動やその車両にも意見を出しているらしい。
そこでショーに展示され注目されていた今年のル・マン仕様LM-P1マシン「NISSAN GT-R LM NISMO」について意見を聞いた。
「これ変わっているでしょう!? FF(前輪駆動)なのは知ってますよね。もうレギュレーションが決まっているから、その中でやることって決まっちゃっているからね。
そこで何ができるか考えて、理論上は優位になると考えられるFFを選択したわけですよ。
フロントミドシップのFFにすることでリアの車体を薄く低くできる。これが空力にもの凄く効いてダウンフォースが全然違うんです。ダウンフォースが強ければコーナリングは速くなるし、強みになる。
空気抵抗はむしろ小さくできるかな。ストレートも、だから速いですよ。コーナリングの旋回するところは不利だと思うけど、真っすぐコーナーに入ってダウンフォース活かして強力にブレーキングして、小さく回って真っすぐ立ち上がる(中谷塾理論だ!!)、そんな走りをドライバーがしてくれたら面白い結果に繋がると思いますよ。まぁ実戦に出してみないとわからないけど楽しみです」と田村氏。
その自信にあふれた表情からテスト走行でかなり好感触を得られたのではないかと推測した。
6月のル・マン24時間レースに注目してみようと思う。
<レポート:中谷明彦>