厚生労働省で毎月勤労統計に続いて不正が発覚した基幹統計の「賃金構造基本統計」について、徳島労働局が2018年の調査を規定通りの戸別訪問による調査員調査ではなく、郵送調査していたことが31日、分かった。労働局では郵送調査が慣例化しており、不適切との認識はなかったとしている。郵送調査がいつから行われていたかは不明。
徳島労働局によると、賃金統計は「郵送調査で行う」と口頭で担当者に引き継がれていた。厚労省からは調査票と郵送調査用の封筒が送られていた。18年の対象事業所は労働者5人以上の1059事業所で、調査員2人を雇用して昨年6月から8月にかけて調査と集計をした。
不適切な賃金統計を指摘した報道などを受け、この日、厚労省がまとめた17年の調査報告書を見直したところ、調査方法の欄に戸別訪問を意味する「実地自計調査として行った」とあり、実態と異なることを認識した。
徳島労働局の渡辺敬太賃金室長は「郵送調査が当たり前と思っていた。実際に訪問するとしたら数十人規模の人手が必要で、効率良く調査するには郵送しかないとの認識だった」と説明。今年の調査方法については厚労省の指示に従うとし、「結果的に不正行為をしており言い訳はできない。県民に迷惑を掛けて申し訳ない」と謝罪した。
総務省統計審査官室は「調査計画を郵送に変える場合は厚労省の変更申請がいるのに、手続きが行われていない。統計法違反に当たる」と指摘している。
調査は都道府県労働局や労働基準監督署といった厚労省の地方組織が調査員を直接雇用し、作業を依頼している。ある地方労働局の幹部は数十年にわたって不正な郵送調査を続けていたと証言しており、徳島以外でも郵送調査が行われていたとみられる。
30日に徳島新聞の取材に徳島労働局が「徳島労働局が関与しているかどうかは分からない」と回答したことについては、担当者が不在だったためと釈明した。