ガールフレンド(仮) きみと過ごす夏休み
【がーるふれんどかっこかり きみとすごすなつやすみ】
| ジャンル | 夏・恋愛(仮)アドベンチャー | 
| 
|
| 対応機種 | プレイステーション・ヴィータ |
| 発売元 | バンダイナムコエンターテインメント |
| 開発元 | 熱中日和 |
| 発売日 | 2015年11月19日 |
| 定価 | 通常版(パッケージ/ダウンロード):6,640円 限定版「夏のマドンナひとりじめBOX」:9,980円(全て税別) |
| レーティング | CERO:B(12才以上対象) |
| コンテンツアイコン | セクシャル |
| 判定 | なし |
| ポイント | CS進出したガルフレ 結末はあくまで(仮) 全体的に突貫工事 コンプのハードルが高すぎたボイスDLC(現在は不可) |
概要
超豪華声優陣(とCMの空耳ネタ)で話題になり、現在も展開中のAmeba提供によるソーシャルゲーム『ガールフレンド(仮)』(以下、原作)より派生した恋愛ADV。
原作の運営・開発元であるサイバーエージェント自身は、企画以外ほぼ無関係であるが、一部スタッフは監修などで関与している。
登場ガール(キャラクター)
原作のイベント「2015聖櫻学園マドンナ選抜総選挙」の上位入賞者がメイン(入賞しなかったガールは入賞者に関わりが深いものが中心)。
メイン
- 椎名心実
- 村上文緒
- クロエ・ルメール
- 櫻井明音
- ミス・モノクローム
- 望月エレナ
- 優木苗
- 朝比奈桃子
- 風町陽歌(無料DLCシナリオ)
サブ
- 橘響子
- 笹原野々花
- 夏目真尋
- 加賀美茉莉
- 戸村美知留
- 不知火五十鈴
- 押井知
- 螺子川来夢
- 神楽坂砂夜
- 時谷小瑠璃
- 小日向いちご
- 葉月柚子
- 黒川凪子
特徴・評価点
- 原作に差をつけたフルボイス仕様
- 原作が「耳で萌える学園恋愛ゲーム」と銘打たれているものの、喋るのはバトル・デート開始・進展・好感度MAXといった特定の状況下のみであったのに対し、本作ではこの手のADVらしくフルボイスになっており、各ガールの声を思う存分堪能できる。
- 原画・CGはもちろんQP:flapper(小原トメ太&さくら小春)による描き下ろし。
- Live2Dを採用したガールのアニメーション
- 特定イベントにおいて、Live2Dによりガールの立ち絵が原作における「動くSSレアカード」さながらに動く。アニメーション自体も自然でなめらか。
- バイノーラル録音
- 主に海水浴イベントでのスイカ割りや特定の日に発生する目隠し、最後の夏祭りといった場面で使われる。
- これにより、ヘッドホンやイヤホンを繋ぐことでガールの声が立体的に聞こえるようになり、右や左からの声によって臨場感が倍増。まるで彼女がそばにいるような感覚を演出している。
- タッチシステム
- デートイベント中に発生。物を持たせたり付けてあげたりするなどの場面で、画面や本体の裏をタッチして好感度を上げられる。
- 本体のマイクに名前を呼びかけたりすることができる。が、上手く活かせているかというと……(後述)。
問題点
- 日常パートの会話のレパートリー不足と単調さ
- 本来、一般的なギャルゲーADVのそれではシナリオ上その日毎に定められた会話内容で退屈させないようになっているのに対し、本作は通常会話もしくはただ単に会うだけのいずれかしか無いため、同じ台詞が何日も、もしくは日を置いて繰り返されるためデジャヴに何度も襲われてしまう。
- ただ単に目的のガールに会って正しい選択で好感度を上げていき、最終日間近までにMAXにするだけでEDに到達できるので作業感が強い上、複雑なフラグ立ても無くADVとしては非常に物足りない。加えて先述の会話のレパートリー不足とデジャヴが合わさり、固有イベントが発生するまでの間の退屈さを助長している。
- また、主人公の心内描写や台詞すら存在しないため、「え? 何してるんだ、って?」というような主人公の台詞をヒロインが代弁するという場面が非常に多く回りくどい。
- ただし、ヒロインの台詞からなんとなく主人公の人柄を読み取ることはできる。
- システムの練りこみが不十分
- EDの夏祭りイベントで、タッチシステムの判定がちゃんと決められておらず、各ガールが映っている部分でならどこにタッチしても成功になってしまう。
- 「マイクに呼びかける」に至っては、なんとその通りに名前を呼ばなくても息を吹きかけるだけで成功とみなされてしまう。これでは搭載の必然性が感じられない。
- 現状コンプリート不可のボイスDLC
- 「ギャラリー」のプロフィールで聞ける各ガールの「朝の挨拶」及び「一緒に下校」のボイスDLCは、PS Storeで無料配信されているものは一部しかなく、残りは店舗毎の購入特典に振り分けられており(椎名心実の「一緒に下校」のみファミ通2015/11/26号の付録)、一部無料でものによってはひとつあたりソフト1本分…と(発売当初の時点では)コンプリートのハードルが無駄に高く、かつ中途半端な貢がせ仕様。
- 特に村上文緒とクロエ・ルメールは2つとも購入特典という余りに暴力的な設定。
- 該当店舗以外で購入しても、現状無料配信分だけで両方とも揃うのは望月エレナとミス・モノクロームの2人だけ(追加シナリオの風町陽歌はプロフィール登録の時点で2つとも実装済)。
- それどころか、DL版の購入特典となる櫻井明音の「一緒に下校」ですら既に付属期間が終了しているため現在では入手、ひいてはコンプまでもが不可となってしまっている。加えて、特典分のボイスの解禁については一切音沙汰が無い。恐らく、売れ行きが芳しくなかったことを鑑みて見切りをつけたか、ただ単にどうでもよくなったと思われる。
- あくまで(仮)から逸脱させない結末
- 元々原作が「運命の彼女を探す」という目的のエンドレスゲームで、ゴールインとも言えるような各個のストーリーも無いため、各ルートのEDは「友達のまま」もしくは「友達以上恋人未満」になるように締める…という方向性を遵守している。
- それがかえって足枷となっており、ちゃんと恋愛が成就する結末を…という普通の恋愛ADVを望んでいた層にとっては期待を裏切る結果になってしまった。
- また、原作においても明らかに恋人同士のようなシチュエーションが多いため、そうした配慮も今更感があるという意見も噴出していた。
- 一部ルートのED
- (仮)から逸脱しない、という方向性を守った上でハッピーエンドとしてまとめられてはいるものの、一部のルートに限りそう呼べるか微妙、もしくは疑問が残るEDがある。
| + | EDの内容に触れるため隠します。 | - 特に櫻井明音ルートは、明音のうっかりしたミスが原因で告白が失敗に終わり、主人公から何と言おうとしたかを聞かれたものの、「また今度ってことで…ねっ?」という苦笑混じりの一言で締められる。
- その後が描かれないのはおろか、告白失敗から件のセリフに至るまでの描写も説明不足で消化不良感しか残らない。そもそも恋愛ADVらしいEDを期待した場合最も肩透かし感の強い結末のため、(仮)から逸脱しない方針とはいえハッピーと呼ぶには程遠い。
- その時の明音の心情を察すれば、申し訳ないという気持ちは読み取れるため、プレイヤーはもちろん彼女にとっても残念なほろ苦い結末になってしまった、と言えよう。
- また椎名心実ルートも、主人公が図書館で消化できなかった夏休みの宿題を心実に手伝ってもらっていたが閉館が近づき、その続きのために彼女の家に招待…というところで終わるため、打ち切りもしくは寸止め感は相当なものがある。
|
- 一部のサブガールの扱い
- 葉月柚子は朝比奈桃子の幼馴染という立ち位置でありながら、桃子の所属するバンド「にゅーろん★くりぃむそふと」のメンバーである黒川凪子の方が優先されたために絡みが少なく、逆に接点などほとんど無いはずの椎名心実ルートでキーパーソンに位置づけられているという、いくらなんでも適当すぎる配役。
- 心実の憧れの先輩である笹原野々花は、ルートの根幹に関係のないイベントでの絡みしかなく、両者の仲の良さをアピールする程度にとどまっている。
- CERO:Bにもかかわらずタッチする場所がごく一部セクハラまがいなものもある。
- モノクロームの海水浴イベントで、穴の奥に逃げたカニを捕まえるために彼女のお尻を押さなければならない、というのは…。
- 攻略対象ガールの選出
- 一応一定の基準に沿って選出されてはいるのだが、他にも「恋愛ADVの攻略ヒロイン」に相応しいキャラは多いため、不満として挙げられることはそれなりにある。とはいえ、本作の攻略対象自体も少なくはなくいずれも人気の顔ぶれが集結しているため、あくまで贅沢を言えば、というレベルである。
総評
メディアミックスの更なる方向性を模索するべくCSへと進出した『ガールフレンド(仮)』。
色々な要素を盛り込んだのはともかく、調整が不十分なままで、発売をタイトルに合わせた夏から晩秋まで延期したにもかかわらず、突貫工事丸出しなのは否めない。
加えて、ストーリーも原作通りの方針が裏目に出て一部ファンの期待を裏切った上、ピンポイントかつ中途半端に商売根性を出し結局一方的に見捨てたかのようなボイスDLCと、悪い点の方が目立ってしまっている。
個別ルートはちゃんと一般的なギャルゲーADVのフォーマットに則っており、これといったUIの不便さもバグも無く、(一部限定ではあるが)あのガールたちにフルボイスで会えるという優れた点もありファンアイテムとして十分な出来ではあるものの、
先述したポイントがそれらを帳消しにしかねないほど足を引っ張っており、良くてもガッカリゲーが関の山で、人によってはクソゲー寄りの評価もやむなし…という出来となってしまった。