| 通勤途上まずでっくわす名前が付いた坂が石名坂。 広瀬橋を渡り、河原町を過ぎ蔵前橋という水路に架かる小さな橋を渡ると、そこから道はだらだらの緩やかな登り坂になる。 歩道に埋め込まれた文字タイルに石名坂とあるが、本来の坂はその蔵前橋を渡った先の信号を右折して弓ノ町へ向かう路地であるらしい。 この坂は、このあたりで生まれ育った石名(石那)とい女性にちなんでいる。その石名さんは、綺麗な方で成長し江戸へでて遊女となり、吉原でもとびきり売れっ子の名妓でスーパースター的存在だったらしい。なにせその没後、吉原の楼主や茶屋の旦那、それから同僚の遊女さん方々が、その追善供養のため大般若経教600巻を、菩提となる当地の円福寺に納めたのだそうだ。それはいまでも保存されているという。(「仙台地名考」 菊地勝之助著 宝文堂刊 などによる。) だから何なんだ。といわれてしまえば「はあ~そうですね」としかいえないが、とにかくも、普段なにげなく登り降りしているこの坂に、そんな匂うような艶めくような言い伝えがあると知ると、なんとなく街との距離が縮まったような気もして、それなりに楽しくはある。 で、その坂を見に行くついでに、円福寺に寄って山門を入って左手にある、 石名さんのお墓に軽くお参りした。 刻られた文字も見えなくなってしまった自然石の墓標と、石名大夫之碑とある石柱があった。 坂道に名前を残してしまう女性にしては、ちょっと控えめな墓標だった。 んで、場所はこのあたりだったりします。(Mapionへ飛んだりします。) |