聞き手・上田真由美
権利者の許可なくインターネットに上げられた著作物だと知りながら漫画や論文などをダウンロードしたりスクリーンショット(スクショ)をしたりする行為を違法とする著作権法の改正案に対し、疑問の声が噴出している。22日には自民党の部会でも議題に上がる予定だ。この法改正案について、米国の弁護士資格も持つ山口貴士弁護士は「日本の競争力をそぐことにもつながる」と懸念する。理由を尋ねた。
――なぜ今回の法改正を疑問視しているのですか。
ダウンロードやスクショは、単に情報を受容したり消費したりする行為ではなく、創作、研究、情報発信、議論などの知的な営みの前提となる情報収集行為です。インターネット以前の時代において、メモを取ったり、新聞や雑誌の記事をスクラップしたりして自分なりに情報を集約した資料を作成する行為と同じように、あとで情報を取捨選択するためにとりあえず収集し、とりあえず手元に置いておくという行為であり、知的な営みの大前提として、インターネットユーザーであれば誰でも普通にやっている行為です。
創作、研究、情報発信、議論などの知的な営みの前提として、インターネット上からダウンロードやスクショにより様々な情報を手元に置いて後に検討したり、見比べたりすることにより、情報の正確性を確認したり、インスピレーションを得たり、構想を練ることは極々当たり前のこと。これが具体的な罰則無しでも違法とされてしまえば、情報の自由な流通や、発信の前提となる検討プロセスの萎縮を招きかねません。
特に公的な、あるいは公的資金の入っている研究機関などのようにコンプライアンスの問題について是々非々の対応をしにくいところは特に強い影響を受けるでしょうし、多くの研究者が利用している科研費を使った研究も同様でしょう。そうすれば、日本の作家や研究者だけではなく、ビジネスの世界においても情報収集活動が萎縮し、日本が大きなハンデを負うことになりかねず、明らかに日本全体の競争力をそぎ、国益を害すると思います。
――著作権侵害のコンテンツのダウンロードをすべて違法化することには無理があるのでしょうか。
政策はコストとベネフィットと…
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朝日新聞社会部