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“叱られ方”を学べ!
大学が「叱られ方」を教えるのはなぜ?
とかく、叱られ慣れていないと言われる今の若者は、ある意味“打たれ弱い”わけで、大学が、この春卒業して社会に出る学生にこんな講習会を開いています。
入社後に叱られて悩んだ・・・大学が講習会開催
【報告:NHKさいたま 清有美子記者】
東京都内の大正大学。4月に入社する大学生たちが今、学んでいるのは、「叱られ方」です。入社後に上司に叱られて悩んだという卒業生たちの声を受けて、大正大学が2018年から講習会を始めました。
講師は学生の反応に対して、まず叱ります。うなずきながら叱責を聞く学生たち。講師は「みんな今うなずいているけど、声が出ないでしょ」と、反応が薄いと言われがちな今どきの学生たちに声を出して応えるように求めます。「反応していかないと、聞いている姿勢を見せないと、(叱る)声はどんどん大きくなってくる。相手の話が『きちんと伝わっていますよ』ということはまず示してください。分かっている場合はしっかり示してください」
相手を見る・声を出し反応する
家庭や学校などで叱られた経験が乏しいとも言われる今どきの大学生。講師は、叱られる時の姿勢も具体的に指導します。例えば、「分からない」と言い出せずにそのままにしてしまった場合どうするか。ある男子学生と講師のやり取りを見てみましょう。
男子学生「今、お時間よろしいでしょうか?ハンバーガーの作り方が分からなくなってしまいまして」
講師「この前も教えたよね?何回目かな?だいぶ締め切りがギリギリなんだけど、この時間だと困るんだよね」
男子学生「本当に申し訳ありませんでした」
講師に向かって頭を下げた男子学生。講師はやり取りを振り返って「ちゃんと私の顔を見て伝えようとしてくれた。『申し訳ありませんでした』という言葉をしっかり言ってくれた。誠意がとても伝わった」と評価しました。叱られた時は、相手のことをしっかり見る、そしてきちんと声を出して反応することが大切だと伝えました。
「受け入れている」から叱る
さらに講習会では、叱られることに意味がある、その経験を自分の成長につなげることが大切だ、と指導します。講師を務めたエービーシーエデュケーションの山本みどりさんは「職場の上司は少し声は荒いかもしれないけれど、自分が否定されるというところから入らずに、まず『受け入れてくれている』と思ってほしい」と説きました。
参加した女子学生の一人は「(これまでは)自分目線で、自分が傷ついた、怒られてしまった、という目線になっていたが、私のためを思って叱ってくれていると理解できたのが大きかった」と話していました。
大正大学の木元修一副学長は「せっかく苦労して就職活動をやって内定をいただいた。ところが、社会に出たらそこで挫折しちゃうというのはあまりにももったいない。自分の成長の糧というか受け止めるパワーというか、そういう精神面を養ってほしい」と話していました。
私も打たれ弱いのでよく分かります。叱られ方、そして叱り方も学ばないといけない時代ですよね。
そうなんですよね。就職活動で頑張って入社しても、すぐ辞めちゃうというのは、やはりもったいない。講師の方も、「上司が叱るのは成長を期待しているからだと覚えていてほしい」と言っていました。叱られることへの“免疫”は持っていたほうがいいかな、と思いましたね。