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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

外伝 槍の勇者のやり直し

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奴隷狩り

「何だかんだで調べていただけで少し体が鈍っていますからね。それにガエリオンさん自身に強くなってもらわないといけませんから。フィロリアルさん達は上げてくれませんし」

「元康もな」

「そうですな。ライバルのLv上げは嫌ですぞ」

「ま、俺達も上げてもらった分を誰かにやってあげたいんだよ。稽古にもなるしな」

「ええ、今は少しでも何かをしたい気分ですし」


 錬と樹は各々武器を強く握りますぞ。


「そっか……うん。そうだよね」

「まあ、眠くなるまでですけどね。まだ陽が沈みかかっているだけですから、行きましょう」

「これから移動するの?」


 助手がお義父さんに尋ねますぞ。


「そうだね。ウィンディアちゃん達が少しでも強くなる為にね。こっちの事情で急に決めちゃってごめんね」

「ううん、私がんばる!」

「あんまりはしゃぎ過ぎて取り返しが付かなくならない様にね」

「うん!」


 まあ、お義父さんが居れば安心ですな。

 錬も樹も十分に強いですぞ。


「その間に俺もいろんな所を回っておきますぞ」

「お願いしますね、元康さん。ガエリオンさんの強化は僕達にとって重要な要素なんですから」

「ああ、これからの事を考えると避けられない問題だ。頼んだぞ」

「わかりましたぞ。ユキちゃん、コウ! 後、サクラちゃんはついてくるのですぞ!」

「「「おー!」」」

「じゃあ竜帝を引き寄せる為に、残りの核石は元康くんが持ってて」

「はいですぞ」


 お義父さんに核石をもらい受けましたぞ。

 ちなみに核石の中には大きな物が多いので、袋に入れておりますぞ。

 この核石につられてやって来たドラゴンを仕留めて行けば良いのですな。


 確か、ライバルが錬の戦い方に文句を言っていましたな。

 ゲーム感覚……俺はドラゴンが嫌いですから本気の殺意を持って、且つ経験値を目的に仕留めていますぞ。

 今回の場合はドラゴン自体が欠片を欲して襲いかかって来るのでゲーム感覚ではありませんからな。


「そういや、尚文と一緒に居ると魔物との遭遇率高い気がするな」

「弱そうだと思われているのか、サクラさん達の反応から魔物に好かれているのかどっちなんでしょうね」

「嫌な事を言うねー……いきなり襲われる身になってよ……」

「私も同行するが……もはや既に足手まといでは無いのか?」

「大丈夫大丈夫、エクレールさんはウィンディアちゃんとガエリオンちゃんを出来る限り、俺と一緒に守って」

「では夜間戦闘ですな。集合はいつにしますかな?」

「じゃあ――」


 こうして再度俺達は出発しましたぞ。

 何やら足早に行動しているような気がしますが、良い兆候ですぞ。

 勇者の役目とは、波で戦う事もありますが、戦力の増強もあるのです。

 最初の世界でお義父さんがやっていた事ですぞ。


 俺はフィロリアル様の部隊を作りたいですな。

 フィーロたんは何処ですぞー!


 そんなこんなでライバルは夜間演習のお陰でLv35に上がったそうですな。

 さすが強化されたお義父さんと錬と樹ですな。

 三人も集まれば負けなしですぞ。



「ガウガウ!」


 空腹を訴えたライバルが倒した魔物の肉を貪っていますぞ。

 その度に、少しずつ大きくなって行っていますな。


「やはりLvの影響が出る生き物の成長はすさまじいな」

「人間はLvが上がっても変化は無いんでしたっけ?」

「ああ、とは言っても幼少時に形式だけLvを上げた子供はそれはそれで強くはなる」

「力に溺れそうだね」

「そういう事例が無いとは言わん」


 お義父さんが食事中のライバルを触診しますぞ。


「サクラちゃんと同じ感じに凄い速度で成長しているみたいだね」

「ガウガウ!」

「えっと、盾の勇者は……ガエリオンがどういう風に育ったら嬉しいの?」


 助手が遠慮がちにお義父さんに尋ねました。


「んー……ウィンディアちゃんはどんなふうに育ってほしい?」

「強くなってほしい。お父さんみたいに」

「そうだね。じゃあ俺もウィンディアちゃんと同じかな」


 優しく微笑むお義父さんに助手は何やら照れてますぞ。


「ガウ!」


 ライバルが食事を中断してお義父さんにじゃれ始めましたな。

 合わせてサクラちゃんがお義父さんに引っ付きますぞ。


「むー!」

「ガウ!」


 サクラちゃんとライバルの睨み合いが白熱していますな。


「サクラちゃん! がんばるのですぞ!」

「元康くん焚きつけない!」

「サクラの方が可愛いもんー」


 サクラちゃんがごろりとフィロリアル姿になってお義父さんの前でお腹を見せて転がりますぞ。


「ガウガウ!」


 ライバルも負けじとお腹を見せて転がります。

 ハッ! お前では服従のポーズにしか見えませんな。


「ああはいはい、両方とも可愛いから張り合わずにね」


 両者のお腹をそれぞれ撫でておりますぞ。


「お義父さん! サクラちゃんの方をもっと可愛がるのですぞ!」

「盾の勇者、ガエリオンを可愛がって!」

「余計な争いを産む様な提案をしないようにね?」


 お義父さんに助手と一緒に注意されてしまいました。

 くっ……助手と一緒ではフィロリアル様とドラゴンが一緒と言われている様な気がして嫌ですぞ。


「ふふん! ガエリオンはサクラみたいになれないもん!」


 サクラちゃんが天使の姿になってお義父さんにじゃれますぞ。


「ガウガウガウ!」


 ライバルは悔しげに吠えていますな。

 ははは! 今回はサクラちゃんの方が一枚上手ですな。


「あーもう……サクラちゃんもあんまり張り合わないの」

「でもー」


 お義父さんが困ったように頭を抱えましたな。


「先に産まれたんだからって注意してもダメなんだろうしなぁ……」

「な、なんて言うか尚文さんが、子供を持つ親みたいな悩みを抱いてますね」

「面倒見が良くてもそれは回避できない問題なのか?」

「そこ! 気楽に見てないで協力してよね。とはいえ、種族的に仲が悪いらしいから、俺だけでどうにか出来る問題でも無いか」


 そう言いながら、お義父さんは睨み合うサクラちゃんとライバルをそれぞれ喧嘩しない様に撫でるだけに留まりました。

 最初の世界のお義父さんはどのようにしてこの問題を解消していたのでしょうな?

 前回のお義父さんも割と手綱は握っていた様に見えなくはありませんでしたから、きっとすぐに解決案を閃くでしょう。



 朝方に少しだけ仮眠を取った俺達はエクレアの願いも兼ねて色々と調べる事になりました。

 俺は相変わらずドラゴン退治をしてライバルの底上げと言う苦痛にもなる作業をしておりましたな。

 その日も夜になるまで竜帝を探して倒す仕事をしておりました。


「さーて、そろそろ帰りますぞー!」


 俺はポータルでお義父さん達と合流する場所へと飛びました。


「あ、元康くん、おかえり」

「おや?」


 するとそこに見覚えの無い茶色っぽい生き物をお義父さんが抱き抱えておりましたぞ。

 助手とライバルも心配そうな顔をしており、サクラちゃんも喧嘩を忘れて不安そうにしておりますぞ。


「何があったのですかな?」


 錬と樹、そしてエクレアが居ませんな。


「ええっと……まずは、ガエリオンちゃん達のLv上げが早めに済んだから前倒しでエクレールさんのお願いを聞いて残った地域をみんなで調べていた所からかな」


 お義父さんは助手たちの面倒を見るのが重要なので、後方からゆっくりと移動をしていたそうですぞ。


「メルロマルク内の南の国境沿いにある山奥……エクレールさんの話だと亜人達がもしもの事があった場合の秘密の抜け道だったらしいんだけど……念の為に確認に行ったらさ……」


 すると先行していた錬と樹達の方から剣戟の音が聞こえたので急いで向かったそうですぞ。

 ああ、ライバルは大分成長してきたので、短い時間なら助手を乗せて走ることが出来るようになったそうですな。


 サクラちゃんに乗ってお義父さんが錬達の向かった先に行くと、そこには奴隷狩りの集団が居たそうですぞ。

 エクレアと奴隷狩りとで問答が既に行われて……と言うよりもエクレア達が奴隷狩りと遭遇したのが始まりだったとか。

 お義父さんが到着した時には奴隷狩りの一行を捕えた後だったとか。


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