2011年7月29日
■ 〝忍たま〟でおもてなし 尼崎市役所に直撃インタビュー
尼崎市はこの夏、「忍たま乱太郎」をテーマとした観光PR事業に取り組んでいる。中でも、登場人物と同じ名前の地名をめぐる「デジタルスタンプ&クイズラリー」では、阪神電車や地域住民とスクラムを組み、地域をあげて〝忍たまの里〟をアピールしている。庁舎にもポスターのほか、映画館を思わせる巨大パネルを設置するなどの力の入れようだ。尼崎市の〝忍たま〟担当である、環境市民局「ちかまつ・文化・まち情報課」の福島さんと伊東さんに話を聞いた。
─ 「忍たま乱太郎」をとりあげた経緯は
原作者の尼子騒兵衛(あまこ・そうべえ)さんは尼崎在住ですし、登場人物の名前と同じ尼崎の地を巡るファンがいると知り、その方々への「おもてなし」ができないか、と場所や由来が分かるガイドとして『あまがさき・地名めぐりMAP』(21年度)を作成したのが最初です。
─ どんな方が聖地巡礼に来られているんですか?
市役所にマップをとりに来るのは圧倒的に女性です。年齢は20歳前後の方々が多く、どこから来たか聞いてみると、広島とか関東の方だったり、必ずしも隣接している近畿圏という訳でもないですね。「泊りがけで来ています」という方もいらっしゃいます。
尼崎は市としては決して広くはありません。都市部ですから電車やバスなどアクセスもよく、坂がない平坦な地形は、歩いて回る方には、いい方向に働いているのかもしれません。
─「デジタルスタンプ&クイズラリー」をすることになったきっかけは
以前から〝忍たま〟で何かできればいいな、という思いは持ち続けてきました。これまでも教育的な見地から、尼子騒兵衛さんの絵で「寺町イラストマップ」などを作ったことはありますが、版権などの問題があり観光イベントなどはできませんでした。
今回、たまたま映画化の話があり、PRになればということで、阪神電車さんから一緒にやりませんか、と提案がありました。
─ 阪神から打診があったのはいつですか?
今年の年明けごろだったでしょうか。
本当は「阪神なんば線開通2周年記念」で、アニメ映画の公開にあわせて3月12日に「忍たまエクスプレス」という臨時列車のイベントが予定されていたんです。なんばから貸切で尼崎にやってくるんですが、定員の3倍強の応募があったと聞いています。尼崎駅に到着する時間がお昼頃になるため、おもてなしの一環でランチマップを配ったりする予定でした。しかし、前日の3月11日に東北大震災の影響で中止に…。 尼崎駅に降りてからの部分では市も関わっていたので、阪神さんとは今回のラリーの前からやりとりはしていました。
(ここでふと、福島さんと伊藤さんは『忍たま』をよく知っているのかどうか聴きたくなったので)
─ 忍たまはどれぐらいご存じなんですか?
アニメは見ていましたが、むしろ、ここの部署にきてから覚えたことのほうが多いです。後ろの棚に単行本はそろっているんですよ。(と、応接室の後ろにある本棚を指さす)最近出たての49巻まであります。お昼休みに頑張ってちょっとずつ読んでいます。
─ 地名めぐりのマップなどを作るときキャラクターの確認はどうしたんですか?
本の上からたくさん付箋が出ているでしょう。本を読みながらキャラクター名を一つ一つ拾っていったんです。前任者もそうですが、ここに来てから勉強したんです。
─ ラリーのポイントはどうやって決めましたか?
場所はこちらが決めました。実写映画に登場するキャラクターでポイントを決めたのですが、1か所だけ例外が。そのキャラクターは実写版には出ないのですが、尼子騒兵衛さんの話を聞いていて、大事なキャラクターなのだと感じ、アニメイラストのみのポスターを設置しています。本当は全地名が入った場所にしたかったのですが、バス停からの距離などを考えてポイントを絞りました。
─ 参加状況はどうですか?
映画公開の1週間前の時点で、スタンプラリーを制覇した人が出てきています。その多くが宿泊して2日かけてラリーをしているようですね。
─ 市民からの反応は?
お子さん連れの若いお父さんお母さんから、「ラリーをやってみたい」と問い合わせがありましたが、数としては市外からの方が多いですね。近くにあると案外、気にしていないのかもしれません。市内の高校生に、作者の尼子騒兵衛さんが尼崎出身だと知っているかどうか聞いたことがあるんですが、半分以上知らなかったですね。〝忍たま〟自体はよく知っているんですが。今回のイベントで、〝忍たま〟と尼崎の関係を知った市民も多いと思います。
─ 尼崎のオススメスポットは?
寺町です。尼崎というと、商店街の印象があります。ですが少し進むと、静けさとおもむきを感じる寺町があるんですよ。その賑いと静けさのギャップがいいんです。
「忍たま乱太郎」の聖地としては「中食満稲荷神社(なかけま・いなりじんじゃ)」がおススメです。マンションの多い住宅街の中に、鳥居がどんとあって、忍者屋敷の雰囲気があるんです。
─ 今後「忍たま乱太郎」でイベントはお考えですか?
商業的な利用はできませんので、今回のような映画のPR事業などがないと、難しいと思います。でも、映画の続編が出てくれれば、もしかしたら、また今回のようなイベントができるかも…。
◇
忍たまファンをもてなそうと、マップを作ったり、そのために原作を読んで勉強したり。懸命に努力されているんだな、と感じました。ラリーなどの観光イベントはなかなか出来ない、ということでしたが、今回のイベントが好評だったり、映画の続編が決まれば、あるいはまた、大きなイベントが実現するかもしれません。今後の動向が楽しみです。
■関連サイト
・「忍たま乱太郎」で尼崎PR スタンプラリーも【神戸新聞】 http://www.kobe-np.co.jp/news/hanshin/0004216264.shtml
・尼崎観光オフィシャルサイト「あまかん」 http://ama-kan.jp/
・忍たま乱太郎 尼崎大冒険の段 デジタルスタンプ&クイズラリー
http://ama-kan.jp/feature/sp9_nintama
http://rail.hanshin.co.jp/nintama/
- 忍たまの聖地巡礼 第2弾 アップしました
- 忍たまの聖地巡礼 第3弾 アップしました
- 尼崎市役所が忍たまファンをおもてなし
- 忍たまの聖地「尼崎」でデジタルスタンプ&クイズラリー始まる
- 忍たま乱太郎 “密命”カード配布 尼崎市役所
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