下田版 2019年02月20日
県内学校の優れた科学研究に贈られる第35回山崎賞(山崎自然科学教育振興会主催)をこのほど、松崎高と下田高自然科学部が受賞した。いずれも地域性を生かした研究が評価された。賞金総額は321万円で、応募総数167件のうち72件が受賞した。
■「キンメダイ」と「さんまずし」 名産を調査
下田高自然科学部は郷土の名産「キンメダイ」と「さんまずし」を研究し、児童・生徒部門で受賞した。
白井貴哉君(2年、稲生沢中出)が班長のキンメ班は、真っ赤な色素抽出と他生物との比較をした。キンメの尾びれから色素を取り出し、キンメの餌のエビやカニが持つアスタキサンチンと派生物だと同定した。成果を踏まえ青色キンメ作りを模索中だ。既に金魚に青色色素を与える実験を行ったが白井君は「変化はなかった」と話す。ほかに水揚げ時の体色変化も調べる。
鈴木大遥君(2年、稲生沢中出)が班長のさんまずし班は、すしに欠かせない塩・酢・砂糖の3調味料がサンマの身に与える影響を調べた。結果から▽塩は保存期間を延ばし塩味を付ける▽酢は塩分濃度を抑え、アミノ酸濃度を高めうま味を増す▽砂糖は甘みを付け塩分とアミノ酸に影響しない−と推論した。鈴木君は「従来の稲生沢川の塩分調査が生きた」と述べた。
班長を除く研究メンバーは次の通り。
キンメダイ 稲垣円花(2年、対島中出)大塚湧斗(1年、稲取中出)村木彩夏(同)▽さんまずし 植松柳水(2年、稲生沢中出)山本凱世(1年、賀茂中出)
■中高一貫前提に理科教育を推進 冨川教諭
松崎高は冨川友秀教諭が中心となって取り組んだ「西豆の地域性を活かした理科教育活動の推進」が評価された。同校の山崎賞受賞は4年ぶり。
同校と松崎・西伊豆町の3中学による連携型中高一貫教育を前提に、生徒たちの自然科学に対する興味・関心が深まる活動、機会の充実を図り、その内容をまとめた。
(1)西伊豆地区のジオパークを活用した学習活動(2)中高一貫教育による理科教育活動の推進(3)冨川教諭が顧問を務めるサイエンス部による地域の子どもたちへの実験教室の開催−の三つの取り組みについて、それぞれの内容と成果をまとめた。
(1)を踏まえた研究のまとめを「ジオパークに関する活動は地域の教育活動との親和性が高く、一つの学習が多くの教科とのつながりを持っている。研究を発展させ地域に愛着を持つ生徒を育成し、ゆくゆくは西豆地域を盛り上げる活動に取り組む」とした。
冨川教諭は「西伊豆地区は交通網が乏しく、博物館や科学館などで先端科学に触れる機会は少ない。中高一貫の枠組みを生かし、子どもたちが理科、科学に興味を持てる機会を提供していく」と話した。
【写説】山崎賞を受賞した自然科学部のさんまずしチーム(前列)とキンメダイチーム
【写説】研究の中心となり内容をまとめた冨川教諭=松崎高