広島と阪神のファンのブーイング、チーム愛はどっちがすごいか?
長野久義がFAの人的補償で巨人から広島への電撃入団が決まった際、広島に住むファンから連絡が来た。「FAで広島に来た選手は過去に一人もいないけど、他球団からきた選手たちは温かく迎えます。長野さんがせっかく来てくれて広島のために戦ってくれるのだから全力で応援しますよ」。
【写真】黄色に染まった阪神ファンの熱烈な応援はこちら
熱狂的な応援で知られる広島カープは地域に根差している。10年度から広島市が導入している「ひろしま型カリキュラム」の一環としてとりいれられた授業「言語・数理運用科」が象徴的だ。「わたしたちの広島東洋カープ」というテーマで、カープのあゆみ、広島県民との絆、順位と動員数の関係グラフ、主力選手の名前と年齢層、歴代のユニフォームが紹介されている。
阪神ファンが多い関西圏では巨人など他球団のファンも一定数いるが、広島は広島ファンが大多数を占める地域性だ。一昔前は育成した主力たちが巨人、阪神にFA移籍してチームが弱体化して優勝から遠ざかっていたが、近年は違う。大瀬良大地、野村祐輔、菊池涼介、田中広輔、鈴木誠也と生え抜きが主力になり、目下リーグ3連覇中と黄金時代に。関東にも広島ファンは多く、ビジターでもスタンドの半分以上が赤で埋め尽くされることも。
昨オフは丸佳浩が宿敵・巨人にFA移籍。主力が抜けて真価が問われるが、選手層が厚いのでチーム力が一気に低下することは考えにくい。広島の選手たちが「あの応援は本当に心強い」と感謝を口にするファンの「スクワット応援」は今季も大きな後押しになるだろう。
一方、チーム愛なら広島に負けないのは阪神だ。他球団の選手たちは最もやりにくい球場に「甲子園」を挙げる選手が多い。スタンドの9割以上が黄色に染まったスタンドで阪神ファンの大声援とメガホンを叩く音が鳴り響く。相手球団には「自分への応援だと思って投げている」とマインドコントロールしてマウンドに上がる選手もいるほどだ。
野球を見る目が肥えている阪神ファンはヤジも強烈だ。