シンバリューベットとは?
今回はシンバリューベットを打つときのポイントについて詳しく見ていくよ。
バリューベットはわかるけど、「シン」ってなんなの?新?真?神?
OK、まずはシンバリューベットの定義から説明しようか。
例えば、フルハウスみたいなナッツ級のハンドはいつも大きなバリューベットが打てるよね。
でも、ポーカーはそんな強いハンドがホイホイ来るもんじゃないんだ。
だよねー。毎回ナッツ来い!って念じるけど、たいていダメなんだよなあ。
ポーカーは勝ってるか負けてるか微妙な状況がほとんどなんだね。
そこで大事になのが「ナッツ級ではないけど勝つ見込みがあるハンドで小さなバリューベットを打つこと」なんだ。これがシンバリューベット(Thin Value Bet)だよ。
「シン」は「薄い(Thin)」って意味だね。
ふーん。100%勝ってる!とは言い切れないけど、まあまあ勝ってることも多そうだし、薄いバリューベットを打つかってノリなんだね。
うん、基本的にはそういうことだね。シンバリューベットの具体例は次の章で!
シンバリューベットはこんなときに打とう!
じゃあ、実際にシンバリューベットを打ってみようか。このハンドを見てごらん。
※クリックでgifが再生・停止します。
BUはKcJdで3bbにオープン、コーリングステーションのBBがコールしてヘッズアップです。
フロップ:Jh8h5c(6.5bb)でBBはチェック、BUは5bbのCBを打ちました。BBはコールします。
ターン:As(Jh8h5cAs 16.5bb)でBBはチェック、BUもチェックします。
リバー:3s(Jh8h5cAs3s 16.5bb)でBBはチェック、BUは6bbのシンバリューベットを打ち、BBはコール。8c7cをショウしました。
BUがリバーで打った6bbがシンバリューベットだよ。
へえ、KJはAのペアとかツーペアに負けてるけど、小さなバリューベットが打てるんだね。
実はこのBBはコーリングステーションなんだ。相手のベットやレイズに弱いハンドでコールしちゃうし、大抵は広いレンジを持ってるよ。
あと、プリフロップで1bbをコールして参加(リンプイン)するプレイヤーもコーリングステーションに多い印象だね。
シンバリューベットは特にコーリングステーションに対して打つと成功しやすいんだ。
ふむふむ。BBは何でもかんでもコールするスタイルだから、「KJより弱いハンドでもコールしてくれるのでは?」って見通しが立つんだね。
そういうこと!今回は87(8のワンペア)でコールしてくれたね。
ねえ、今回は8のワンペアだったけどさ、BBはほかにどんなハンドでコールするのかな?
いい質問だね。リバーのシンバリューベットにコール(orレイズ)するハンドは、例えばこんな感じじゃないかな。
- (セット:(JJ)、88、55、33)→レイズ
- (ツーペア:AJ、A8、A5、A3、J8s)→コールorレイズ
- Aのワンペア:(AK)、(AQ)、AT、A9など
- BUのKJoはココ!
- Jのワンペア:QJ、JT、J9、J7s
- T以下のワンペア:(TT)、(99)、Q8、87、77、66など
カッコがついてるのは持ってる可能性が低いハンドだよ。
例えば、BBがツーペアのAJを持ってるなら、リバーはチェックせずにバリューベットをするはずだよね。でも今回はチェックしてるから、BBがAJを持ってる可能性は低いんじゃないかな。
セットのJJはさらに持ってなさそうだよ。JJを持っていたらプリフロップでまず3ベットを打つこともあるだろうし、フロップでBUのCBに対してレイズしてもいいはずだよね。だからこのBBのアクションからすると、JJを持ってる可能性はほぼゼロだよ。それでJJには二重にカッコがついてるんだね。
なるほど〜。BUのKJはAのワンペアの次に強いんだね。セットとツーペアはカッコがついてるから、あんまり持ってなさそうと。
うん、そういうことだね。シンバリューベットにコールしてもらいたい対象(バリューターゲット)は「KJより弱いワンペア」ということになるよ。
でもコールされてAのワンペアが出てきたらショックだなあ。「それならチェックしときゃよかった・・・」ってならない?
もちろんBBがAやJ8を持ってることもあるよ。でも、コーリングステーションだから弱いハンドを持ってることのほうが多いんだ。だから、シンバリューベットを打つほうが長期的には得だと思うよ。
ほら、この画像を見てごらん。
相手のレンジを可視化してみたよ。BUのKJがどのくらいの強さで、どんなバリューターゲットに対してシンバリューベットを打つのか、これならわかりやすいんじゃないかな。
確かに、バリューターゲットにはKJより弱いハンドがたくさん入ってるね。
あと大事なのがベットサイズだね。シンバリューベットのサイズはポットの1/3程度がおすすめだよ。
1/3って結構ちっちゃいサイズだね。でもどうしてなの?
あまりにも大きなベットをすると、66とか87sみたいな弱いハンドはコールしないかもしれないんだ。
逆に、BBがAのワンペアやツーペアを持ってたときは、大きなベットをすると被害が大きくなっちゃうんだね。どっちにしろ損だから小さいベットで十分なのさ。
ふむふむ。ところでさ、BBがシンバリューベットに対してレイズしてきたらどうするの?
絶対にフォールドだよ。BBがここでブラフしてる可能性はかなり低いからね。
そうなの?どうして?
例えばBBがQTみたいなハンドを持ってるとすると、リバーでブラフベットをしてもいいはずだよね。でもBBはあえてチェックしてるんだ。BUがチェックしてショーダウンになったらほぼ負け確定なんだから、かなりトリッキーなプレイになるよね。
それに、BBは弱いハンドでもコールしたがるんだから、例えば65sみたいな弱いペアをブラフに変えてレイズしてるとも、ちょっと思えないよね。
なるほど、そういう読みがあるんだね。
これがシンバリューベットだよ。せっかくだからもう一つ例を見てみようか。
3ベットポットでのシンバリューベット
さて、今度は3ベットポットでのシンバリューベットだよ。このハンドを見てごらん。
※クリックでgifが再生・停止します。
コーリングステーションのCOが3bbにオープン、BBはJhJcで12bbの3ベットを打ちました。COはコールし、ヘッズアップです。
フロップ:6d4d4s(24.5bb)でBBは15bbのCBを打ち、COはコールします。
ターン:3h(6d4d4s3h 54.5bb)でBBはチェック、COもチェックします。
リバー:6s(6d4d4s3h6s 54.5bb)でBBは18bbのシンバリューベットを打ち、COはコール、AhQsをショウしました。
これもさっきの例と同じで、BBがリバーで打った18bbがシンバリューベットだね。相手のCOはコーリングステーションだよ。
今度はボードに6と4のペアができてるね。相手がどっちか持ってるとフルハウスができてるから、私ならチェックしちゃうかなあ。
確かにフルハウスは怖いね。COはフロップのCBにコールしてるから、6を持っててもおかしくないよ。でもね、今回は3ベットポットだから、6や4を持ってる可能性はそこまで高くないんだ。
どういうこと?
いくらコーリングステーションとはいえ、76oやA4oで3ベットにコールしにくいよね。持ってるとすれば76sやA4sなんかのスーテッドなんじゃないかな。
もちろん、オフスートの6や4もあるかもしれないけど、オープン−コールの2ベットポットと比べると、格段にその可能性は低くなるんだ。
ふーん。6や4はあまり持ってないとすると・・・じゃあCOはどんなハンドを持ってるの?
ポケットペア、ダイヤのフラッシュドロー、あとはAKやAQなんかのAハイだと思うよ。今回はこれらのハンドがバリューターゲットなんだ。
今回の相手のレンジを可視化するとこうなるよ。JJはフルハウスやQQには負けてるけど、弱いポケットペアやAハイには勝ってるね。
AAやKKは3ベットにコールせずに4ベットしてるはずだからいないんだね。
ところで、シンバリューベットにレイズを返されたらどうするの?これもフォールド?
これはさっきの例と違ってアクションのレンジのヒントが使えないから、ちょっと難しいね。
でも、相手はコーリングステーションでブラフレイズがほとんどないことを考えると、フォールドが無難だと思うよ。
おっけー。っていうか、COはAハイでベットにコールしたんだね。よくそんなのでコールするなあ。
3ベットを打った僕のレンジにはAKやAJsが入ってるからね。同じAハイでフォールドしたくなかったのかもね。
これがコーリングステーション・・・。なんておいしいプレイヤーなの・・・。
でも、逆に言えばコーリングステーションに対してはブラフが通りにくいからね。そこには注意だよ。
というわけで今日のまとめッ!
今日のまとめ
- シンバリューベットとは「ナッツ級ではないけど勝つ見込みがあるハンドで小さなバリューベットを打つこと」!
- 真ん中の強さ(マージナル)よりも少し強いハンドでシンバリューベットを打とう!ハンドの強さを測る技量が試されるよ
- 特に相手がコーリングステーションのとき、シンバリューベットは成功しやすくなるんだ
- シンバリューベットのベットサイズはポットの1/3が目安
- シンバリューベットは「ベットフォールドライン」!ベットしてレイズされたら基本的にはフォールドはするべきだよ
シンバリューベットは特に長いスパンで収支を見たときに大事になってくるよ。