標準イベント

イベントをコンポーネントに実装すると、コンポーネント内部で起こった出来事を外部へ知らせることができます。標準イベントとは、すべてのコントロールに対して定義されているイベントと、標準ウィンドウコントロールに対してのみ定義されている2種類があります。

イベントの一般知識

• イベントとはイベントハンドラに対するメソッドポインタです。
• イベントはプロパティとして実装します。
• ただし、read/writeメソッドを実装する代わりに、プライベートなクラスフィールドを使用します。
• イベントハンドラは必ず関数でなく手続きにします（関数にすると不安定な場合がある）。

例

type
  TControl = class(TComponent)

  private
     FOnClick: TNotifyEvent; { メソッドポインタを収容するフィールドを宣言 }

     ・・・・
  protected
     property OnClick: TNotifyEvent read FOnClick write FOnClick;

  end;

注意
   TNotifyEvent = procedure(Sender: TObject) of object;

標準イベントの種類

標準ウィンドウコントロールとはTButtonのようなWindows自身が持つコントロールです。

イベントを公開するには

そのイベントをpublic（またはpusblished)として再宣言します。

例

   public
      property OnClick;

標準イベントの処理の変更

変更したいイベントハンドラをオーバーライドすると、そのイベント処理で標準以外の処理を追加できます。つぎの例はTButtonのOnClickでボタンが押された回数をカウントできるように変更したものです。

unit CountBtn;

interface

uses
  Windows, Messages, SysUtils, Classes, Graphics, Controls, Forms, Dialogs, StdCtrls;

type
  THisControl = class(TButton)
  private
    { Private 宣言 }
    FOnClick: TNotifyEvent;  // OnClickメソッドポインタ
    FCount: Integer;
  protected
    { Protected 宣言 }
    property OnClick: TNotifyEvent read FOnClick write FOnClick;
    procedure Click; override;
  public
    { Public 宣言 }
    constructor Create(AOwner: TComponent); override;
  published
    { Published 宣言 }
    property Count: Integer read FCount;
  end;

procedure Register;

implementation

procedure Register;
begin
  RegisterComponents('Private', [THisControl]);
end;

// コンストラクタ
constructor THisControl.Create(AOwner: TComponent);
begin
    inherited Create(AOwner);
    FCount := 0;
end;

//  クリックイベントハンドラ
procedure THisControl.Click;
begin
    inherited Click;
    Inc(FCount);
end;

end.