埼玉の秩父に
ナイスな不動様があるという情報を入手し、行ってみたよ。
その場所は温泉旅館だった。
何故に温泉旅館に不動様が?と思いつつ、玄関へ。
「ごめんくださーい」
「ハイハイ、ご入浴のお客さんですか?スミマセーン!今日は貸し切りなんですよお、え?不動様?どうぞどうぞお参りください。」
…というやり取りの末、不動様に謁見することに。
ちなみにこの不動様はこの温泉旅館の所有物であり敷地内なので必ず宿の方の許可を得るように。
玄関からさらに階段を下りていくと開運不動様というゲートが見えてくる。
旅館の建物を回り込むと水の音が聞こえてくる。
目の前に現れたのは滝。
滝と言ってもコンクリートに石を埋め込んだ人工的な滝である。
その滝の上には…
お~!いらっしゃいました。
ベリーナイスな不動様のお出ましである。
滝の上におわす不動様。半跏スタイルだ。
不動明王は座像も立像も半跏像もある。
従ってここの不動様が特別珍しい訳ではない。
むしろ特筆すべきはこの御尊顔。
どうですか?この表情!
ゆで卵みたいな目はやや飛び出し気味。
口周りはほうれい線が深すぎてガッパみたいになっちゃってる。
左手に持つ羂索は結構いい感じ。
全体的なプロポーションは整っている印象がある。
それゆえ御尊顔のインパクトが余計に際立ちますね。
個人的にはかなり好きな部類のコンクリ仏である。
それにつけても思い出されるのは同じ秩父のコンクリ不動様である
空滝不動尊である。
空滝不動尊が建立されたのは昭和47年。
一方こちらの開運不動尊が建立されたのは
昭和37年。
十年前に建立されたパイセン不動様なのである。
左右には舟形のコンクリ像が。
普通、不動明王といえば左右には眷属の矜羯羅童子と制咤迦童子がいるはずだが…
右は観音様ですねー。
一方、左は…
な、なんじゃ、このお方は!
顔超怖いんですけど…。
不動様の前には小槌型の香炉。これもコンクリ製だった。
不動様の脇は階段になっている。
横から見ると、かなり飛び出しているものの、レリーフ状になっていることが判る。
階段から下を見る。
人工的な川が流れている。
地図で確認すると近くの貯水池から流れているので用水路なのだろう。
この川が不動様の足元で直角に曲がって滝になっているのだ。
ちなみに滝の先はすぐ近くの横瀬川に流れている。
不動様の裏側。
赤い社は稲荷社。
上の方に何やら意味ありげな四角い穴があったが、コンクリでふさがれていた。
製作者のプレートでも埋め込まれていたのだろうか?
階段を登った突き当りには不動堂がある。
この不動明王はここの温泉を開いた加藤氏がここで
生きている不動明王を目撃したので、その記念に建立したものだとか。
私もいつか生きている不動様を見てみたいものである。
尤も不動明王は仏敵を退治する明王なので、私のような信仰心の薄い人間が生きている不動様を目撃したところで怒られるだけかもしれないですけどね。
高台に建つ不動堂の背後は横瀬川だ。
横瀬川の流れを見下ろしていると爽やかな風が吹いてきた。
ああ、やっぱ温泉入りたかったなー。