【羽ばたけ中部勢】夢のため・・・バイトを辞めた自炊も始めた オーシャンズ滝沢に漂うブレークの予感2019年2月20日 紙面から
フットサルのFリーグの強豪、名古屋オーシャンズの下部組織、名古屋オーシャンズサテライトに所属する滝沢太将(22)は今季、Fリーグ選抜のメンバーとして大きな成長を遂げた。Fリーグ選抜は将来性のある若手の出場機会の増加、育成を目的に、今季新設され、Fリーグ1部(F1)に参入した。12チーム中8位と躍進したチームで、滝沢は全33試合に出場し、自信を深めた。 自陣からドリブルで抜け出した滝沢が左足を振り抜き、ゴールネットを揺らした。1月20日、武田テバオーシャンアリーナでのホーム最終戦、相手はリーグ戦2位の強豪・大阪だった。「利き足は右だが、左の方が強くて速いシュートが打てる。リーグ序盤は特長を生かせなかったが、得意の形に持ち込めたことが成長」と胸を張った。 昨季まで1部のチームと戦う機会は地域リーグの代表として出場した3月の全日本選手権くらいだった。「サテライト時代はFリーグのトップチームのプレッシャーやスピードに戸惑い、力を発揮する前に終わっていた。1年間通してF1で戦って、強度に慣れることができた」と振り返る。 F1でもオールプロは名古屋のみ。上位チームでも力のある外国人を上回れず、将来有望な若手が出場時間を確保できない。その状況を打開しようと、Fリーグ選抜が誕生した。名古屋サテライトで3年目、主力だった滝沢にとってはタイミングもよかった。 「1年間は競技に集中しよう」。滝沢は昨季まで、2部練習後にしていた飲食店でのアルバイトを辞めた。練習後に得られた時間を体のケアや筋トレに充てた。寮で同室の、名古屋サテライトからのチームメート、北野聖夜(22)と共同で自炊も始めた。「聖夜がサラダなどサブメニュー、自分がメインディッシュの担当。最初は肉や魚を焼くだけ。今では手間のかかる料理も得意で、豚の角煮は絶品ですよ」と滝沢。安価で、体作りにも役立つ自炊も、競技力向上につながった。 Fリーグ選抜の活動は11日の町田戦で終了し、現在は名古屋サテライトに戻った。来季プレーするチームは未定だが、今季の活躍で声をかけてくれるチームもある。「フットサルで飯を食う」という目標に一歩前進した。 「Fリーグ選抜から日本代表入りした選手もいるが、自分はまだ足りないものが多い。来季以降、外国人やベテランがいるチームでも、シーズン15点以上取れる選手になる。そして日本代表という大きな夢をつかみたい」。サテライトの3年、Fリーグ選抜での1年と、名古屋で過ごした濃厚な4年を糧に大きく飛躍する。 (伊東朋子) ▼滝沢太将(たきざわ・たいしょう) 1996(平成8)年6月13日生まれ、神奈川県茅ケ崎市出身の22歳。172センチ、71キロ。ポジションはアラ(MF)。中学まではサッカーをしていたが、中学2年で湘南ベルマーレジュニアユースを退団し、クラブチームでサッカー、フットサル、ビーチサッカーを並行してプレー。湘南工科大付属高ではフットサル部。高3の冬、名古屋サテライトのセレクションに合格し2015年、入団。18~19年シーズンはFリーグ選抜で全33試合に出場し7得点を挙げた。
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