喜宝院蒐集館/沖縄県竹富町
石垣島から船で10分。竹富島は八重山諸島の中でも最も古い佇まいを残している島だ。 奇麗に掃き清められた白砂の道、赤瓦の屋根、漆喰製のシーサー、そんな古き良き八重山の姿を今に伝える竹富島は勿論、観光客にも大人気。 観光客を満載した牛車があちこちを闊歩し、ちょっとした牛渋滞になっていたりする。 そんな伝統的な町並みの一画に喜宝院蒐集館はある。 実はココ、日本最南端のお寺でもあり八重山の民俗資料を展示した博物館でもあるのだ。 感謝と刻まれた入口からはココが博物館だったりお寺だったりとは思えない、ごく普通の竹富の民家に見える。 しかし目をこらすとなにやら不思議なオブジェがあるのに気付く。 珊瑚で組まれた石垣の上には十二支を模した自然石が置かれている。 それぞれよ~~~~~く見れば似てなくもない、といったレベルのモノだが12個集めるのは大変だったろう。 また、自然の珊瑚石を積み重ねた灯籠もイイ味を醸し出していた。 火袋の部分が☆星印ですからね。これも乾燥ヒトデでも使ったんだろうか。 さらに庭の奥に行くと謎の祠や石彫物があったりして、エキセントリックでエキゾチックな雰囲気がムンムン。
さて。中に入ると八重山地方の習俗に関する様々な展示がなされている。 上の方にズラリと並ぶのは八重山各地の来訪神の面。アンガマの面も様々な種類がある事がわかる。 仏壇もまるっと一式展示してありました。 位牌や香炉もホンモノ、というかどこかの家からごっそり持ってきたかのようなリアリティにあふれている。もしかして自分ちの仏壇か? ミルク神。彌勒の事でこれもまた来訪神の一種である。決して牛の乳ではないので「あ~、ミルクだから白いの?」とか言わないように。 風見鶏のようなモノは・・・え~っと、確か航海の安全を祈念するためのグッズだそうです。 その他、昔のお金や民具、陶器などなど広範囲といえば聞こえが良いが、雑多と言った方がいいかと思えるラインナップ。 しかし、それはそれで八重山の生活の様々なシーンを知る事が出来てとても面白い。 中でも納税や戸籍の調査の時に使用されたという藁算の展示が面白かった。 藁を結ぶ事で数を記録していくという。その方法が細かく説明されていて、古の人の智恵に感動したりして・・・ 与那国の墓地でも見たがここにも死者を運ぶ輿があった。
あ、お寺のハナシでしたね。 展示室を見ているといきなりお寺の内陣がインポーズされていた。
何と日本最南端のお寺は博物館の展示室の一画にあるんです。 まるでお寺も展示の一部のようであった。 天井には関西の芸人さん(名は失念)が描いたという来迎図が。 博物館の一画にあるお寺。法事とかここでやるんだろうか? 展示を見ていると奥の方から「南無阿弥陀仏~」と聞こえてくる博物館。 または 法事をしていると背後から半裸の観光客に「すいますぇ~ん、写メってもいいっすかぁ~」とかいわれちゃうお寺。 てな事態に陥っちゃったりしないのだろうか? 何とも不思議な形態のお寺であった。
内陣から吊るされていた鳥人間。コレってベトナムかどっかで見たような気が・・・
2005.8.
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