Welcome to my Blog !!
● 自己紹介
● 日記の分類-目次-


● 最近の日記
● 過去の日記【月別】
● 最近のコメント
● 最近のトラックバック
●リンク
今週の来訪者
今日の来訪者
001
昨日の訪問者
003
パーツ
● 携帯用CODE
qrcode
● その他
Welcome to my Blog !!
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています



|-||-|-|
bot
「バブルの逆襲・現役ソープ嬢舞子のウサ晴らし」 おしまい編
 朝からの晴天に、洗濯、掃除、布団干し。平原綾香の”JUPITER”「蘇州夜曲」、山崎ハコをCDで聴きながら新聞に目を通す。所用の外出から帰宅すると15才の次女が来ている。一緒にビデオでヴィト・ヴエンダーズ監督「都会のアリス」、ティモシー・ハットン監督「ウイズ・ユー」を夕方まで観る。
 さて、片桐舞子の「バブルの逆襲」。彼女の言葉は、売春婦という仕事にまつわる「ウサ晴らし」でありながら、その地平をスッコンと抜けている。それは、例えば女子高生が「5万円でオヤジとやる」と語る言葉とははるかに異質である。「ゴマンエンデオヤジトヤル」という十数文字で無機質に発せられる性と生。だが、片桐舞子の「ウサ晴らし」は男達の性の現在をヒリヒリとあぶりだし、キリキリと何かが痛み出す。己の性愛観、異性観がギリギリに問われるのだ。僕はこのような感情を呼び起こされた本に最近出会っていない。彼女がソープの個室で接客する男達の在り様は、まさに男の今なのである。それは、本書で詳しく知って欲しいが、その実態は苦笑を越え、哀れをも突き抜ける。男が抱える救いようの無い地獄。日常でまともに女性と口すらきけない男が、数枚の一万円札で、美人と一時の「友だち」や「恋人」気分が味わえ、最後はセックスまで出来るという快楽に突き動かされる男。瑞々しく豊かで自由な性愛を失うことは、自分を、他者を、そして関係性を次第に喪失していく。現実で失われた関係性を、金で取り戻そうとすることによって、更に関係性を失うという地獄の輪廻に叩き込まれる男。
 エンゲルスは「家族・国家・私有財産の起源」でセックスと愛を切り結ぶ性愛を強調した。マルクス主義の洗礼を受けた10代の頃はそれでもよかった。だが20代になると、そのウサンクササに気がつき始めた。己のセックスにいつも愛が付き添っているとは限らない。妊娠を目的としない、快楽としてのセックスの方がはるかに多いのだ。こうした時期に読んだのが、ライヒの「性と文化の革命」。フロイト左派であるライヒは性抑圧批判、ファシズム批判を通してセックスを人間の瑞々しく豊かな関係性として提起した。勿論、一夫一婦制を前提にしており売春を肯定していないが。
 買春が豊かで瑞々しい性愛を捨て去る行為、関係性を喪失させた行為である、と言ってみたところで彼女にとって只の奇麗事に映るかもしれない。それは、本書を読んで知った彼女が買春を選択した事情、背景に、教科書的な批判、或いは軽薄な共鳴など全く意味は成さないからだ。
 彼女のネット日記を出版に手助けをしたジャーナリスト有田芳生によれば、片桐舞子(仮名)は、サイトを閉鎖した後、ソープを引退し「堅実な夢」の実現に飛び立ったそうだ。有田芳生と同時期、彼女の日記に学ばせてもらった者の一人として、幸せを心から祈念したい。
 彼女がサイトを閉鎖してから、「片桐舞子さんに触発されました」と相次いで性風俗に働く女性達がサイトを公開し、或いはネットに書き綴っていった。その中の一人である吉崎操の一文を最後に紹介したい。彼女はデートクラブで働く30代。僕は彼女の言葉に付け加えるものは何もない。
  「そういった机上の論理ではなく、売春婦の私がいう。
   売春はしてはいけない。好きでもないひととセックスをして、楽しいわけがない。自分の感情を殺す日々が長くなればなるほど、「じぶん」が崩壊していく。何かの為の売春であっても、自分の存在とお金を引き換えにするのはあまりに損失が大きい。
   そして、失った「じぶん」を取り戻すために何かに走る。ある者はさらにお金を求め、ある者は買い物などに走り、またある者は誰かに自分を認めてもらいたくて、あたりを無必要に見渡す……。
   そこに走れば楽になると信じて向かっても、待っているのはよりいっそう深い闇。」

 




22:38comments(0)trackbacks(0)
bot
スポンサーサイト


|-|22:38|-|-|
bot
コメント
コメントする







※適当に改行入れてくださいませ(特に半角文字使用の場合)





bot
この記事のトラックバックURL
http://mumiyou.jugem.cc/trackback/458
トラックバック


bot