佐和山遊園/滋賀県彦根市
彦根と言えば国宝彦根城。 しかしその彦根にもう一つの城があるのをご存じだろうか。 それが佐和山遊園の佐和山城である。
場所は彦根駅近くの思いっきり国道沿い。 車がガンガン走りまくるその横に建っている。 比べるのもナンだがお堀に囲まれて建つ彦根城とは随分趣きが違う。 ・・・実は「佐和山城」と言い切ってしまうのは一抹の戸惑いもある。 というのは元々この地には佐和山城という城は存在したのだが、果たしてここにある城がそのオリジナル佐和山城を史実に基づいて復元したものかどうかは判らない。ってゆーか多分違うと思う。 これだけ大規模な城である。彦根城並みとは云わないが、それなりの観光資源としてガイドブックなどに掲載されて当然だろう。 ところが・・・ガイドブックはおろか彦根市発行のパンフレットや観光地図からも一切無視されているのである。 市から無視されるという事は、つまり勝手につくっちゃった城なのだろう。 (後日、違法建築との噂も聞いたんですけど・・・)
看板。レジャーランドである。史跡ではない。
門を潜るとここ佐和山遊園の由来が記されている。 それによれば、ここは石田三成一党の霊を慰めるためつくったというのだ。 詳しく述べると長くなるので省略するが、つまるところ、石田三成のお膝元に彦根城を建てた徳川&伊井家許せん!といったところのようだ。 あ、これって以前、仙台辺りで聞いたような・・・ ともかく400年間の恨みを晴すべく彦根城に対抗して個人で造り上げた城なのである。
少年ジャンプ的にいうと努力!根性!敗戦!ってとこでしょうか。 さて、それではただよう歴史のロマン、自然の中のレジャーランド、佐和山遊園巡りを始めよう。 門の前には資料館が。しかし鍵がかかっていて、ガラス越しに中を覗くと廃虚状態。入口には一応入場料1000円と書いてあったが何年前のハナシやら。 てなわけで門を潜り、城に向かう。ちなみにレジャーランドと銘打っているが、ここは入場料などは一切かからない。というか誰もいない。で、お気軽にお入り下さい的な貼紙があったのでお気軽に入ってみたのである。結果的にはあまりお気軽なところではなかったが・・・ 道沿いにはズラ~っと石田三成の生涯を描いた石田三成絵巻と称する箱入り板絵が延々延々延々と並んでいる。コンクリートの箱は失礼ながらこの絵を収納するにはあまりにも立派すぎるのでは。 しかしくり返そう、これはこの城をつくった城主が石田三成のためにつくっているものだ。 石田三成と城主の熱い関係に、私のような他人がああだ、こうだと間に入り込むのは筋違いであろう。 というわけで、ここは素直に城主の三成ラヴァー具合を堪能しようではないか。
結局、城の中は鍵がかかっていて入れなかった。外から見る限りでは個人がつくったレベルを遥かにこえていたので残念。 しかし、そこから先にもさらに佐和山ワールドは続いていたのだ。
城の隣にある佐和山観音。碑文剥がれてまっす。 さらに進むとなんと金閣寺が現れる。 え、何で金閣寺なの、などと思ってはいけないのだ。これは城主と冥界の交信の結果なのだから我々凡人は指をくわえて見ていなければならないのだ。
金閣寺が金色のアクリル板で出来ていてやけにペカペカしていようが、中の四天王像の足元の邪鬼が凄く変な顔だろうと問答無用なのである。
で、金閣寺の下には仏像行列コーナーが。 この辺になって来ると、どうも最初の石田三成への思いは段々収集の付かない方向へとシフトして来てしまっているように思えてしかたないんですけど。 しかし、しつこいようだがくり返す。これは個人がつくったものなのだ。 だから、城主の頭の中で整合性があれば何をやってもOKなのだ。 どんな整合性かはアタシにゃ判りませんけどね・・・ 園内にはその他、造りかけの鐘楼らしきものなどが点在している。 思いッきり鉄骨造である。
同じく園内にある五重塔や先述の金閣寺、はたまた城までもこの工法なのだろうか。
仏像が並んでいる石垣も裏に回れば御覧の通り。見事な騙しっぷりである。
五重塔の軒下の象鼻。最早何の生き物なのかも判別不能。
城主の夢の世界に呆れながら、もとい感動にうち震えながら佐和山遊園ワールドツアーを終了。 上から最初に見た資料館(外観だけだが)を見下ろすと資料館の裏手はどうやら城主の住まいになっており、その庭に・・・
・・・いました。やっぱりつくってます。
城主だったら城に住めばいいのに・・・ それにしてもこの佐和山遊園、建設中には間違い無いのだが、終わっちゃってるのかまだオープンしてないのか良く判らない。 恐らく建設中なれど最初つくった施設は終わっちゃているんだろう。 まるでガウディのサグラダファミリアみたいじゃないか。 もしかして頭の中の小人さんがつくれつくれ光線を発しているのか? これからもここが増殖することを密かに願いつつ和風プチ・パラダイスを後にするのであった。
ちなみに隣は廃虚化した巨大工場。寂しテイスト満点の御土地柄だ。
情報提供はへりおすさんです
2001.5.
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