「よろしかったでしょうか」を使う人が軽蔑されても仕方ない理由
「喋り言葉ってそんなに目くじら立てること?」などと考える方は少なくないかもしれませんが、普段遣いの言葉はその人の品格までも伝えてしまうものです。今回の無料メルマガ『サラリーマンで年収1000万円を目指せ。』では著者の佐藤しょ~おんさんが、言葉の乱れを憂いつつ、なぜそれを避けるべきなのかについて解説しています。
ご質問させて頂いてもよろしかったでしょうか
私は日本語にはうるさいというか、ヘンテコリンな日本語を聞くと、精神が不安定になる病気に罹っているようでして、そのためセミナー中も受講生とのやりとりで、そのような日本語が飛び交うとアジェンダを止めてでも指摘したくなるんですね。
何度もセミナー中にそういうことをやっているので、最近では私に質問する人も、日本語の誤用とか、語尾の不明瞭とか、言葉の定義の確認とかは自分で気を付けてくれる人が増えて来ました。ちなみに、語尾の不明瞭問題については以下のように過去にメールマガジンで書いています。
☆ 語尾をしっかり言う
日本語って情緒に流されやすい文法構造をしているので、頭を使って単語や構成、譬えや因果関係を確認しながら文章を作らないと、すぐに何が言いたいのかが分からない文章になってしまうんです。ですからなんとなく思いつきで、言葉を発しない方が良いんですよ。
ということは、繰り返しますがセミナーでは何度も言っているのですが、セミナーとは関係のないフツーの読者さんは、そんなことはお構いなく、思いついたままの日本語を一切校正せずに送って来るわけです。
その中でこれは定番化しているというツッコミメールが、今日のタイトルなんです。何か私に質問したい、メールマガジンに書かれたことで理解出来ないことがある、そういうのは分かるんですが、その問いかけが、
■ ご質問させて頂いてもよろしかったでしょうか
だと、これを放置して質問に答えるわけにはいかないんですよね。
この文言を読んで、何がどういけないのかが分からない人は、日本語をかなりテキトーに使っていますよ。
私のところに来るメールって質問が多いんですが、私に質問をするのに、
■ ご質問があります!
って書く人がいるんですよ。イヤイヤちょっとおかしいでしょ。私がみなさんに、
● 何かご質問がありますか?
(正確には「何かご質問はございますか?」が正しいのですが、そこまでフォーマルにしない方が良いだろうと思って、「ありますか?」にしています)
と訊くのはアリなんですよ、敬語の使い方としてね。特にセミナーは有料なんですから、おカネを頂いている私の方が敬語を使って、「ご質問」というのはむしろ常識で、まさか私が、
■ なんかわかんないことあるぅ?
と言うのはカジュアルすぎで失礼ですからね。
ところが質問をする側の方が、「ご質問」というのは敬語の使い方として間違いです。
そこでさらに、「~させて頂く」が付くと、私が質問させてあげているわけでも、質問を許可しているわけでも無いんだから、そこで使役動詞を使うのはおかしいだろって話です。ここに加えて、「よろしかったでしょうか?」となると、根本から日本語を勉強し直して来いやって言いたくなるんですよね。本人としては精一杯丁寧に、失礼の無いように敬語を散りばめたつもりなんでしょうが、それがアダになったというか、日本語力の低さが露呈しちゃったわけですね。
特に「よろしかったでしょうか?」は最近のおバカちゃんのトレンドで、この言い回しを使って人に何かをやらせようとするケースが、都会ではメチャメチャ増えているんですよね。素直に、「~して下さい」とか、「~して頂けますか?」って言えば良いのに、何をどうひねくり回したらこんなヘンテコな日本語になるんでしょうか。
とある外資系の会社でコンサルをしたときに、ユーザーサポートのマニュアルに、この表現を見つけたときには、アゴが外れるくらい驚いて全力で修正させましたから。
通じるんだから良いじゃないか、こういう表現の何がいけないんだと思う人もいるでしょ。だからわざわざメールマガジンで解説してるんですよ。こういう間違った日本語を使うと、それが間違いだと分かっているオトナは、
● この人ってこの程度の知識しか持っていないわけね
と理解して、それ以降はそういう扱いをされてしまうのです。そして困ったことに、本人はそのような一段下の扱いをされていることに気付かず、よしんば気付いたとしても、それがどこに起因しているのか分からないのです。
私も自分で知らないうちに、自分よりも上の階層、レベルの人に同じような失敗をして、ネガティブなレッテルを貼られているのかも知れません。でもそれって本人は気付かないモノなんですよ。そうやって知らないうちに、人生で損をしているわけですよ。だから、そういうリスクを減らすために勉強が必要なんです。
今日のネタを読んだ人は、この言葉は使わないと決めて、このフレーズがつい口から出てしまわないように、細心の注意を払う(それが頭を使って生きるということです)と良いと思いますよ。
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