Delphiの歴史
Pascal
Delphiのプログラム言語はObject Pascalと言いますが、この元となったのがPascal言語です。Pascalはもともと教育用プログラム言語として開発されました。その歴史はかなり古く、C言語もPascalから派生したと言われています。
Pascalの特徴は、「構造化プログラミング」の概念を取り入れたことです。当時、多く使われていたFortan,Cobolなどは構造化プログラミングの概念がなく、GOTO文を多用することによって、保守性のよくないコードを書かざるを得ない構造になっていました。
Turbo Pascal
パソコンが70年代に発売されると、いろいろなプログラミング言語がCP/M(8ビットマシン用のOS)用に発売される用になりました。この中でも抜群のコストパフォーマンスを発揮したのが、Borlandが発売したTurbo Pascalです。その後、Turbo PascalはMS-DOS版が発売されて熱狂的なファンに指示されました。
当時のTurbo Pascalのライバルは、Microsoft Quick Basicなどですが、性能面で比べ物になりませんでした。(現在のVisual BasicとDelphiの関係に似ています)
その後、Turbo Pascalはオブジェクト指向機能を取り入れてより高機能になりましたが、C言語が標準的なプログラミング言語となり、人気はやや下火となりました。(BorlandのTurbo C/C++が人気を集めました)
Turbo Pascalは日本ではバージョン3.0,4.0,5.0,5.5,6.0が発売されました。
Turbo Pascal for Windows
Windowsが多く使われるようになると、Turbo Pascal for Windowsが発売されました。この製品は現在の開発ツールの原形となるようなIDEを持ち、オブジェクトライブラリ(OWL)を含んでいました。しかし、ユーザがオブジェクト指向プログラミングに慣れていなかったので、このOWLを使いこなせなかったのと、OWL自体が機能不足でWindows APIを使わなければならなかったため、あまり人気を集めませんでした。
そしてDelphi 1.0発売
Windows3.1がOSとして主流になると、MicrosoftのVisual BasicやVisual C++が多くの支持を集めてBorland社は苦境に立ちました。そしてBorlandが復活をかけて発売したのがDelphiです。DelphiはかつてのTurbo Pascalの再来として注目を集め、また、コンパイラでありながら真のビジュアルプログラミングが可能な開発ツールでした。さらにTurbo Pascalにはなかったデータベース機能が追加されました。
当時、C++コンパイラのコンパイルスピードの遅さにいらいらしていたユーザは、Delphiのコンパイルスピードの速さ、Visual Basicと比べた実行プログラムの速さに驚かされました。
(Visual C++はコンパイラですが、真のビジュアルプログラミングツールとは呼べるものではありません。Visual Basicはバージョン5からはコンパイラを装備しましたが、当時はインタープリタでした)
Delphi 2.0
Windows95に対応して発売されたのが、Delphi 2.0です。32ビット化により性能が向上し、コンポーネントもより多く、強力になりました。
Delphi 3.0
Delphi2.0でやや機能不足だったActiveX関係の機能を強化して発売されたのがDelphi3.0です。このバージョンからActiveX Control(その他、ActiveX関連の多くの機能も)の開発が可能になりました。また、各種ウィザードが強化されてより使いやすく強力になりました。
Delphi 3.1
Delphi3.0のマイナーバージョンアップなので、基本的には3.0と同じですが、従来、クライアント/サーバ版でしかサポートされていなかったWeb開発機能がプロフェッショナル版でサポートされるようになりました。また、CleanXと呼ばれる「レジストリ掃除機」が追加されました。
Delphi 4.0
Delphi3.xと比べた場合、使い勝手が大幅に向上しました。また、ActiveX/COM関連機能が非常に充実されました。これは、WindowsがCOMをベースとした機能をますます充実させているので、非常に重要な意味を持ちます。Delphi4.0が発売される直前、Borland社はINPRISE社と社名変更しました。この新社名はエンタープライズから来ているとのことで、Delphiもエンタープライズ領域の開発プロジェクトに対応できる機能がますます充実してきました(IBM AS/400用のDelphi/400も発売されました)。
Delphi 5.0
Delphi5はさらにエンタープライズ指向が強くなったようです。これは、一般的なWindowsアプリケーションの開発について、機能・性能・使い勝手などDelphi4ですでに完成の域に達していたので、当然のことかもしれません。アマチュアレベルのアプリケーション開発についていえば、Delphi4で十分かもしれませんが、さらに便利で強力な機能もいくつか追加されています。それらについて詳しくはオンラインヘルプ
「Delphi5の新しい機能」を参照してください。