初場所限りで現役を引退した元横綱稀勢の里の荒磯親方(32)が18日、地元の茨城県牛久市で開かれた稀勢の里郷土後援会の「激励会・感謝のつどい」に出席した。引退から1カ月が過ぎたが、「やめてからも鍛えてました」と現役時代の体をキープする親方は、16日に弟弟子の大関高安(田子ノ浦)と三番稽古(同じ相手と連続で稽古)をしたことを明かした。
「勝ち負けを気にせず勝負できるのは気持ちよかった。現役と違う気持ちで、疲れなかった」。10番から15番ほどの番数で「だいぶいわされました(やられた)」と苦笑い。ただ、大関に肌で教えることは元横綱であり、若くもある荒磯親方にしかできないことだ。
「高安もひと皮むけたような、強くなった気はします。(春場所の)3月も、ああいう稽古ができたら期待できる」と初優勝を目指す高安の成長をひしひしと感じたようすで、「(高安の出身地でもある)茨城もいそがしくなるのでは」と、優勝そして横綱への期待感を口にした。
この日は引退後初の帰省となったが、荒磯親方の人気は相変わらず。会場には北は札幌、南は熊本から420人が駆けつけた。牛久市の根本洋治市長は「(稀勢の里)道場やミュージアムなどをという声は多い。できるのも遠い将来ではないでしょう」。稀勢の里記念館も実現しそうだ。(岸本隆)