(敬天新聞7月号)
スーパーゼネコン五社に続く準大手「戸田建設」の周辺では実弾が飛び交っている。実弾イコール現キンといった比喩ではない。正真証明、本物の鉄砲弾である。
昨年七月、東京都板橋区で建設中の「東洋大学板橋区清水町キャンパス」の工事現場の囲い塀に、散弾銃による銃撃を受けた。
更に本年五月になって、戸田建設九州支店社員宅で発砲事件が発生し、同月末には九州支店の入口玄関ドアのガラス戸に三発も発砲されるなど、連続して銃撃の的となっている。
戸田建設では、この他にも久留米市の建設現場で事務所や大型重機が放火されるなど、死者・負傷者が出ないのが奇跡といえるほど、企業テロさながらの危険な状況に晒されている。一連の事件に関しては、警察当局はいずれも暴力団による犯行とみているようだが、被害者である戸田建設は、犯人逮捕に積極的に協力しているとはいえない。
連続して標的となった戸田建設は、口先では早期の事実解明を望むとは言っているが、犯人の心当たりには「全くありません」との態度を固持している。
企業や社員の生命財産が脅かされ、そればかりか無関係の一般市民が巻き添えとなる危険があるにも拘らずだ。現に銃撃の現場は市街地や閑静な住宅地であり、不幸な結果が出る可能性は否めない。戸田建設には、犯人が逮捕されると不都合なことでもあるのだろうか。
ゼネコンと暴力団が対立する要因を考えると、企業舎弟の下請けへの参入や近隣対策費の水増し請求といった交渉が上手くいかず、圧力や報復といった強硬手段に出たと見るのが普通だ。
戸田建設も、今では暴力団との関係断絶を宣言しているものの、過去の清算まではしていないであろう。放火・銃撃といった重大犯罪の当事者が「犯人の心当たりは全くない」というのは有り得ないことだ。
過去の暴力団との関係を全て捜査機関に吐き出せば、事件の早期解決は間違いないが、これまで表沙汰にしてこなかった過去の暗部までが知れれば、相当の期間、公共事業から締め出されかねない。
戸田建設にしてみれば、事件解決が長引く事で一般社会への不安が続こうとも、じっと我慢する事で企業の保身を優先したともいえる。何れにせよ、戸田建設の現場周辺から硝煙の匂いが消えるのは、まだまだ先のようである。
一方、実弾と現キンの現キンに関する方では、硝煙とは違い生臭い匂いが戸田建設の足元から立ち上ってきている。
九州にて連続銃撃事件が発生していた同時期、戸田建設の協力企業と目される東京都練馬区の建物解体業「中嶋土建」が、法人税約三億円を脱税したとして、同社の中嶋豊会長、長男の良知社長と共に、東京国税局から法人税法違反容疑で東京地検に告発された。
同社が隠蔽した所得は直近の四年間で約十億円とされているが、この次期に請負った解体工事の多くが、戸田建設からのものであった。
代表的な例をあげれば、戸田建設が平成二十一年、東京大手町再開発(大手町一丁目地区再開発事業)のうち、経団連会館を含む数棟の解体除去の施工者となり、その一部を中嶋土建に委託した。
また、三菱グループ系の企業である戸田建設は、同系の三菱商事が代表企業を務める「駒込エスピーシー」の参加企業として、都立駒込病院「がん・感染症医療センター整備運営事業」(契約期間二十年・契約料千八百六十一億円)の建設を担い、旧病院建物除去に、同じく中嶋土建を使用していた。
この様に、中嶋土建は戸田建設の庇護のもと、都心に於ける大規模事業の解体部門を手掛け、巨額の所得隠蔽を実行してきたのである。
さて、所得隠しに多く用いられる手段の一つが、架空請求や水増し請求である。下請けが単独でこの手の請求を行なうこともあれば、元請の指導のもと行なわれる場合もあり、浮いた金は山分けすると考えられる。また、中嶋土建は解体現場で生じた鉄クズを他に売り捌き、その利益も隠蔽していたともいう。
常識的に考えれば、鉄クズとはいえ宝の山に等しいものを、下請けの中嶋土建が好き勝手に処分できたとは思えない。為らば、戸田建設も鉄クズの販売に一枚噛んでるか若しくは主導する立場にあったと考えるのがまともだ。何より、多くの現場で協力企業として使用してきた中嶋土建の巨額脱税行為に全く気付かなかったとするなら、余にも間抜けな話しとなり準ゼネコンの大看板が泣くというものだ。
本紙は、これらの疑義を問い質すため、戸田建設に十数項目の疑義を問う質問状を出した。その回答が紙面にある紙切れ一枚である(上図参照)。
戸田建設は従来より、自社協力会社の組織「利友会」とは対等の協力関係をもって相互発展に努めているというが、どうやら眉唾のようだ。既に利用価値の失った中嶋土建については、同回答を見る限りは今後とも無関係を装う腹づもりのようだ。
ただし、中嶋土建の周辺からは「戸田建設との蜜月関係は強固だ」と、強気の言葉が漏れ伝わってきている。告発を受けた中嶋親子からすれば、脱税を介した仲間意識(共犯意識?)があることから、見捨てられる筈がないと思っているのだろうか。そうであれば、思慮が浅いと言わざるを得ない。暴力団からの度重なる銃撃・放火を受けて尚、全く心当たりがないと言い張る戸田建設である。中嶋土建が弱みを握っていたとしても、体よく逃げられ誤魔化されるのが関の山だ。
いっそのこと、本紙に全てを暴露して頂ければ、溜飲を下げさせられるのに。
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