矢沢永吉の伝説
「矢沢永吉」と言えば日本を代表する男性ソロシンガーのひとり。生まれ故郷の広島から単身夜行列車で上京した、というあのエピソードは有名です。
極貧の幼少時代を経て、ビートルズを聴いてロックに目覚め、広島の田舎町から都会に出て、ミュージシャンとして世間の誰もが知る有名な存在となっていく…。
矢沢永吉の成功物語は、夢を持つ当時の若者のバイブルともなりました。
矢沢永吉とチャイナタウン
本来は東京への進出を目指していた彼でしたが、ひょんなことから横浜で途中下車をして、そこを拠点として音楽活動を始めることになります。
下積み時代の彼がアルバイトをしていた場所が、この曲のテーマにもなっている「チャイナタウン」、すなわち「横浜中華街」です。
若かりし矢沢青年は、音楽でトップに上り詰める、という夢だけを支えとして、異国情緒漂う横浜中華街をどんな目で見つめていたのでしょうか。
「横浜中華街」とは?
「横浜中華街」とは文字通り横浜の中心地からやや南の場所にある、中国人街を指しています。
多くの中国人が居住しており、沢山の中華料理店や中国雑貨店などが軒を連ねていることで有名です。
開港当時、横浜には沢山の外国人が居住しており、時代の流れとともに主に中国人が多く住むようになっていったとされています。
みなとみらい線の開通に合わせて「元町・中華街駅」が設置されてからは、東京からのアクセスも良くなり、横浜にある観光地のひとつとしてさらに注目されています。
チャイナタウンは「時間よ止まれ」のB面
矢沢永吉の最大のヒット曲である「時間よ止まれ」のB面曲としても知られている本曲。
もともとは1977年発表のアルバム「ドアを開けろ」への収録が最初のリリースで、その後に「時間よ止まれ」によってシングルカットされています。
「チャイナタウン」というタイトルの通り、サウンドは当時のYMOに代表されるアジアンテイストのアレンジで、そこに艶のある矢沢永吉のボーカルが絡みます。
1998年のシングルA面化
チャイナタウンは、その後1998年にシングル曲として改めてレコーディング、およびリリースされました。
1998年バージョンは、以前のものに比べてピアノのサウンドが抑えられ、代わりにアコースティックギターのバッキングがクリアに聴こえるようミックスされています。
さまざまな経験を経て深みを増したボーカルと、それを際立たせるような、生音を重視したアレンジは、以前のバージョンとは違った魅力を持っています。
チャイナタウンの歌詞をチェック!
テーマは「中華街の風景」と「あの頃の二人」
チャイナタウン この街を行けば
お前との想い出が 風のように頬を打つ
出典: チャイナタウン/作詞:山川啓介 作曲:矢沢永吉
この曲のテーマは、青春時代を過ごした横浜中華街の風景、そしてその頃の自分を一番よく知る、当時の恋人との思い出です。
中華街の活気や街の色使いに触れ、未熟だった若き自分を思い返します。
夢だけはあった
チャイナタウン 空のポケットに
夢ばかり詰め込んで 生きていた二人さ
出典: チャイナタウン/作詞:山川啓介 作曲:矢沢永吉
下積み時代、お金も余裕も無かった自分に唯一あったのが「夢」で、恋人とその夢を語り、夢だけを握りしめて過ごしていた日々。
ここでの「二人」という表現から、まるで自分のことのように夢を応援してくれていた彼女との、親密な距離が感じられます。