今使われているBMIには以下のような欠点があります。 (1)身長の低い人には甘い評価になること BMIは、体重を身長で2回割ったものですから、長さのディメンジョンを持っています。体型が全く同じ相似形であっても、身長が大きければBMIはそれに比例して増大します。BMIの正常値は大人では22ということになっています。子どもでは、以前からあったカウプ指数と同一の指数ですが、3歳児の正常値は15くらいです。 BMIは、体型が同じでも、身長が増大すると増大しますから、子どもの肥満の評価には使えません。使うとしても、年齢ごとのBMIの正常値が必要になります。 過去数十年間に、大人の体位も良くなっています。大人の平均身長も増加傾向にありますから、当然BMIも増加しています。肥満の増加を過大評価することになります。 (2)性や年齢による生理的変化を考慮していないこと 20歳と40歳と60歳の男女を、同じ指標で同じように評価して良いのかという問題があります。たぶん評価して良いということなのでしょう。 (3)脂肪や筋肉などの体組成について考慮していないこと 肥満していない人が、毎日ビールをたくさん飲んでゴロゴロ寝ていてテレビばかり見ていたとします。肥満していなければ、その人のBMIはたぶん正常範囲内でしょう。あるとき一念発起して、ジムに通って体を鍛え始めたとします。それで脂肪の多い体は、筋肉質になったとします。すると体重は増えてBMIは悪化します。 エドさんDr. Edの病理学講義のホームページで、栄養nutrition のノートの下のほうに、男3人を描いた図があります。筋肉を鍛えると体重が増加してしまうという図です。 http://www.pathguy.com/lectures/nutr.htm 欠点は多いのですが、他にBMIを上回る指標が無いということなのだろうと思います。 私は保健所にいた時、年間3万人の住民健康診断において、厚生労働省の「肥満とやせの判定図」を使って、肥満を評価していました。 http://wwwhakusyo.mhlw.go.jp/wpdocs/hpaz198601/b0044.html ある時、ある人の身長も体重も不変であるのに、前年が「肥満」の判定であったのに、その年は「正常」という判定になりました。調べてみると、「肥満とやせの判定図」は10年ごとに別のグラフになるので、そういうことがあり得るというわけでした。重ねてみると、結構ずれるのです。判定の境目で「肥満」になったり「やや肥満」になったりするのは止むを得ませんが2段階飛んでしまうのです。別のグラフに変わるのは、10人に1人ですが、3万人のうち、3000人が該当します。まれなことではありません。判定図は、もう使えないと思いました。翌年別の基準で判定すれば、評価はまた変わります。体重が一定の人は、判定が毎年変わって、不審に思うことでしょう。 また静岡にいたころ、子どもの肥満の判定に、「村田の表」を使っていました。これは、性・年齢別の表です。 http://www.kobekids.net/himan/1/himan1-3.html これも、一人の子どものフォローアップに使っていたところ、お誕生日が来て、次の表になると、評価が変わってしまうことがありました。誕生日が来たというだけで、標準体重が何キロも変わってしまうことがあり得るのです。特に年長の高身長の女の子で、そういう問題がありました。これまた、使えないと思いました。東京女子医大は、しばらく前に、この「村田の表」を撤回しているようです。 こういうトラブルを考えたら、BMIの使用も止むを得ないというところです。 (後日記入、H25.11.28) この文章を修正し、Wkipedia 「ボディマス指数」に加筆しました。 http://blogs.yahoo.co.jp/horio_blog/54336253.html |
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