青空文庫で公開されている作品の中から、明治・大正・昭和初期に書かれたものを中心に、日本の古典SFを集めてみます。当時は科学小説とか変格探偵小説と呼ばれていたような作品です。他にもいい作品があれば教えてください。星の数は個人的な好みなので、ちょっと偏っていると思います。
アイコンは、同じ作品の近代デジタルライブラリーへのリンクです。
海野十三「千年後の世界」 (昭和14年) 約21枚 ★★★
冷凍睡眠によって千年間眠った男が見た未来の世界
小酒井不木「恋愛曲線」 (大正15年) 約38枚 ★★★
恋愛する人間の心電図を記録し研究した医学者の愛の形
海野十三「放送された遺言(遺言状放送)」 (昭和2年) 約23枚 ★★★
超短波受信機で受信した異星からの遺言状の放送
海野十三「十八時の音楽浴」 (昭和12年) 約85枚 ★★★★
音楽を用いて国民を洗脳する独裁国家による管理社会
蘭郁二郎「脳波操縦士(人造恋愛)」 (昭和13年) 約45枚 ★★★
脳波で操縦できる美少女ロボットに恋した男
海野十三「空襲下の日本」 (昭和8年) 約46枚 ★★
昭和8年の時点で東京大空襲を予言したような作品
夢野久作「人間レコード」 (昭和11年) 約31枚 ★★
人間の脳髄に直接書き込んで音声情報を運ぶ技術
蘭郁二郎「白金神経の少女」 (昭和14年) 約35枚 ★★★
恋愛電気学を研究する老人と神経を電線にされた美少女
海野十三(丘丘十郎)「大脳手術」 (昭和19年) 約43枚 ★★★★
移植手術の発達した社会で自分の脳以外を売り払った男
蘭郁二郎「地図にない島」 (昭和14年) 約39枚 ★★★★
有能な科学者が集められ一大科学国を作っている秘密の島
海野十三「生きている腸」 (昭和13年) 約33枚 ★★★
人間の腸を大気中で飼育する実験に成功した医学生
海野十三「三人の双生児」 (昭和9年) 約124枚 ★★★★
生き別れた双生児を探す姉と人工受精の実験をする医者
平林初之輔「人造人間」 (昭和3年) 約34枚 ★★★★
自分の精虫を使い助手にも秘密で人造胎児を研究する博士
海野十三「特許多腕人間方式」 (昭和16年) 約38枚 ★★
人間の腕を増やすという発明を特許事務所に持ってきた男
海野十三「空気男」 (昭和12年) 約16枚 ★★
透明人間になる機械と肉体を気体化する薬を発明した博士
海野十三「俘囚」 (昭和9年) 約43枚 ★★★
人体の部品を最小限に減らし頭脳の働きを活性化させる博士
直木三十五「ロボットとベッドの重量」 (昭和6年) 約30枚 ★★★
病身のロボット技師が生前に妻に残した性処理ロボット
横光利一「微笑」 (昭和23年) 約68枚 ★★★
新型光線兵器を発明した狂人扱いされている若き天才数学者
夢野久作「ドグラ・マグラ」 (昭和10年) 約1140枚 ★★★★
狂人の解放治療を通じて狂気の世界を描く一大奇書
海野十三「第四次元の男」 (昭和15年) 約26枚 ★★★
自分の姿がときどき他人から見えなくなることに気付いた男
押川春浪「南極の怪事」 (明治38年) 約44枚 ★★
数千年前に作られた古代文明国の巨船が南極に出現
海野十三(丘丘十郎)「ヒルミ夫人の冷蔵鞄」 (昭和12年) 約41枚 ★★★★
整形外科の天才女医に狂愛される若い夫が考えた仕返し
海野十三「人造人間の秘密」 (昭和15年) 約56枚 ★★★
博士から託された新兵器の設計図とそこに隠された秘密
海野十三「宇宙女囚第一号」 (昭和13年) 約21枚 ★★★
立体走査で物質を送受信する機械から現われた女体生物
海野十三「第五氷河期」 (昭和17年) 約41枚 ★★★
地球に再び氷河期が来ると予想し人類を救おうとする老博士
小熊秀雄(旭太郎)「火星探険 漫画台本」 (昭和15年) 約135枚 ★★★
手塚治虫らにも影響を与えたSF漫画の先駆的作品の原作
海野十三「宇宙の迷子」 (昭和22年) 約127枚 ★★★
少年二人の愉快な宇宙探険で遭難し小遊星に到着
海野十三「透明猫」 (昭和23年) 約31枚 ★★★
姿の見えない猫を拾った少年の身体に起きた異変
海野十三(丘丘十郎)「地球発狂事件」 (昭和20年) 約250枚 ★★
山頂に突如出現した巨船と海底に住む謎の怪人集団
小酒井不木「人工心臓」 (大正15年) 約57枚 ★★★★
人類から死の恐怖を取り除くことを夢見た医者の悲劇
蘭郁二郎「火星の魔術師」 (昭和16年) 約30枚 ★★★★
染色体を増やす品種改良で火星の果実を作っている男
蘭郁二郎「宇宙爆撃」 約51枚 ★★★
小宇宙幻想に憑かれた研究者が原爆で地球破壊を目論む
海野十三「ある宇宙塵の秘密」 (昭和10年) 約15枚 ★★★
火星の映像を送ろうと生命をかけてロケットに乗り込んだ博士
シモン・ニューコム「暗黒星」 黒岩涙香訳 (明治37年) 約56枚 ★★★★
成熟しきった退屈な世界に謎の暗黒星が出現し太陽に衝突
平田晋策「昭和遊撃隊」 (昭和9年) 約316枚 ★★★
少年雑誌に連載され当時大人気となった日米未来戦記
海野十三「キド効果」 (昭和8年) 約37枚 ★★★
脳波分析で人間の精神構造を把握しようとした博士の悲劇
海野十三「地球盗難」 (昭和11年) 約246枚 ★★★
宇宙からの侵略者を扱った海野十三の最初の長篇科学小説
まだまだある。書きかけ。
まだ作業中で公開されていない作品です。興味のある方はぜひ校正に協力してください。
中山忠直「地球を弔ふ」 (昭和14年) 約64枚 ★★★★
大正・昭和初期に書かれた宇宙スケールの雄大なSF詩
高田義一郎「人間の卵」 (昭和2年) 約23枚 ★★★
人間の子供が卵で産めるようになる薬が禁止になった理由
高田義一郎「人造人間」 (大正15年) 約14枚 ★★★
人工子宮により人権を持たない作り物の人間が誕生した社会
高田義一郎「扁桃先生」 約9枚 ★★★★
娘が病気にならぬよう不要な臓器を根こそぎ摘出した医者
牧逸馬「七時〇三分」 (昭和10年) 短編 ★★★
謎の老人から明日の夕刊を渡され競馬を適中させた男
蘭郁二郎「地底大陸」 (昭和13年) 中編 ★★★
地下に築かれた大帝国で人造人間や科学技術を使った大戦争
エドワード・ベラミー「顧りみれば」 山本政喜訳 (昭和28年) 約548枚 ★★★
19世紀に予想した20世紀の理想社会を描いたユートピア小説
以下、未読。
幸田露伴「番茶会談」 (明治44年) 中編 ★★★★
青年達の勉強会で老人から未来技術の事業ネタや合理主義を聞く
海野十三「盗まれた脳髄」 (昭和8年) 短編 ★★★
優秀な科学者が原因不明の奇病に悩まされる事件が発生
小酒井不木「記憶抹殺術」 (昭和2年) 短編 ★★★
友人の亡霊に悩む男と記憶を消す方法を発見した医者
田中英光「現代変形談」 (昭和23年) 短編 ★★★★
他人の性器や動物の臓器を簡単に移植手術してくれる店の秘密
すごく興味深いけど、サイトの使い勝手が悪くて、まだあまり読めていない。
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このページはヨコジュンの影響を多大に受けています。
横田順彌『日本SFこてん古典 1~3』 (1980年) 早川書房 ★★★★★
戦前の日本古典SFを中心に奇書や戯作をユーモラスに紹介
横田順彌編『日本SF古典集成 1~3』 (1977年) 早川書房 ★★★★
江戸時代のSF的物語から昭和初期の名作SFまでを数多く収録
石川喬司編『世界SF全集34 日本のSF(短篇集) 古典篇』 (1971年) 早川書房 ★★★
純文学畑の有名作家によるファンタジー系作品を多く収録
長山靖生『懐かしい未来』 (2001年) 中央公論新社 ★★★
明治・大正・昭和の未来小説を収録し関連作品の解説付き
石川喬司『SFの時代 日本SFの胎動と展望』 (1977年) ★★★
昭和後期の現代SF作家論と時評が中心だが日本SF史もある
未整理。