ネット通販の定期購入をめぐる紛争多発…訴えられた青汁販売「メディアハーツ」は徹底抗戦、「生協による競合潰し」とも
訴えられたメディアハーツの社長を直撃
団体訴訟制度というのは、消費者の利益を擁護するため、「不当な勧誘」「不当な契約条項」「不当な表示」などの差止請求権を、内閣総理大臣に認定された消費者団体に認めた制度のことで、07年6月から運用された改正消費者契約法によりスタートした。
メディアハーツを提訴した消費者被害防止ネットワーク東海も、17ある適格消費者団体のひとつ。昨年7月に、ジャニーズ事務所に対する申し入れ活動で、会員に不利なファンクラブの規約変更を認めさせて注目された。特定適格消費者団体とは、消費者団体が金銭面の被害回復を求めて集団訴訟を起こせる制度で、16年10月から消費者庁が導入した。『特定』に認定されている団体は、17団体中、まだ消費者機構日本と消費者支援機構関西の2団体しかない。
提訴されたメディアハーツは美容とITの融合を目指し、「すべての女性を美しく」をテーマに女性ブランド「FABIUS」を展開する美容通販のIT企業。独自に開発した「すっきりフルーツ青汁」の販売を2014年からスマホで開始すると、「飲みやすい」と女性を中心に大ブレーク。14年は年商8億円、2年目の15年が年商20億円、3年目の16年には年商160億円を計上し、ネット通販の美容サプリメント部門1位に躍り出た注目企業だ。現在はFABIUSブランドで10製品を販売している。
訴状によれば、メディアハーツの「すっきりフルーツ青汁」のウェブページには、「ラクトクコース」として「初めての方限定!630円」「84%OFF」「初回なんと2850円もお得!」「安心!30日間返金保証!」の表示がある。さらに下の募集要項には「初回を含め最低4回(4カ月)以上のご購入がお申し込みの条件です」と表記されており、実際は定期購入が前提となっている。初回630円はお試し価格ではなく、4カ月分の1万1070円の契約であって、初回の支払金額のみを強調表示することは、消費者にあたかも著しく有利(安価)であると誤認させる意図に基づいており、これは景品表示法第5条第2号で禁止する「有利誤認表示」に該当するとして、広告表示の差し止めを求めている。初公判は3月22日に行われ、5月17日に第2回公判も終了した。
メディアハーツの三崎優太社長に話を聞いた。
「今の『ラクトクコース』の販売方法が問題だとは認識していません。現在の販売方法についてのクレームも、私が国民生活センターに確認しましたが、ゼロではないが販売数に対してかなり少ないと聞いています。当初は『美容モニターコース』という名称でしたが、ネットワーク東海から『モニター』というのは『お試し』だと勘違いさせるのでやめてほしいとの申し入れを受け、現在の『ラクトクコース』という名称に変更したものです。
当社が改善してしまったので、『この業者は言えば改善する』と思われてしまったのか、ネットワーク東海からの改善の申し入れや差し止めの請求内容がどんどんエスカレートしていった。でも、どうして箸の上げ下ろしまで消費者団体に指図されないといけないのか。30日間返金保証についてもうちは年間4000件くらい応じているのに、訴状には1回1万1070円振り込まないと解約できないと書いてある。これは事実と違います。
うちは必要以上に改善しているつもりなんです。なかには薬事法違反で、なおかつ定期購入であることを書いていない業者もいますからね。定期購入の表示も『ストロング』という目立つフォントで、色も赤文字に改善しているんです。630円は初回だけで、2回目から3480円になるのは有利誤認だと言いますが、お客様のリピート回数は平均8回くらいなので、初回が安いのはお得なはず。それを今はHPの掲載を止めろと言うんですからね。
うちが大手だから見せしめなんでしょうか。バックに生協さんがいるみたいだし、生協さんも青汁を販売してますからね。うちが目障りだから狙ってきたのかなと思ったりもします。そもそも生協さんがやっている、生協インターネットというネット接続サービスなんかは、初期加入料無料をうたい、2年契約が必須になっていて、2年に達する間に解約をすると『中途解約違約金』をとられるコースもあるようです。自分たちは何してもいいのかって疑問が生まれますよね。
しかも、消費者団体だけでなく、ネットワーク東海の団体賛助会員を名乗るMという男性が、昨年11月から自身のブログやツイッターで、当社の業務を妨害し名誉を毀損する内容の発言を繰り返している。あまりにも執拗なので渋谷署に相談して、このネットワーク東海の会員に注意喚起をしてもらいました。そうしたところ、さらにエスカレートしたので訴訟を検討しています」