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さがわ・ふみひこ●1959年、福島県いわき市生まれ。整形外科や接骨院での研修を経て、88年に佐川整骨院を開設。99年、小野中央クリニック開設。2005年、医療法人誠励会およびひらた中央病院理事長に就任。
おちあい・けいこ●1945年、栃木県生まれ。67年、明治大学文学部英文学科卒業後、文化放送に入社。74年に同社を退社し作家活動に入る。最新刊は『「わたし」は「わたし」になっていく』(東京新聞)。
落合  佐川さんが理事長を務められている「ひらた中央病院」は、人口約4万人の福島県石川郡で唯一の病院ですね。今年で開業13年。原発事故があった翌年の6月には、病院内に「公益財団法人震災復興支援放射能対策研究所(以下、ひらた中央病院と表記)」を立ち上げられ、甲状腺検査やホールボディカウンター(WBC)による内部被ばく検査などを無料で行なっています。今日は詳しくお聞かせください。
佐川  よろしくお願いします。私たちの活動を紹介していただく機会を設けてくださって感謝しています。
落合  福島県は約36万人の子どもの甲状腺検査をしていて、県内59市町村のうち17市町村でもWBCによる内部被ばく検査を行なっています。民間医療機関のひらた中央病院が、なぜ県や各自治体と同様の検査をするようになったのか、まずはそのいきさつから。
佐川  震災直後、原発から20キロ圏内の富岡町や楢葉町などの病院に入院していた188人の患者さんをひらた中央病院で受け入れました(左頁写真)。そのとき、患者さんたちは手を合わせて「ありがとう、ありがとう」と言ってくださった。患者さんを受け入れたことで私たちは診療報酬を得たのですが、それを原発事故で苦しむ人たちの役に立てたいと思ったんです。
 それで、まずWBCを1台購入して11年10月から内部被ばく検査を始めました。当時、県は内部被ばく検査の体制を整えるのが遅く、子どもの健康を心配するお母さんたちから「検査をしてほしい」という声が私たちの病院にたくさん寄せられていたのです。
http://www.cataloghouse.co.jp/yomimono/ochiai/hirata/images/ph1.jpg
震災から6日後の3月17日、30台のマイクロバスを連ねて原発近くの病院に取り残された患者を救出に行った佐川さん(左から2人目)。
落合  甲状腺検査も、やはり保護者の方たちからの要望がきっかけで始められたのでしょうか。
佐川  そうです。県は11年10月から甲状腺検査を始めましたが、36万人の子どもを検査するのに2年半もかけると言う。子どもの健康を心配する親からすれば、そんなに待っていられませんよね。順番を待ちきれないお母さんが子どもを福島県内の民間病院に連れていくと、県の検査を実施する福島県立医科大学(以下、県立医大)に遠慮してなのか、検査を受け付けない病院もありました。それで私たちは、12年11月から甲状腺検査を始めたのです。
落合  福島県の甲状腺検査は震災当時18歳以下の子どもが対象ですが、こちらには年齢制限は?
佐川  いえ、何歳の方でもけっこうですし、事故当時、福島県外に住んでいた方でも無料で検査が受けられます。

県の3倍の時間をかけて
甲状腺を丁寧に検査。

落合  ひらた中央病院では甲状腺の超音波(エコー)検査の体制は、どのようになっていますか。
佐川  甲状腺の専門医1人と技師3人がいてエコー検査は技師が担当しています。技師は、甲状腺疾患の治療では国内一と言われる伊藤病院(東京都渋谷区)で研修を受けました。専門医は甲状腺検査を始めるにあたって県外の病院から来ていただきました。技師が検査をした画像をもとに専門医が診断します。
落合  保護者の中には、県の検査方法に不満を持つ方が多くいらっしゃるようですね。エコー検査の時間は5分だという話を保護者の方々からよく聞きます。ひらた中央病院では、どのように検査をされているのでしょうか。
佐川  検査を始める前は県立医大と同様に5分程度のエコー検査でいいと思っていたのですが、伊藤病院では15分もかけて丁寧に検査をしているんですね。それで私たちも同じ時間をかけて、じっくりエコー検査をしています。
落合  こちらではエコー検査だけでなく、血液検査(小学生以上)と尿検査も1次検査の段階から実施していますね。県は血液や尿検査は2次検査からなのに、なぜ最初から検査するのですか。
佐川  尿検査では、日常のヨウ素摂取量を把握し、原発事故当時に放射性ヨウ素を甲状腺に取り込みやすい食生活だったかどうかを推定するために尿中のヨウ素の量を調べています。血液検査では、血液中の甲状腺ホルモンの濃度などから内科的な甲状腺の病気を発見できます。チェルノブイリ原発事故の被害を受けたベラルーシでも尿や血液の検査をしていましたし、保護者からの要望もあったので、エコー検査とセットで行なっています。
 血液と尿の検査は結果が出るのに約1週間かかりますので、保護者の方にはお手数ですが再び病院に来ていただいて検査結果を伝えます。エコー検査の画像を見ながら血液や尿検査の結果と合わせて専門医が一人ひとりに直接説明しています。
落合  1次検査の段階からここまで丁寧にしていただくと、保護者も安心するでしょう。県で実施したエコー検査の画像については、以前より手続きが簡易化されたとはいえ、保護者がわざわざ情報公開請求をしないと手に入れられないという異常な状態が今でも続いているそうですね。エコー検査の画像がほしい人には渡しているのですか。
佐川  もちろんお渡ししています。医師から画像を見ながら説明を受けて、その画像を家に持って帰って家族に伝える。そういうことで安心感につながると思います。

約1年半で
5713人を検査。

落合  これまで甲状腺検査は何人の方が受けられたのでしょうか。
佐川  私たちは年齢制限も居住地の区別もなく検査を受けつけていますが、12年11月から今年4月8日までに5713人を検査しました。県の検査と同じく震災当時18歳以下の福島県在住の子どもに限ると3278人です。
落合  3月にはその検査結果の一部を公表されましたね(下表参照)。
佐川  慶應義塾大学SFC研究所と伊藤病院、そしてひらた中央病院との共同で分析した結果を公表しました。県が公表している約25万人に対して私どもが今回発表したのは、12年11月から13年9月までに検査をして結果が確定した1137人。対象者数が大きく違うので単純比較はできませんが、県の検査で「2次検査は必要なし」と診断された子どもが、うちの検査では「要2次検査」となったケースもあります。
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落合  ひらた中央病院でも、県と同様にA1、A2、B、Cという判定をしていますが、A1とA2の割合が県の検査結果と大きく違います。県の検査ではA1とA2の割合はほぼ同数ですが、こちらの検査ではA2の割合はA1の約2・8倍です。
佐川  やはり検査方法の違いが大きいかもしれません。先ほど申し上げましたように、県のエコー検査は約5分で、うちは約15分。丁寧に検査をすることで、県の検査では見逃されている嚢胞(のうほう)や結節を見つけている可能性はあります。それから検査を受ける時期も関係してきます。県の検査を受けた子どもがそのときは何もなくてA1判定でも、半年後にうちの検査を受けたときに嚢胞などができていた、ということもあるでしょう。
 さらにもう一つ。県は結節や嚢胞の大きさだけで判定しますが、うちは甲状腺の状態によって判定を変えています。エコー検査をすると、甲状腺の状態が粗く見えることがあります。専門医によれば、こういうときは結節や嚢胞がなくても内科的な甲状腺の病気が潜んでいる可能性があるそうです。そのときは、少し注意して様子をみたほうがいいという意味でA2判定としています。予防医療をするには甲状腺の状態をきちんと見ていこうということです。
落合  県の甲状腺検査は、ようやく1回目の検査が3月に終わりました。今後は20歳までは2年に1回、20歳を越えたら5年に1回の検査となります。
佐川  うちの病院では1年に2回は検査を受けるよう勧めています。仮に医学的に2年に1回や5年に1回の検査で問題ないとしても、お子さんや保護者の不安を少しでも解消し、早期発見・早期治療のためにもこまめに検査をしたほうがいいと思うんです。
http://www.cataloghouse.co.jp/yomimono/ochiai/hirata/images/ph3.jpg
落合  本当にそうですね。5分程度のエコー検査を受けて、「問題なし」と通知され、「次の検査は2年後」というのでは、精神的にもまいってしまいます。ひらた中央病院で1次検査を受けて、もし詳細な検査や手術が必要になった場合は、どのようなフォローをされているのですか。
佐川  結節が見つかった方には3ヵ月に一度もしくは半年に一度は検査を受けるよう勧めます。悪性の疑いがある場合は、ノドに針を刺して細胞を採取する「細胞診」検査をします。ここまではうちの病院でできますが、手術が必要な方には伊藤病院を紹介します。
落合  県立医大や福島県内の病院で手術は受けられないのでしょうか。
佐川  甲状腺検査を開始するにあたって県立医大に「何かあったときは県立医大に患者さんを紹介してもいいですか」と聞きましたが、はっきりとした返事はもらえませんでした。私たちは検査方法や結果の分析などについて伊藤病院の指導を受けております。その信頼関係も含めて、安心して患者さんをお任せできるのが伊藤病院だと考え、お願いしたところ、ご快諾いただけました。もし今後、患者さんのご希望があれば、県内の病院でも連携できるところがあるかどうか探っていきたいと考えています。
落合  今年2月に発表された県の最新検査結果では、甲状腺がんの子どもが33人、その疑いがある子が41人となりました。この結果についてはどう思われますか。県は「放射線の影響とは考えにくい」と言っています。
佐川  現段階では放射線と「関係ない」とも「関係ある」とも言えないでしょう。放射線との因果関係については、われわれが言うべきことではなく、国策として原発を推進した国が、しっかり調査して発表すべきことです。
http://www.cataloghouse.co.jp/yomimono/ochiai/hirata/images/pic2.png

転載元転載元: 支離滅裂ですが、何か?

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    中核派のふくしま共同診療所に利用されたのが、余程、嫌に成った様ですね。

    [ 短足おじさん ]

    2014/7/16(水) 午後 6:34

    返信する
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    中核派が福島の子供たちを利用なんて許せません。

    時々しか「たんぽぽ」みませんが、気分が悪くなるくらい辟易とします。

    *nya~*

    2014/7/16(水) 午後 8:36

    返信する

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